昼下がりの競輪場。ラーメン店へ。今日は玉野でやってる広島記念の決勝を買おうとやってきたんだけど、店にいた常連のトミさん、タナカくんの話題はKEIRINグランプリのよう。11月の競輪祭で出場メンバーが決まると、そこからああだの、こうだの、尽きることなく12月30日の本番まで、誰が勝つかの話が続く。これが堪らなく楽しい。自分の考えも揺れ動くんだな、これが。そこもまた楽しい。
広島記念の話はあとにして、こっちも参加するか。みんなの会話をそのまんま書いてみるから。
トミ「で、タナカくんの考えは変わらない」
タナカ「もちろんですよ。僕はメンバーが決まったときから新山響平」
俺「(隣りのテーブルに座りながら)でも単騎じゃない?」
タナカ「彼は単騎戦でも力を発揮するんですよ。10月の京王閣記念の準決勝見たでしょ。あの単騎ガマシで押し切ったレース」
トミ「(俺に向かって)展開はさっきも話してたんだけど、北井佑季-郡司浩平-岩本俊介が逃げて、脇本雄太-古性優作がカマシかまくり。眞杉匠-平原康多、新山響平、清水裕友はここだっていうところから仕掛ける。まあこんな感じかなって」
タナカ「脇本と北井が踏み合うか、郡司が脇本を出させないようにと頑張るから、近畿勢と南関勢は脚を消耗しそうで苦しい。潜在能力はすごい新山がまくっていくか、最後に大外を強襲する感じです。新山から2着は眞杉、清水、古性、郡司、岩本で、3着は北井を抜かした8人。あとは新山、清水、眞杉を1着、2着にして、3着はやはり北井を抜かした8人」
俺「もう買い目まで決めてんのか。飛ばしすぎだろ。トミさんはどこから買おうと思ってるの?」
トミ「俺は今年一番強かった古性。去年のグランプリもそうだけど、1カ月くらいじっくり練習や調整したときの脇本雄太はまだまだ競輪界一の脚があるよ。今までのグランプリだって、全部最終バックを取ってるもん。自分がグランプリでやることはこれだってものを貫くと思うんだ。それに乗って歴代NО・1のオールラウンダー・古性が抜け出すというイメージ」
厨房から出てくるマサさん。お盆のホットコーヒーをテーブルに置くと、みんなが礼を言いながら取っていく。
マサ「俺も近畿勢だな。でも脇本の方。今年、ずっとやってきた、まくりで勝負してほしい。届くか届かないかハラハラしながら見ることになるけど、脇本に獲ってほしいんだよなあ」
タナカ「去年は立川へ見にいったんですけど、新山が逃げて、赤板過ぎの2コーナーから脇本が仕掛けていったときですよ。ウオオーって、ものすごい大歓声が沸き起こって、それがゴールまで続きました。僕、震えましたもん。脇本はやっぱすごいですよ」
俺「あれはいいもん見させてもらったよね。でも古性が何もできなかった。それが気になるな。残り700mから脇本に休まず踏まれたら、真後ろの選手は一杯になっちゃうんじゃない」
トミ「俺も古性の去年の走りを見て、そこは迷ってるんだよね。でもさあ、古性はあのグランプリの4着を課題に今年1年戦ってきた気がするんだ。本人は何も言わないけど。勝ったら泣きながら話してくれると思う」
マサ「近畿は古性-脇本の並びもあるからね。そのときは北井の番手を攻める選手が出てくるから、まくっていく選手を狙わないとな」
トミ「(俺の方へ)そっちはどうなの?」
俺「今のところ眞杉から。北井が逃げて、脇本がカマしていったときに、郡司が大仕事をして、そこを眞杉がまくりで仕留める。平原康多は後ろから来る選手たちを振ったり締めたりしてガード。平原はレジェンド・神山雄一郎と同じで、グランプリのタイトルは縁がない感じがするけど」
トミ「静岡のグランプリなのに誰も南関勢からいかないのか」
タナカ「北井の状態に疑問が残るんですよね」
マサ「そういえば、寬仁親王牌も弥彦へ見にいったОL3人組。今度はタナカくんと静岡に行くんだよね。イケメンの新山を応援しにいくって。昨日、食べにきてくれて、そう言ってた」
トミ「タナカくんはそれで新山か」
俺「そういうことか。さっきの説明、やたら気合入ってたもん」
タナカ「違いますよ。昨年勝った松浦悠士は12月の別府記念を走って、決勝で落車してからのグランプリ参加だったでしょ。競輪祭から間があくより、走っておいた方がいいんですよ。広島記念を走ってくれた新山からいきますよ。あの娘たちと一緒にキョーへーって、声を上げたい気持ちも少し持っていますけど」
という会話があって広島記念in玉野の決勝。中四国勢が編み出した突っ張り先行潰しに屈した新山。結果は7着だったが、ここで走ったのがグランプリでは吉と出るかな。さっそく眞杉から新山に変えようか迷い始める自分が情けない。なんたって、俺も弥彦まで寬仁親王牌を見にいったチームの一員だから。なんなら、また一緒に静岡へ行こうか。キョーへーって叫ぶのも悪くない。女は男を変える。
まあ当日まで迷いに迷うよ。至福のとき?そうだな。