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中野浩一氏インタビュー
自転車競技 2023.12.13

中野浩一氏インタビュー

#自転車競技


2024パリで競輪選手のメダル獲得は成るのか。そしてその後の強化に向けて

2024パリオリンピックが目前に迫っています。
ナショナルチームに所属する競輪選手たちが、メダル獲得を目指すパリオリンピックに向けて最後のチャレンジに入ろうとしている今の現状を、中野浩一JCF強化アドバイザーにインタビューしました。
2023年の競輪選手のナショナルチームにおける活躍はUCIトラック世界選手権で4つのメダル獲得。2022アジア競技大会のトラック自転車競技でほぼすべての種目で金メダルを獲得しています。今や日本は、アジアではトラック強豪国と認識されています。そしてその強化方法にも注目されています。
パリオリンピックでは世界の強豪を破りメダルを獲得することができるのか?
2024年、日本の力が試されます。

2023年 UCIトラック世界選手権でメダルを獲得した競輪選手

中野慎詞 男子ケイリン1-6位決勝レース
中野慎詞 銅メダル 男子ケイリン表彰
内野艶和 女子ポイントレース
内野艶和 銅メダル 女子ポイント表彰
窪木一茂 男子スクラッチレース
窪木一茂 銀メダル 男子スクラッチ表彰

2022アジア競技大会でメダルを獲得した競輪選手 

女子日本チーム 女子団体追い抜きレース
女子団体追い抜き 金メダル表彰
男子日本チーム 男子団体追い抜きレース
男子団体追い抜き 金メダル表彰
男子日本チーム 男子チームスプリントレース
男子チームスプリント 金メダル表彰
佐藤水菜 女子ケイリン1-6位決勝ゴール
佐藤水菜 金メダル 女子ケイリン表彰
佐藤水菜 女子スプリント1-2位決勝レース
太田りゆ 3-4位女子スプリントレース
佐藤水菜 金メダル 太田りゆ 銅メダル 女子スプリント表彰
太田海也 男子スプリントレース
太田海也 金メダル 男子スプリント表彰
窪木一茂 男子オムニアムレース
窪木一茂 金メダル 男子オムニアム表彰

インタビュー

2023年、トラック世界選手権を振り返ると、金メダルがなかったのはちょっと残念でしたがメダルを獲得、2022アジア競技大会では金メダルを連発したトラック日本チームでした。
2024年はいよいよパリオリンピックの年です。ブノア体制になり8年目に突入しますが念願のケイリンで金メダルもしくはメダル獲得の可能性はあるのか?
中野浩一氏に振り返っていただきました。

「2023年のUCIトラック世界選手権では金メダルがなかったのはちょっと残念だけどメダルが4つ(男子ケイリン中野慎詞銅メダル、内野艶和女子ポイントレース銅メダル、窪木一茂男子スクラッチ銀メダル、今村駿介男子オムニアム銅メダル)獲れた。その中でも、ケイリンでは、女子の方が可能性としては昨年一昨年も獲っているし、チャンスはあったと思うけどあれは力負けっていうことではないので、当然、今後もチャンスがあるのではないかなと思う。展開一つで何とでもなるなと、女子の方は思っているけど。男子の方は力的に結果、メダルを取っているし、(太田)海也もね、男子ケイリン準決勝のレースを見ていると、あとは、その展開をどのように作るのかだね要は。
 力的にはね、もうそんなに世界と遜色はないと思う。だからあとは経験とコーチがどのように、指導していくかっていうところでしょう。2024年に向けて、十分にチャンスはあるのではと思います。
あとはメダルを獲ったのは中距離系。今まで中距離系はメダルといってもポツンポツンとは獲っていたけれど、本格的には無かったね。やはり東京オリンピックに向けての強化が、その後も継続してやっている部分があるので、メダルが獲れたのではないかなと思っている。これは、イギリスを見ているとわかるけど、イギリスは2012ロンドンオリンピックを目標にということでロンドンオリンピックの10年ぐらい前から強化を始めたんだよね。
 それが結果的にクリス・ホイだったりビクトリア・ペンデルトンだったりという選手たちが出てきて、ロンドンオリンピック前の2008北京オリンピックとかあの辺でもう既に結果を出し始めて、ロンドンではしっかりとメダルを獲るという結果を出した。
やっぱり長期的なスパンでのあの強化体制があるから、だから今でも選手が出てくるよね、ちゃんとイギリスは。
今回の女子だってね、Emma Finucane (イギリス)のタイムはすごいタイム(女子スプリント予選10秒234)だったし、こういう選手が出てくるというのは、長期的な選手たちの強化の方法が、ある程度確立しているから、後から後から出てくるっていう形だと思う。

 日本は東京オリンピックに向けて強化をやったときに、ある程度イギリスのそういう部分を参考にと、いうのもあって、100%とは言わないけれども、ほぼ成功している方に入ると思うね。その後、これだけメダルを獲れたっていうのはね。
中距離だって同じようにメダルを獲れるようになってきたし、来年のオリンピックでメダルを取るのは大きな目標だけど、本当はそれがこの先、パリオリンピック以降も同じような強化を、継続してやっていくっていう体制をしっかり作るっていうのはやっぱり一番大事かなと。

 前から言っているけど、そうしないと、毎回メダル獲得というのが難しい。たまたま出てきた選手がポコッとメダルを獲ることは、昔からあったということは、それなりの才能、素質がある選手が時折出てくるのは間違いないけれど、それをうまくそこにはめ込むことができるかどうかだから、それにはやっぱりちゃんとした強化体制ができていて、強化のシステムが確立しないと先に繋がっていかないと非常に実感しています。」

 後進の育成として考えると、ジュニア世界選を見て非常に思ったのは、ジュニアで強い子はエリートでも強いというのがあります。やはりジュニアのときからちゃんと育てていかないと世界に後れを取ると思います。
「そう、だからこれからね、日本競輪選手養成所は、当然競輪選手になる予備軍として入った中から、抽出してそれをプロになって、どういうふうにやっていくっていうところで、ある程度の人材を確保できるとは思うんだよね。だからそれ以外ね。

 養成所入る前にジュニアのときからどういうトレーニングをやって、そこへ、引っ張っていくかっていうところのシステムを作らなくてはいけないけれど、そこまでまだ手が回ってないと言えば回っていない。
今回の女子ポイントレースでの内野艶和の銅メダルもやはり、内野もジュニア世界選女子ポイントレースチャンピオンだから、そういう子が実際いるわけだからね。ジュニアトラック世界選では北津留翼も勝っているんだよね。
 今のところ、日本自転車競技連盟そのものが、ジュニアまで金かける余裕がない。しかしそこに目が向くようにしなきゃいけないっていうところは、当然あるので。
今だと親にお金があればできるけど、そうではない場合に才能、素質のあるジュニア選手にチャンスを与えられる、また育成できるチャンスを与えられるシステムを構築しなければならないよね。」

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