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直送!競輪場便りfrom前橋競輪場 恩田淳平(群馬100期)
インタビュー 2023.03.15

直送!競輪場便りfrom前橋競輪場 恩田淳平(群馬100期)

#競輪場便り

S級初Vより嬉しかった恩人とのワンツー

 今年1月の豊橋で念願のS級初優勝を達成した(単発競走を除く)。「ひとつの目標だったので」と喜んだが、「落車や失格があった事故レースだったし、落車を避けられて運が良かっただけです」とも。それよりも嬉しいレースが最近あった。「1月末の地元戦(前橋)です。木暮さんと決勝でワンツーが決まった時はめっちゃテンションが上がりました!」

 二世レーサーの恩田は、S取りの早さを生かして1981年の日本選手権(ダービー)で決勝2着に入った康司氏(40期・引退)を父に持つ。自身も小柄で瞬発力を武器とするが、デビュー間もないころはとにかくパワーが不足していた。競走得点が70点台を割る期間も長く経験。「このままじゃすぐにクビになる」とおびえていた時期もあった。それでも努力を重ねて「2年半かかったけど(苦笑)」無事にチャレンジを卒業。A級1・2班戦に戦いの場を移した。しかしなかなか成績は安定せず…。

 そこで2016年頃、「もっと上を目指すために」とある決断をする。群馬のトップ選手である木暮安由に事実上の弟子入りをし、直接指導を受けるようになったのだ。

「練習はめちゃくちゃキツいです(苦笑)。木暮さんは練習からとにかく強くて。必死に付いていって、やっと終わりかなってころに『じゃあラスト一本』みたいな。で、モガいて帰ってくると『もう一本いくか』って。それの繰り返し(苦笑)。ホント毎日ヘロヘロでした(笑)」

 ただ、練習はウソをつかない。このハードワークを毎日毎日繰り返すうちに、格段にレベルアップした。18年後期にS級へ初昇格。一度A級に降格したこともあったが、すぐにS級に返り咲くと21年には木暮との初連係も叶った。戦法を追い込み寄りにシフトしながら総合力を高めていき、今期ついにS級1班まで上り詰めた。

 恩田が着実に成長を続ける一方で、木暮はここ数年、苦しい時間を過ごしていた。

「練習では相変わらず強いし、自分なんか全然敵わないんですけどね…」

 決して衰えているわけではないのに結果が出ない。そんな恩人の力になれれば、と思っていた矢先、1月の地元戦で同時あっせんが実現した。そろって決勝に進出すると、吉田有希―木暮―恩田でラインを形成。吉田が気迫の2周半先行を見せると木暮が番手から鋭く追い込んで久々の優勝を飾った。復活の糸口となりそうな地元Vを真後ろで見届けた見た感想が、冒頭のコメントだ。

 

 固い絆で結ばれた2人は近況、そろって上昇ムード。ビッグレースで連係するという恩田の夢は、そう遠くない将来訪れるかもしれない。

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