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直送!競輪場便りfrom平塚競輪場 山崎芳仁(福島88期)
インタビュー 2024.08.28

直送!競輪場便りfrom平塚競輪場 山崎芳仁(福島88期)

#競輪場便り

まだまだ通過点

 GI通算9勝を誇る山崎に、また新たな勲章が加わった。平塚「オールスター」5日目の5R・特選2で、佐々木悠葵の最終ホームからのまくりを追走し、ゴール前でかわして1着。2003年7月のデビュー以来、これが通算500勝となった。「佐々木君が最初からカマシ含みの作戦だった。すごいダッシュで少し離れたけど、1コーナーで追い付いて。あとは持ってこられないように気を付けて。初戦も2戦目も目標がいて、上位着は取れなかったが、その中で最善の着は取っていたので」と、落ち着いてレースを振り返った。

 今回で「オールスター」20年連続出場を達成。初日の開会式では、諸橋愛、平原康多、岩津裕介とともに表彰された。選手生活22年目、出世の早さの証明ともいえる。「500勝に関しては特に意識はしていなかった。取れる時は取れるしね。でも、大きい舞台で勝利数が多いってことですよね」と胸を張る。実際に、山崎はこれがGIで101勝目。GIで100勝以上達成は、中野浩一さん、井上茂徳さん、滝澤正光さん、吉岡稔真さんをはじめ、現役では神山雄一郎、小嶋敬二の名前が並ぶ一方、村上義弘さんや伏見俊昭、平原は届いていない。この項目で表彰があってもいいくらいの偉業だ。

 「選手になりたくて、実際になって競輪が楽しくて、一戦一戦やってきた。どのレースも思い入れがある」と語りつつ、家族や仲間の支えに感謝の言葉を口にした山崎。家族といえば、今年デビューした息子の歩夢(125期)がいる。歩夢はアマチュア時代から自転車競技のエリートで、鳴り物入りでプロの道へ進んだが、7月の平で行われた本格デビュー初戦に誘導員早期追い抜きでペナルティー。現在はあっせん停止中だ。「一緒にもがいたりすることもないし、息子は息子だと。やっぱりこれからは迷惑かけないように頑張ってほしい」と思いやった。歩夢が復帰して順調に成長すれば、親子同時GI出場(過去に坂本勉・貴史の1例)の可能性も十分。「自分は待っているだけだから。(S級から)落ちないように」と、過度な期待をやんわりけん制した。

 45歳の今も自力兼備で戦う山崎は、4回転ギアの先駆者として、一時代を築いた。次々に追従者が現れ、危険防止のためギア倍数に規制がかかり、ブームは強制終了。だが、4回転でタイトルを取りまくっていた頃、本人は「(他が4回転を)やるならやったらいい。自分はもっと上げる準備はしている」と、パイオニアのプライドを見せていた。そうした姿勢がこの地位にとどまり続ける原動力のひとつなのかもしれない。10年の地元・平で「オールスター」を制し「グランドスラム」(全冠制覇)に王手をかけて久しい。残るは「日本選手権」のみだが「取るまで言われるんでしょうが、期待には応えられないですね(笑い)。でも今日みたいに、抜く脚はまだあるから。今後も腐らず、一戦一戦ですね」と、威張らず、欲張らず、流れに逆らわず時を待つ。

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