納得いくまで走りたい
またしても復帰後初勝利はならなかった。熊本FⅠ、2日目のS級一般に出走した稲垣裕之は、佐藤竜太の先行に乗って番手絶好の展開を迎えたが、3番手を回った鷲田幸司にゴール寸前で逆転された。レース後は「1着はお預けですね」と笑顔を見せ、悔しさを隠していた。
昨年9月、向日町記念in奈良での落車により、左肩甲骨や左鎖骨を骨折する大けがを負った。復帰戦となった12月松戸では2着2本。その後は開催を追うごとに順調に調子が戻ってくるはずだった。
「今も感触自体は悪くないけど、体に力が入っていない」
左肩にはプレートが入っている。そのプレートが可動域を狭め、思うような動きを妨げているという。
「今までいっぱいけがをしてきたけど、こんなに長引いたのは初めて。けがから戻すのも技術だと思っているし、年齢もあるけど、現状はもどかしいです。2010年8月に骨盤骨折した時は自然治癒だった。今回は1年間プレートを入れてくれ、と医者に言われていますし、入れる時も除去する時も手術で筋肉を切らないといけない。修復に時間がかかりそうです」
思わぬ障害が出ている中で、2月平塚では失格。今期ここまでの競走得点は96点台。2003年前期のS級昇級以来、一度もなかったA級降級の危機に立たされている。
「そこは受け止めています。それが今の実力だし、その中で常に全力で、と思っている。最近、引退した大塚健一郎君は同い年。連絡を取ったら『自分で自分が許せない』と言っていた。気持ちの強さがすごいな、と思いました。葛藤はあるけど、僕は最後まで、納得がいくまで選手をやりたい」
まずは、違和感の原因となっているプレートが取り除かれてから。そこからの変化に期待しながら、日々の練習に取り組んでいる。
「また良くなるんじゃないか、という期待はある。プレートを除去して可動域が出た時に、明らかに良くなったと言えるように準備をしたい」
けがには負けない。稲垣は自分自身が納得するまで、努力を重ね、戦い続ける。