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2025年度 全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪 直前展望
レース展望 2025.05.21

2025年度 全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪 直前展望

#グレードレース展望

競輪選手たちが自転車トラック競技に挑む大会「第72回全日本プロ選手権自転車競技大会」が5月26日に青森競輪場で開催されるが、それに先立つ24日と25日の両日に「2025年度全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪」が開催される。格付けはFⅡだがS級S班8名を始めとするトップレーサーが勢揃いし、2日間の短期決戦ながらグレードレースに引けを取らない熱戦が繰り広げられるだろう。


優 秀
関東ラインの結束力を生かして眞杉匠が優勝を狙う
 初日のメインとなるのは優秀競走3個レースで、S級S班8名に選考期間(2024年9月から2025年2月)における平均競走得点上位19名が出場するが、各レースで3着までに入った9名が2日目のメインとなるスーパープロピストレーサー賞に進出して雌雄を決することになる。5月の日本選手権決勝で吉田拓矢とワンツーを決めた眞杉匠率いる関東勢を中心に推すが、昨年8月のオールスターからのGⅠ及びグランプリの連続制覇がついに途切れた近畿勢の巻き返しも見逃せない。

 眞杉匠は日本選手権決勝では5番手から捲るもゴール前での菅田壱道との接触でスピードが鈍り2着だったが、捲りのスピードも仕掛けのタイミングも文句なしだった。周回中の位置取りも絶妙で、4番手の古性優作の真後ろの5番手で圧をかけていたのも功を奏していて、日本一のオールラウンダーとの評価が高い古性優作のお株を奪った走りだったと言ってもいいだろう。吉田拓矢の優勝はもちろん嬉しいが、準優勝に終わった悔しさも相当なものがあるはずで、今回も関東ラインの結束力を見せてつけて優勝を狙ってくる。

 新山響平は日本選手権決勝は6着に終わったが、ビッグレースの決勝で北日本でラインを組めたのは昨年10月の寛仁親王牌以来であり、久しぶりに北日本の仲間と3車のラインを組めたうえに日本選手権決勝という大舞台だっただけに緊張があったのかカカリはややよくなかったが、それでも期待どおりに主導権を取りきったのだから納得の走りだったと言っていいだろう。準決では太田海也を下して阿部力也をGⅠ初優出に導いており、今回もホームバンクの青森で迷いのない先行を披露してくれるだろう。

 古性優作は日本選手権のゴールデンレーサー賞では主導権を握った関東ラインに飛びつき、平原康多を捌いて3番手を確保し、番手の吉田拓矢が捲ってきた南関東勢をブロックにいくと、ぽっかり空いたコースを鋭く抜け出して1着と真骨頂の走りを見せた。しかし、決勝では周回から北日本ラインの4番手がすんなり取れたのがかえってよくなかったのか、仕掛けのタイミングを迷いに迷って3着に終わった。それでも6月には地元での高松宮記念杯が控えているだけに、今回も古性らしい強い走りをきっと見せてくれるだろう。


特 選
松井宏佑が好位奪取から得意の捲りで一発を狙う
 初日特選の3個レースには選考順位28位から54位の27名が出場するが、各レースで5着までに入った15名が二日目のダイナミックステージに進出する。ここは日本選手権で優出した松井宏佑と敗者戦ながらも好成績を残した藤井侑吾が注目選手だが、スピード自慢の河端朋之や復調気配の嘉永泰斗の一発も十分で、落車の影響で低調だった山口拳矢の巻き返しにも期待したい。


 松井宏佑は好位を取ってからの捲りが得意の勝ちパターンで、日本選手権決勝では前を切りにいくも新山響平に突っ張られて後退と完全に力負けだった。それでも二次予選では主導権を取りきた中野慎詞ラインの3番手を捌いてからの追い込みで1着、準決は新山響平と太田海也のスピード対決で8番手に取り残されるも大外を懸命に捲り追い込んで3着と調子は悪くない。トップクラスとのスピード対決になるとやや分が悪いが、今回の特選クラスならば南関東勢を連れての先行押し切りも十分だ。

 藤井侑吾は日本選手権の一次予選で同期の晝田宗一郎にフタをされて抜け出せず5着と敗れたが、2日目一般では押さえられると素直に7番手まで引き、打鐘とともに一気に捲っていってGⅠ初勝利を挙げた。4日目選抜では打鐘前から一気にカマして後続に8車身の大差をつけ、ゴール前で番手追走の南修二に交わされるも2着、6日目特選も7番手に引いてからすかさず捲っていき、やはり番手追走の西村光太に交わされたが2着と一次予選敗退が悔やまれる走りを見せており、今回もスピード抜群のカマシで勝利を掴んでくる。


選 抜
日本選手権で2勝の石原颯が強さを発揮する

 初日選抜の6個レースには選考順位55位から108位までの54名が出場するが、各レースで2着までに入った12名が2日目のダイナミックステージに進出する。ここは佐々木豪、取鳥雄吾、石原颯、町田太我、太田竜馬と機動力型が揃った中四国勢が強力で、小倉竜二を始めとする追い込み勢にチャンス到来だ。伊藤旭、松岡辰泰、後藤大輝、松本秀之介、東矢圭吾らの九州勢も充実の布陣で、別線の機動力型がどう立ち向かっていくかが見どころになるだろう。


 石原颯は日本選手権では準決で敗れたが、一次予選では打鐘の7番手から一気にカマし南潤を叩いて主導権を握ると、そのまま後続2車身の差をつけて逃げ切りと圧勝した。二次予選では主導権争いで深谷知広ともがき合いとなったが、うまく深谷の番手に収まるとゴール前で差し切りと驚きの二の脚を披露した。6日目優秀では3番手から捲った山口拳矢を4番手から捲って追いかける形となり、4分の3車輪差で届かずの2着だったが、個人上がりタイムは10秒9をマークしており今回も上昇一途の強さを発揮してくれるだろう。


プレイバック
2024年全プロ記念競輪 スーパープロピストレーサー賞


犬伏湧也の逃げに乗って清水裕友が優勝

 深谷知広-松谷秀幸-和田健太郎の南関東トリオが前受け、4番手に犬伏湧也-清水裕友-松浦悠士の中四国トリオ、単騎の荒井崇博が続き、寺崎浩平-脇本雄太の福井コンビが8番手で周回を重ねる。赤板1コーナー過ぎから寺崎がゆっくり上昇を開始すると福井コンビの後ろに荒井が切り替える。打鐘とともに寺崎が深谷を押さえて先頭に立つが、寺崎はスローペースのままで、すかさず犬伏が前団を叩いて主導権を奪う。犬伏はためらうことなくフルスロットルで駆け、最終ホーム手前で中四国トリオが出切り、4番手に寺崎、7番手に深谷で一列棒状となる。犬伏のカカリはよくバックも一列棒状のまま通過し、清水が後方からの巻き返しを警戒して車間を切り始める。2センター過ぎから深谷がようやく捲りに出るが車は伸びない。福井コンビは動けず、荒井がインに切り込んでいくが、犬伏の番手から直線を抜け出した清水が先頭でゴール、松浦は伸びを欠き、内を突いてきた荒井が2着、荒井のブロックを受けて伸びきれなかった寺崎が3着。

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