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全プロ記念競輪展望
レース展望 2024.05.08

全プロ記念競輪展望

#グレードレース展望

 競輪選手たちによる自転車競技の大会「第71回全日本プロ選手権自転車競技大会」が5月27日に高知競輪場で開催されるが、それに先立つ25日と26日の両日に「2024年度全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪」が開催される。格付けはFIIだがS級S班8名を始めとするトップレーサーが勢揃いで、決して見逃すことのできない熱戦が繰り広げられるだろう。

ダービー王の平原康多が完全復活の走りを見せる


 初日のメインとなるのは優秀競走3個レースで、S級S班の8名に選考期間(2023年9月〜2024年2月)における平均競走得点上位19名が出場するが、各レースで3着までに入った9名が2日目のメインとなるスーパープロピストレーサー賞に進出できる。5月の日本選手権で3年ぶり9度目のGI制覇を達成した平原康多を中心に推すが、機動力充実の南関東勢も強力で、相変わらず好調を維持している清水裕友の一発も侮れない。 平原康多は今年はS級S班から陥落、それに伴い関東勢はビッグレースで元気がなかったが、日本選手権では5人が優出と巻き返しに成功した。決勝では関東勢は二手に分かれたが、平原は吉田拓矢の捲りに乗って自身初のダービー王となった。今回は、関東勢は眞杉匠と2人だけでライン的には苦しく、眞杉は日本選手権では優出できなかったが、特別選抜予選では眞杉の捲りに乗って平原が1着、準決も眞杉の逃げに乗って平原が2着ともちろん相性はいい。今回もGI制覇の勢いに乗って完全復活の走りを披露する。
 南関東は日本選手権での優出は岩本俊介ひとりだったが、今回もS級S班の深谷知広に郡司浩平、北井佑季、松井宏祐と自力型がそろっておりライン的には強力だ。日本選手権の勝ち上がり戦ではその機動力がうまく噛み合わなかったが、最終日には北井が逃げ切り、深谷が捲り、郡司が逃げ切りとそれぞれ勝ち星を挙げており調子はいい。とりわけ郡司は二次予選で鈴木竜士に攻められて深谷との連結を外すという大失態を演じており、今回は汚名返上の走りで南関東の仲間たちとともに勝ち上がりを目指してくるだろう。
 清水裕友は2月の全日本選抜、3月のウィナーズカップ、そして日本選手権と特別競輪3大会連続で優出と好調を維持している。日本選手権決勝は清水、古性優作、山口拳矢、岩本俊介の単騎勢が位置取り合戦で渋滞してしまい清水は仕掛けきれずに6着に終わったが、準決では4番手から先捲りの小林泰正を6番手からの仕掛けで捲り切って1着になっている。盟友の松浦悠士が清水から離れて6着になったのは残念だが、準地元地区での大会だけに気合いを入れ直してくるだろうし、中国コンビの底力を見せつけてくれるだろう。

優秀

平原康多 埼玉 87期
郡司浩平 神奈川 99期
清水裕友 山口 105期

  

40歳の岩本俊介がグランプリ初出場を目指す


 初日の特選の3個レースには選考順位28位から54位の27名が出場するが、各レースで5着までに入った15名が2日目のダイナミックステージに進出する。ここは5月の日本選手権でGI初優出を達成した岩本俊介と小林泰正の2人が注目選手だが、捲り鋭い坂井洋や高知バンクのバンクレコードを持つ島川将貴のスピードも侮れず、敗者戦ながら日本選手権で2勝を挙げた福永大智も好調だ。
 岩本俊介は2月の全日本選抜では準決に進出するも9着に敗れてしまったが、日本選手権では3連勝の勝ち上がりで40歳にして初のGI優出を達成した。二次予選は6番手からのインを突いての追い込みで1着、準決は深谷知広の逃げに乗って1着、そして決勝では4番手からの追い込みで2着に入り表彰台にも乗った。これで獲得賞金ランキングでは4位にジャンプアップしており、今後の活躍次第ではグランプリ初出場とS級S班入りが期待できるだけに、今回も気合い十分の走りを見せてくれるだろう。
 小林泰正は全日本選抜では一次予選を捲りの1着で突破するも二次予選で敗れてしまったが、日本選手権では岩本俊介と同様にあれよあれよの2連勝で準決進出、一次予選は11秒2、二次予選は11秒0と上がりタイムも抜群だ。準決は4番手から先捲りするも同級生の清水裕友に捲り返されたが2着に粘り込んでGI初優出を達成、関東別線となった決勝では結果は9着ながら上信越ラインの諸橋愛を連れての主導権取りと見せ場をつくっており、今回もいよいよ本格化した小林が大活躍してくれるだろう。

特選

岩本俊介 千葉 94期
小林泰正 群馬 113期

  

期待の新鋭・伊藤颯馬が九州勢を引っ張る



 初日の選抜6個レースには選考順位55位から108位までの54名が出場するが、各レースで2着までに入った12名が2日目のダイナミックステージに進出する。見どころは伊藤颯馬、青野将大、吉田有希らの若手自力型とベテランの域に入りながらも自力にこだわり続ける渡邉一成、河端朋之、小松崎大地らの対決だ。舞台が500バンクの高知だけに、自力型同士がやりあえば長い直線を利しての追い込み勢も十分だ。
 伊藤颯馬は4月の西武園記念では突然の体調不良で途中欠場を余儀なくされたが、それでも次場所の日本選手権では敗者戦ながら1着が1回、2着が1回とまずまずの成績を収めている。2日目4Rの一般では太田竜馬が主導権を取るとすかさず巻き返して太田を捲り切り、ゴール前では別線の吉本卓仁に交わされるものの2着。5日目3Rの一般ではやはり捲りで勝ち星を挙げている。3月のウィナーズカップではビッグレース初優出を達成しており、今回も九州勢を連れての大駆けが期待できる。

選抜

伊藤颯馬 沖縄 115期

  

  

  
プレイバック

2023年全プロ記念競輪 スーパープロピストレーサー賞
松浦悠士との捲り合戦を制した古性優作が優勝



 5人そろった近畿勢は別線となり、脇本雄太-山田久徳が前受け、3番手に古性優作-稲川翔-東口善朋、単騎の浅井康太が続き、7番手に新山響平-新田祐大、最後尾に単騎の松浦悠士で周回を重ねる。青板周回から北日本コンビがゆっくり上昇を開始、松浦も続き、バックで新山が脇本に並びかけると、脇本はいったんは突っ張る素振りを見せるが、結局は車を引く。古性優作と単騎の浅井も北日本にスイッチし、脇本が8番手まで下がったところで赤板を通過する。新山は後ろを警戒しながらスローペースに持ち込むが、打鐘とともに一気に先行態勢に入り、縦長の展開で最終ホームを通過する。新田が車間を切って援護するが、最終ホーム過ぎから3番手の松浦が捲り上げ、古性も松浦を追いかける。新田は合わせることができず、新田の横を通り過ぎた松浦は3コーナーで新山を捉えて捲り切る。そこからは松浦と松浦に追いついた古性とのもがき合いとなり、最後の直線で松浦をねじ伏せた古性が先頭でゴールイン、稲川が2着、東口が3着に流れ込む。

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