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直送!競輪場便りfrom岸和田競輪 坂口楓華(愛知・112期)
インタビュー 2024.02.14

直送!競輪場便りfrom岸和田競輪 坂口楓華(愛知・112期)

#競輪場便り

 初タイトルへチャレンジ

「バケモノになりたい」―。26歳の女性の口から、こんな言葉が出るとドキッとするが、真意を問うと「デビューの頃からずっと思っていた。他の選手から、到底手の届かない存在になりたいんです」と返ってきた。昨年は1月から5月にかけて32連勝を記録、年間18度のVは尾方真生と並んでガールズ新記録。今年もさっそく初戦の松戸で完全Vと、好スタートを切り「去年はすごくしんどい一年だった。休む間もなくてつらかったが、結果が出たので救われた。デビューして初めて競輪はいい職業だと思ったし、幸せを感じた」と表情も明るい。2年ぶりに出場した昨年末の「ガールズグランプリ」こそ5着に終わったが、23年が充実した年だったのは間違いない。

 迎えた今年3戦目、1月29日からの岸和田「オッズパーク杯」。昨年、32連勝が始まった思い出のバンクだ。初日は打鐘4コーナーからカマシ先行に出て、後続をちぎり一人旅。さすがの強さを見せつけた。「先行しようと思っていた。仕掛けを8、9割でいけたらいいんだけど。今日は6割で仕掛けて、最後まで踏み上げるイメージで。最後にタレてもいいから、最初から全開で行けたら、12秒0くらいで逃げ切れる。それができるようになりたい」。それでも上がりは12秒2。イメージに近づきつつある。

 2日目は道中押さえ込まれるところもあったが、冷静に引いて最終ホームからまくり、連勝を決めた。「フタをされるのは分かっていたけど、外に振って脚を削られるよりは、まくりに構えようと。下条(未悠)さんの後ろに松本(詩乃)さんが入ったところで、全開で踏んだ。昨日は思ったより時計が出て、それでしっかり踏めている感触をつかめた。上半身と下半身が連動して、気持ちよく走れる」と、思った通りに体も動いて死角も消えた。

 最終日の決勝も6番手から最終1センターで踏み出すと、前団の仕掛け合いをまとめてまくり切り、難なく完全Vを達成。「バケモノ」はともかく、24年の具体的な目標を尋ねてみた。「やっぱりGI優勝を目標にしたい。今まで何もタイトルがないので。昨年は欲を出しすぎてダメだった。欲を出さずに、自分のレースをして結果を出したい」と、昨年から新設されたGIに照準を合わせる。そのための環境づくりとして、昨年11月に移籍を決断。以前から家族のいる豊橋で練習を行っていたが、正式に愛知の選手になった形だ。「移籍して何かが変わったわけではないが、家族がいるところでサポートしてもらえる。そういう一年が始まった。自分の成長が一番楽しみ。限界を超えるのに挑戦している」と、昨年以上の自分を作ろうとしている。あくなき向上心で「天職」を全うする坂口の戦いに、今後も注目したい。

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