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直送!競輪場便りfrom和歌山競輪場 寺沼伊織(東京115期)
インタビュー 2022.10.19

直送!競輪場便りfrom和歌山競輪場 寺沼伊織(東京115期)

#競輪場便り

S級そろい踏みへ次男奮起

 次男坊が存在感をアピールする。念願のS級昇格へ奮闘中だ。

 22年10月5日からの和歌山FⅠは3、3、3着。先行にはこだわってない。流れを見ながら自分のタイミングでスパートして、勝機を探る。決勝は、3分戦で別線がたたき合い、勝ちパターンに持ち込めたが、ロングスパートとなり最後の直線で失速。別線ラインの追い込み2人の差しに屈した。

「調子は悪くなかった。流れに乗りきれず連に絡めなくて買ってくれたファンには申し訳なかったです。でもこれが今の実力ですね」

と淡々とこのシリーズを振り返った。

これで5場所連続優出。今期(7月以降)に入って8場所中、7優出と安定した成績を続けてS級へ光が見えてきた。

 111期の長男・将彦に続いて115期同期の3男・拓摩とともにレーサーになった。兄と弟は、好きなサッカーを高校まで続けたがプロにはなれず、競輪選手に転じた。その間に挟まれた次男も小学校からサッカー部に入団したが、ゴールキーパーをやらされて合わずに挫折。高校のバドミントン部も週2、3回しか活動がなく義務でやっていただけでスポーツ歴もなく、次男坊らしくマイペースで生きていた。

 進路に迷っていた高校最後の年に、父と一緒に見た京王閣で練習している兄の姿がやけにまぶしく見えて競輪選手を目指した。ピストに乗ったのは高校卒業してから。2年をかけて養成所に入った。

19年にデビューしてから、兄はS級に上がり、同期の弟もすぐに頭角を現しS級に上がったが、次男はやはりマイペースだった。

 「始めたのが遅かったし焦りはないですよ。憧れはYouTubeでみた吉岡稔真さん。あの美しいフォームはしびれますね。卒記レースで弟子のレースを見に来ていたけどすごいオーラで声をかけられなかった。でも持っているものが違うと思うし、ヨコ、タテと何でもできる自在派のレーサーとしてS級に上がって息の長い選手を目指します。そのための経験値をA級のレースで上げるのと位置取りやヨコの戦いにも通用する体作りをやってます」。師匠の田谷勇さんも引退してからバイク誘導や筋トレに付き添って「将来的には追い込み選手も視野に焦らず力を付けろ」とアドバイスをくれる。

 けがで低迷した弟もS級復帰へメドを付けている。追い込みとなった兄もS級に安定してきた。寺沼3兄弟のS級そろい踏みに向けて後は次男坊がひと踏ん張りだ。

   

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