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KEIRINグランプリ2022展望
レース展望 2022.12.27

KEIRINグランプリ2022展望

#グレードレース展望

今年のベストナインによる最後の大一番・KEIRINグランプリ2022が12月30日に平塚競輪場に於いていよいよ号砲を迎える。新田祐大を始めとして4人揃った北日本勢がライン的には優勢だが、今年前半の競輪界を席巻した脇本雄太と古性優作の近畿コンビも強力で、単騎戦となりそうな松浦悠士、郡司浩平、平原康多の動向にも注目が集まる。


古性優作 大阪 100期 
脇本雄太との鉄壁コンビで連覇を目指す


 古性優作は昨年のグランプリは単騎戦だったが、主導権を握った関東ラインを追いかけて4番手を確保、最終2角過ぎから捲るとあっというまに前団を抜き去って初出場で初優勝を飾っている。その勢いのままに2月の全日本選抜決勝では、太田竜馬-松浦悠士の3番手を追走から番手捲りの松浦のインを突いて優勝しグランプリ一番乗りを決めている。さらに6月の高松宮記念杯決勝ではやはり単騎戦だったが、最終バック6番手から捲ってうれしい地元優勝を飾っている。今回は脇本雄太という心強い味方がいるだけにグランプリ連覇も十分だ。

脇本雄太 福井 94期 
圧巻のスピードで超人ぶりを見せつける


 脇本雄太は5月の日本選手権決勝では眞杉匠の逃げを7番手から捲りにいき、番手捲りの平原康多の上を難なく乗り越えて優勝、2年ぶり4回目のグランプリ出場を決めた。さらに8月のオールスター決勝では同県の寺崎浩平との連係を外して7番手まで下がったが、そこから捲って上がりタイム10秒8の圧巻のスピードで優勝、しかも5連勝の完全優勝のおまけ付きだった。9月の共同通信社杯と11月の競輪祭ではともに二次予選Aで敗退しているのがやや気がかりだが、グランプリでは古性優作との連係で本来のスピードを見せつけてくれるだろう。


新田祐大 福島 90期 
北日本連係からパーフェクト制覇を狙う


 新田祐大は5月の地元・いわき平での日本選手権では前検日に落車して無念の欠場となり、6月の高松宮記念杯から復帰したが二次予選敗退と低迷した。しかし、10月の寛仁親王牌では準決を捲りの2着で突破して2月の全日本選抜以来のGI優出を果たすと、決勝では内に詰まった絶体絶命の展開からインコースを突いて優勝、史上4人目のグランドスラマーとなった。さらに11月の競輪祭決勝では新山響平を引っ張って新山のGI初優勝に貢献しており、今回も北日本連係からのグランプリ初優勝で完全無欠のパーフェクト制覇を狙う。

新山響平 青森 107期 
北日本の強い絆で平塚バンクを駆け抜ける

 新山響平は昨年11月の競輪祭決勝では逃げ切りで初優勝かと思われた瞬間、同期の吉田拓矢にゴール前で交されて悔し涙を飲んだ。それから1年、今年の競輪祭決勝では自ら新田祐大の番手を志願、新田の先行で新山はいったん坂井洋に絡まれたが、すかさず番手捲りを打ち、捲りで迫る郡司浩平に2車身の差をつけて悲願のGI制覇を成し遂げた。今年は8月のオールスターでも優出と年間を通して好調をキープしており、「北日本から優勝者を」の強い気持ちで平塚バンクを駆け抜けるだろう。

松浦悠士 広島 98期 
シビアな攻めで好位置奪取を狙う


 松浦悠士は、今年は7月のサマーナイトフェスティバルで犬伏湧也の逃げに乗って初優勝しているがGIタイトルには手が届かなかった。それでも2月の全日本選抜決勝は太田竜馬の逃げに乗って準優勝。3月のウィナーズカップも太田竜馬の逃げに乗って番手捲りを打ち、続いた清水裕友が優勝で松浦が準優勝。8月のオールスター決勝は最終的には脇本雄太に捲られたが寺崎浩平の番手を奪って準優勝と相変わらず安定感は高い。今回は盟友の清水裕友が不在で単騎戦、シビアに攻めて好位置奪取を狙ってくるだろう。

