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ヤンググランプリ2023展望
レース展望 2023.12.06

ヤンググランプリ2023展望

デビュー3年以内の若手選手によるナンバーワン決定戦・ヤンググランプリ2023が立川競輪場に於けるKEIRINグランプリシリーズの初日11Rに実施される。すでにGIで大活躍している犬伏湧也、太田海也、中野慎詞の3人の攻防戦が見どころになりそうだが、昨年準優勝の吉田有希や北井佑季の一発も侮れず、かつてない激しい叩き合いが展開されるだろう。

中野慎詞 岩手 121期

中野慎詞は来年に迫ったパリ五輪を目指して自転車競技中心の生活を送っており、競輪には不慣れなせいかなかなか結果を残せずにいる。それでも8月のオールスターでは連日逃げて準決まで勝ち上がり、準決も8着だったが吉田有希とのもがき合いを制して主導権を取りきっている。10月の寛仁親王牌は二次予選Aで敗退、11月の競輪祭も二次予選Aで敗退したが、一次予選1は8番から捲って2着で和田圭とワンツー、予選2は内に詰まる苦しい展開ながら直線伸びて2着に突っ込んでおり、今回もさすがのスピードを発揮してくれるだろう。

犬伏湧也 徳島 119期

犬伏湧也は5月の日本選手権でGI初優出を達成、8月のオールスターでも2日目オリオン賞は6着だったが、一次予選2、二次予選、準決を文句なしの3連勝で勝ち上がっている。10月の寛仁親王牌ではこれまで多用していた捲りを封印するかのように先行主体の走りにシフトチェンジし、初日特別選抜は逃げて6着だったが、二次予選Bは逃げて2着、準決も逃げて3着で勝ち上がっている。11月の競輪祭は一次予選で敗退しているのが気になるが、今回は同じ四国の上野雅彦との連係がありそうでやはり主導権取りを狙ってくるだろう。

太田海也 岡山 121期

太田海也は中野慎詞と同じく現在は自転車競技に重点を置いており、GI初出場となった8月のオールスターでは準決で惜しくも4着と敗れたが、一次予選1は逃げて2着、一次予選2、二次予選、6日目特別優秀は逃げ切りと素晴らしい走りを披露した。10月の寛仁親王牌は二次予選Aで敗れたが、11月の競輪祭は準決を逃げ切りで突破してGI初優出を達成している。決勝は百戦錬磨の先輩たちに翻弄されて仕掛けきれずに4着に終わったが、今回は同県の山根将太との連係がありそうで、競輪祭での反省を胸に積極的に仕掛けてくるだろう。

北井佑季 神奈川 119期

北井佑季は2月の全日本選抜がGI初出場だったが、一次予選で逃げ切ると二次予選は捲りの2着で突破して準決進出、6月の高松宮記念杯でも準決に勝ち上がっている。9月の立川記念では残念ながら決勝で失格となったが、一次予選が逃げ切り、二次予選も逃げて2着、準決は新山響平の逃げを捲って上がりタイムが11秒0と立川バンクとの相性もいい。11月の競輪祭も一次予選2で捲って10秒9をマーク、二次予選Aは逃げて2着で準決に勝ち上がっており、今回は単騎になりそうだが自慢のスピードで十分に一発が狙えるだろう。

吉田有希 茨城 119期

吉田有希は昨年のヤンググランプリでは3番手から菊池岳仁を連れて捲り、吉田を差した菊池が優勝、吉田が2着で関東ワンツーを決めている。今年も同期同県の橋本壮史といっしょなので狙うは茨城ワンツーだ。今年は3月のウィナーズカップで一次予選と二次予選を逃げ粘りの2着で突破して準決進出、8月のオールスターも二次予選を逃げ粘りの2着で突破して準決進出と活躍したが、10月の寛仁親王牌と11月の競輪祭では一次予選で敗退と精彩を欠いていただけに今回は徹底先行で売出し中の橋本壮史の番手回りも考えられるだろう。

