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12月の印象に残った選手、レースを紹介!
特集 2023.01.11

12月の印象に残った選手、レースを紹介!

#今月のベストプレイヤー

●12月のMVP

松浦悠士(32)広島98期 S級S班

 昨年12月30日に平塚競輪場で行われた競輪界の頂点を決める大一番「KEIRINグランプリ2022」は近年まれに見る好レースだった。GⅠやGPともなると誰もが慎重になり、レースの動きが遅くなるもので道中の入れ替わりも少ない。今年は「自在選手」の松浦が激しくレースを動かした。

 取った戦法は新山響平―新田祐大―守澤太志―佐藤慎太郎と4車並んだ北日本勢の分断策。残り5周からじわじわと上昇すると、スタンドからは轟音のような歓声と拍手が巻き起こり、〝いったい、何をするのか!?〟と競輪場全体のボルテージが一気に上がった。結果はご存じの通り、混戦をまくった脇本雄太―古性優作のワンツー決着で幕を閉じたが、松浦のかく乱が無ければ近畿決着は無かったかもしれない。

 このレースは北日本の2段駆けVS近畿コンビの様相で、単騎の3人(松浦、平原康多、郡司浩平)の出る幕は限られていた。ムダに動かずに脚を溜めたい胸中は3人とも一緒。それでも松浦は果敢にもハコを狙いにいった。長引けば自身の優勝の可能性が遠のくにもかかわらず…。

おかげで北日本軍団もリズムを崩した。新山は「早く来たので焦ってしまった…」と残り5周からの動きに動揺し、新田は「分断はあると心の準備はしていたけど…」と対応を誤り天を仰いだ。松浦の恐れを知らぬプレーをもっとも的確に言い表したのは、1角から追い上げ松浦をキメたプレーが押圧となり失格となった守澤の「松浦君の動きに最後まで乱された」だった。

 松浦はここ数年、清水裕友との中国コンビとしてグランプリを戦ってきた。今年は盟友を欠き、1人でやる以上はそれ相応の覚悟と決断が求められたが、ふさわしいレースでS級S班の執念を見せた。

●レース 立川競輪「FⅠシリーズ」山崎芳仁&成田和也 12月19日 12R決勝

競輪史上に名を遺す大人物、山崎芳仁。若かりし頃は「4回転モンスター」の異名を取り大ギアブームをけん引し競輪界を席巻した実力者だ。そんな山崎も今年6月には44歳を迎える。大ベテランと呼ばれる今も、いきいきと自力を出し続ける姿には頭が下がる。

このレースはすごかった。相手は森田優弥と山口拳矢との3分戦。特別戦線でも活躍するバリバリ20代の若手機動型2人を手玉に取り、突っ張り先行に打ってでたからだ。山口が最終ホームから単騎で飛んでくると、そこは動じず慌てずに1車を出して巻き返しに備えた。そこで仕事人の成田は、山口に口が空き猛然と追い上げた三谷将太を丁寧な仕事でやっつけた。最後は山崎が鈴木裕のまくりに併せて出ると、ゴールのギリギリで成田が寸前差しして優勝。

福島を代表する同期コンビが、これぞ阿吽の呼吸とも言える快心のレースで魅せた。山崎はその後の12月西武園、1月いわき平で連続Vと相変わらずの健脚を披露した。成田は2月に44歳を迎えるが、昨年は最後の最後まで賞金争いでS級S班の椅子を競うなど、まだまだ気力に満ちあふれている。

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