郡司浩平 神奈川 99期 
地元ファンの前で強さを発揮する


 郡司浩平は、今年前半は6月の高松宮記念杯での優出はあるもののやや低調で地元平塚のグランプリ出場も危うい状態だった。しかし、9月の共同通信社杯決勝では和田真久留の援護を受けて堂々の逃げ切りで完全優勝を達成、賞金の上積みに成功した。続く10月の寬仁親王牌は準欠で敗れたが、11月の競輪祭決勝では北日本連係を打ち破ることはできなかったものの準優勝と健闘している。4日目ダイヤモンドレースでは新山響平-新田祐大の2段駆けを捲って1着となっており、グランプリでも地元ファンの期待に応える強さを発揮してくれるだろう。

守澤太志 秋田 96期 
八面六臂の活躍で北日本勢を援護する


 守澤太志は、今年は4大会のGIで優出しており、10月の寬仁親王牌決勝では準優勝ながら最終バック9番手から大外を捲って2着と強さを発揮している。しかもただ強いだけではなく、マーク選手の仕事をしっかりこなしているのが守澤のすごいところだ。11月の競輪祭の準決では逃げた新山響平を、車間を切って援護、捲ってきた郡司浩平は止められなかったが、続いた岩本俊介をブロックして新山を2着に残した。決勝も今度は郡司の捲りをしっかり止めて新山の初優勝に貢献しており、今回もマーク選手として八面六臂の活躍を見せてくれるだろう。

佐藤慎太郎 福島 78期 
グランプリ優勝者の最高齢の記録を塗り替える


 佐藤慎太郎は、今年はGIで3回、GIIで2回優出しており、獲得賞金ランキング6位で4年連続8回目のグランプリ出場を決めている。とりわり5月の日本選手権決勝では関東ラインの3番手から直線伸びて準優勝しており、46歳という年齢を考えるとその強さと安定感は驚異的だ。19年のグランプリでは逃げる脇本雄太-村上博幸の3番手に巧みに切り替えるとゴール前で差し切って優勝、グランプリ優勝者の最高齢の記録を塗り替えており、今回も自分の持つ記録をまたもや塗り替えてくれるかもしれない。

平原康多 埼玉 87期 
昨年の寬仁親王牌と同様に北日本分断も


 平原康多は、今年はGIで3回、GIIで2回優出と相変わらずの安定した走りで賞金を積み重ね、獲得賞金ランキング7位で10年連続13回目のグランプリ出場を決めている。平原も6月に40歳を迎えたが、昨年10月の寬仁親王牌では4年8か月ぶりのGI制覇を達成しておりもちろん衰えはない。ちなみに昨年の寬仁親王牌決勝では北日本4車を分断して好位置を奪取し、番手捲りの新田祐大を差して優勝しており、今回も北日本分断を作戦のひとつとして考えているだろうし、平原の動向がレース展開を左右する大きなカギとなるだろう。

KEIRINグランプリ2021を振り返る
単騎の古性優作が初出場で初優勝


 郡司浩平-佐藤慎太郎-守澤太志の混成ラインが前受け、4番手に清水裕友-松浦悠士の中国コンビ、6番手に吉田拓矢-宿口陽一-平原康多の関東ライン、単騎の古性優作が最後尾で周回を重ねる。赤板手前から清水が上昇して郡司に並びかけるが、誘導との車間を切っていた郡司が突っ張って清水を出させない。すると今度は吉田が踏み上げ前団を一気に叩いて主導権を握る。関東ラインに古性も続いて4番手、郡司が5番手、下げた清水が8番手となったところで打鐘を迎える。吉田はペースを緩めることなく全開で逃げ、清水が必死で巻き返してくるが郡司の横までが精一杯、郡司も内に詰まって抜け出せない。するとバック手前から4番手の古性が発進、同時に宿口も番手捲りに出るが、スピードは古性のほうが勝っており3コーナーで宿口を捲り切るとそのまま後続を千切って先頭でゴールイン、最後の直線で宿口を交わした平原が2着、平原を追った郡司が3着に入る。


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