志田龍星 岐阜 119期

志田龍星は日本競輪選手養成所時代にゴールデンキャップ賞を獲得している逸材だが、デビュー後は強豪揃いの119期の出世争いに乗り遅れた印象があり、GI初出場となった5月の日本選手権では5日目一般で落車欠場と無念の結果に終わった。それでも8月のオールスターでは4日目一般で逃げ切りでGI初勝利を挙げ、11月の大垣GⅢでは4日間バックを取って決勝7着と同期のライバルたちに追いつき追い越せと奮闘している。今回は単騎になりそうだが、レースでは意外と器用なところもあり、自慢のダッシュ力で逆転を狙う。

橋本壮史 茨城 119期

橋本壮史は昨年末にS級2班に昇級したがまだF1での優勝がなく、決勝進出もおぼつかない状態だ。しかし、4月の久留米GⅢでは準決を逃げ粘りの3着で突破し、決勝は同県で練習仲間の朝倉智仁の先行に乗っての番手捲りでS級初優勝を飾っている。6月の大垣記念でも準決は佐藤慎太郎を連れて逃げて3着に粘り、決勝は7着ながら犬伏湧也を相手に主導権取りと健闘している。7車立てのF1より思い切りよく仕掛けられる9車立てのレースのほうが性に合っている印象で、今回も同県の吉田有希を連れての先行がありそうだ。

山根将太 岡山 119期

山根将太は日本競輪選手養成所時代にはゴールデンキャップ賞を獲得しているが、デビュー後はやや伸び悩んでしまった。それでも先行主体の積極的な走りで奮闘しており、5月の武雄F1で決勝は捲りになったがS級初優勝を飾っている。GI初出場の8月のオールスターでは一次予選1で9着ながら中野慎詞と壮絶な先行争いを演じで場内を沸かせている。近況も11月の四日市記念では4日間先行して2日目選抜で逃げ切っている。今回は太田海也の番手を回れそうなので、太田にしっかり食らいついていけば大きなチャンスが巡ってくるだろう。

上野雅彦 香川 119期

上野雅彦は昨年3月に名古屋で実施された119期のルーキーチャンピオンレースでは5番手から捲って優勝した犬伏湧也を追走して2着になっており、もちろん今回も犬伏との連係だ。上野は2021年5月のデビューから無敗の18連勝でS級2班に特別昇級したが、その後はやや停滞気味でS級での優勝はまだない。それでも今年は4月の久留米GⅢと8月の和歌山GⅢで準決進出と着実に力をつけてきている。戦法的には逃げと捲りが半々だが、位置取りや追い込みもこなせるテクニックもあり、犬伏にぴったりマークでチャンスを掴む。

プレイバック ヤンググランプリ2022
吉田有希の捲りに乗って菊池岳仁が優勝

 吉田有希-菊池岳仁の関東コンビが前受け、3番手に単騎の寺崎浩平、4番手に山口拳矢-橋本優己の岐阜コンビ、6番手に犬伏湧也-石原颯の四国コンビ、8番手に町田太我-松岡辰泰の広島と熊本のコンビで周回を重ねる。青板の3コーナーから町田が上昇を開始、赤版で正攻法の吉田が誘導との車間を空けて突っ張るそぶりを見せるが、町田が押さえて先頭に立ち、吉田は3番手に収まる。吉田以降の並びには変化はなく、一本棒のまま打鐘を迎える。町田はペースを上げ前年に続いて主導権を握るが、それでもなお後方からの仕掛けはなく、ラインごとにやや車間の空いた縦長の一本棒で最終ホームを通過する。そして最終2コーナーから吉田が捲り発進、最終バック過ぎに町田を捲り切り、関東コンビの後ろは外に寺崎、内に山口の並走となって最後の直線に入る。吉田はゴール前まで粘り込むが、菊池が8分の1輪差交わして優勝、吉田が2着、山口が3着。

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