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2023年度全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪展望
レース展望 2023.05.24

2023年度全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪展望

#グレードレース展望

 新型コロナウィルス感染症の影響で開催中止が続いていた全日本プロ選手権自転車競技大会が4年ぶりに富山競輪場で5月29日に開催されるが、それに先立つ27日と28日の両日に「2023年度全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪」が開催される。格付けはFIIだが、S級S班6名を始めとするトップレーサーたちが勢揃いで見応えたっぷりの戦いが繰り広げられるだろう。

優秀  脇本雄太が驚異のスピードで押し切る。
 初日のメインとなるのは優秀競走3個レースで、S級S班の6名に選考期間(令和4年9月〜令和5年2月)における平均競走得点上位18名が出場するが、各レースで3着までに入った9名が2日目のメインとなるスーパープロピストレーサー賞に進出できる。5月の日本選手権で腰痛を抱えながらも圧巻のスピードを見せつけた脇本雄太がやはり中心になりそうだが、好調ぶりを力強くアピールした新山響平の先行や復活なった清水裕友の捲りも強力で、もちろんGI初優出で初優勝を飾った山口拳矢の走りにも注目が集まる。
 脇本雄太は日本選手権では連覇はならなかったが、準決では打鐘前にカマして先行態勢に入ると風速3mの強風をものともせずに後続をぶっ千切って上がりタイムは10秒7、車間を空けて援護していたつもりの古性優作が1車身半も離されてしまう驚異のパワーを見せつけた。それでも初日特別選抜は4番手の外並走から巻き返せず8着、決勝も8番手となって7着と大敗しているだけに全幅の信頼は置けないが、333バンクの富山なら赤板先行でも十分に逃げ切れるだろう。
 新山響平は2月の全日本選抜では準決敗退と物足りない成績に終わったが、その後は自転車のセッティングや練習方法を見直してパワーアップ、日本選手権の決勝では仕掛け切れずに6着に終わったが、2日目特別選抜と4日目ゴールデンレーサー賞は捲りの2着で守澤太志とワンツー、準決では眞杉匠を相手に突っ張り先行を敢行して2着に粘り佐藤慎太郎とワンツーと、S級S班の名に恥じない堂々の走りを見せており、もちろん今回も先行・押し切りを狙ってくる。
 GI最高峰の日本選手権に於いて山口拳矢はGI初優出で初優勝の快挙を達成、同時に父の山口幸二は98年のオールスターを制しており史上3組目の親子でのGI制覇となった。決勝は単騎だったが、勝負どころで中四国ラインの4番手を確保すると、内から迫ってきた佐藤慎太郎のブロックを凌ぎ、直線鋭く伸びての見事な勝ちっぷりだった。もちろんダービー王となった山口に対する警戒網が今後はますます厳しくなってくるだろうし、それを山口が中部の仲間とともにいかに突破していくかが一番の見どころになるだろう。

脇本雄太 福井 94期
新山響平 青森 107期
山口拳矢 岐阜 117期

特選 犬伏湧也が期待を超える走りを披露する
初日特選の3個レースには先行順位28位から54位の27名が出場するが、各レースで5着までに入った15名が2日目のダイナミックステージに進出する。ここは5月の日本選手権でついにGI初優出を果たした犬伏湧也が一番の注目選手だが、復調気配の三谷竜生や山田庸平の捲りも強力だ。松井宏佑や吉田有希の先行もスピード抜群で、ハマると怖い小松崎大地の大駆けも侮れない。
 犬伏湧也は日本選手権で期待を超える走りを見せた。準決は脇本雄太に主導権を握られて辛くもの3着での突破だったが、一次予選は逃げ粘りの2着で香川雄介とワンツー、二次予選は新田祐大を不発に終わらせての逃げ切り、そして決勝では清水裕友‐香川雄介を連れてしっかり主導権を取り切り、脇本雄太を不発に終わらせるだけではなく、5番手に入った新山響平にも仕掛けを許さない素晴らしいスピードを見せつけた。もちろん今回も力強い先行を披露してくれるだろう。
 三谷竜生が急速に復調してきている。2月の全日本選抜は3年ぶりのGI優出で決勝3着、3月のウィナーズカップでは準決で4着と敗れたが予選は2着、1着の勝ち上がり、日本選手権も優出はならなかったが一次予選は8番から捲って1着で上がりタイムは11秒0、6日目順位決定は捲って2着とスピードが戻っている。全盛期の頃と比べるとレースの組み立てや仕掛けのタイミングなどにまだ物足りないところはあるが、今回も得意の捲りで勝ち星を挙げていくだろう。

犬伏湧也 徳島 119期
三谷竜生 奈良 101期

選抜 取鳥雄吾が積極的な攻めで押し切りを狙う
 初日選抜6個レースには先行順位55位から108位までの54名が出場するが、各レースで2着までに入った12名が2日目のダイナミックステージに進出する。菊池岳仁、青野将太、町田太我、松岡辰泰、松本秀之助ら117期の若手選手の駆けっぷりが見どころで、333バンクの富山が舞台だけに激しい主導権争いが期待できるだろう。
 そんな新鋭たちを相手に経験値の違いを見せつけてくれそうなのが107期の取鳥雄吾だ。5月の日本選手権は一次予選で敗れたが先行で岩津裕介を1着に導いて自身は4着、3日目選抜は捲って1着、4日目選抜は先行で3着に粘り番手の大川龍二が1着とまずまずの成績を挙げている。昨年11 月の富山GIIIでは準決で惜しくも4着と敗れたが、初日特別選抜が捲って2着、二次予選は逃げ切りとバンクとの相性もよく、今回も積極的に攻めて押し切りを狙ってくる。

取鳥雄吾 岡山 107期

プレイバック 新山響平の逃げに乗って守澤太志が優勝
太田竜馬‐松浦悠士の中四国コンビが前受け、3番手に吉田拓矢‐諸橋愛の関東コンビ、5番手に古性優作‐荒井崇博の即席ライン、7番手に新山響平‐守澤太志‐成田和也の北日本ラインで周回を重ねる。青板周回のバックから太田が後方からの仕掛けを誘うようにペースを落として誘導員との車間を空けはじめると、吉田が前に出るが、続いて古性も前を切り、さらに新山が勢いよく踏み上げて先行位置を奪う。古性は北日本の3番手を狙う素振りを見せるが、結局は4番手に引き、6番手に吉田、8番手に太田となったところで打鐘を迎える。新山は迷うことなくペースを上げ、最終ホーム手前から8番手の太田が巻き返してくる。太田は5番手の外まで上がるが、合わせて古性が捲り発進、太田は不発に終わり松浦が古性‐荒井の後ろに切り替える。しかし新山の掛かりがよく、古性も守澤の厳しい牽制を受けて後退、番手絶好の守澤が中バンクを鋭く伸びて優勝、イエローライン上を強襲してきた松浦が2着、荒井が3着に入る。

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