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車券推理の極意 高松宮記念杯「決勝」
解説&分析 2023.06.21

車券推理の極意 高松宮記念杯「決勝」

#レース予想の極意

久々に6日間開催となったシリーズ。ガールズケイリンGIも加わり見所が増えました。そして一次予選がトライアル方式になり、準決勝が東西2個の計4個。決勝まで勝ち進むには5走と辛く長いシリーズです。いかに前半3日間のトライアルを楽に勝ち上がるか、そして力を見せ付けるかで、後半が優位に戦えます。上位陣が優位である事は変わりませんが、東西それぞれのトライアルベスト9は 青龍賞、白虎賞に乗れ、準決勝へのシードです。厳しい2次予選を回避するために、一次予選から緊迫感一杯でした。

初日、そんな中で古性が落車しました。地元で連覇の掛かるシリーズです。いつもなら避けそうなシーンでしたが、流石の古性でも硬くなったのかと感じました。オール予選の厳しさでもあります。ただそこからの古性は流石でした。満身創痍。気迫を感じさせ勝ち上がって行きました。トライアルは2走ですが、連絡みを一度でもすれば、二次予選に勝ち上がれるポイントがあります。とは言え古性にとっては窮地に追い込まれたシリーズの幕開けとなりました。

その他の選手で目を引いたのは新田です。トライアル2走は積極的に先行し、青龍賞に進みました。ここでも見せ場十分の走りでしたが、不運とも言うべき失格。残念でした。それとは少し違う形でしたが、新山の存在です。連日の突っ張り先行でしたが、着も悪くイマイチに感じていました。良い所は誰も前に出さない気持ちがあり、それが準決勝にプラスに作用したと思います。準決勝で対戦した北井は新山が来る事を想定して早めにペースを上げました。しかし新山はそれを逆手に取っての叩き先行です。

着は悪くとも内容が良い事。それがいかに重要かです。

そして期待した犬伏と嘉永です。この両者も連日積極的に自分らしさを発揮していました。勝ち上がりはし ませんでしたが、やはり未来のスターでしょう。勿論、脇本も相変わらずの流れを見てのレースでした。無傷で決勝へ。調子も上々と言った所でした。

そして決勝メンバーが出揃いました。 近畿は脇本、古性、稲川。神奈川勢は松井、郡司。北日本は新山、佐藤。そして松浦に、山田の並びとなりました。山田が松浦に着いたのは少し意外でした。山田の連日の動きを見ていると、出来も松浦より上です。自分で位置を作るレースをしても良いと思いましたが、松浦の番手を選択。ただメンバー的に松浦が3番手を取ってくれそうなので、脚を使わずにいい位置にいれる事は プラス材料ではあります。

展開予想

前受けは脇本率いる近畿ライン。後は枠なり。神奈川勢、北日本勢、そして松浦ラインで周回。このレースのポイントは新山です。ダービーの様に優勝を狙いに行くかです。ただこのレースには松浦がいます。ダービーと同じ5番手ですが、そこから捲りを放っても、もつれそうで厳しい位置になります。その場合は松井が先行になります。その場合は脇本が早目に叩けそうな気配でもあります。そしてその5番手を新山が嫌い、先行勝負なら、松井と叩き合いになります。この場合も脇本が早目に捲りそうです。何にしても早目なら古性が交わしそうです。本命は古性となりますが、ダークホースは山田です。目標とした松浦が必ず良い位置にいる。そうでなければ早目に仕掛けます。山田にとっては脇本が早目の先行でない限り、労せず良い展開になる可能性が高いです。それを活かせるかです。基本は松井の先行。3番手松浦。後は新山の仕掛けはいかに、です。そこを早目に動く脇本の展開です。展開有利なのは郡司。出来は山田、脇本。盲点は山田です。

車券的推理予想  7=1ー423 7=4ー1235 4=2ー57

結果 7ー3ー8 373.4倍(111番人気)

レース経過

前受けはいつも通り脇本。そして松浦ラインが入った。南関、北日本の並びで周回を重ねる。そして後方新山が脇本を切りに来る。この動きは先行というより、中団取る構えのイン切りの動きだった。新山は脇本が誘導と車間を切った事で、いつも通り「脇本さんは下げる」と思ったはず。しかし脇本は突っ張った。新山にとって予期せぬ動きだったと思う。そこから展開に対応出来ていなかった事を見ても分かる。スタート4番手確保した松浦がしっかり位置を維持。バックから捲りを放つ。しかし日本一の自力選手を捲るのは例え4番手でも厳しい。仮にこのレースが準決勝なら古性は松浦を牽制して近畿上位独占を狙うはず。しかしここは決勝戦。古性が松浦の動きに合わせて踏み出し、後続を振り切り優勝。

古性は初日落車の大きなハンディからの、シリーズの始まり。連日不安の中で、確認作業的なレースにもなったと思います。ここに来るまで古性は積極的な位置作りに加え、スピードにも磨きが掛かっていた。そして迎えた地元GIであった。満身創痍。今までと違う姿。その気迫が脇本の心を今まで以上に動かしたと思います。脇本は勝ち上がりで、捲り作戦しか無かった。しかも自身だけが着に入るレースもあった。その事が逆に、突っ張り先行が決まり易くなった事はある。しかし本来は逆である。勝ち上がり無理をしてでも先行で味方を多く勝ち上がらせる。そして味方にものを言わさず、決勝は自身の1着を目指す。この場合は誰も何も言わない。決勝で古性の役に立ってはいるが、それが脇本の敗因でもある。その辺はこれから考え学んで欲しいと思います。

古性の気迫溢れるレースは立派だった。

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