「目先だけではなく、その先を見ている」
公益財団法人日本自転車競技連盟副会長の中野浩一氏に、これからのナショナルチームと競輪界の未来について話を聞いた。
2028年のロサンゼルスオリンピックへ向け、日本のトラック界は確実に動き出している。
金メダル獲得はもちろん、その成果が競輪界へ還元され、ファンの熱狂へとつながる――。そんな理想の循環を、どう描いているのか。
「目先だけではなく、その先を見ている」
「オリンピックを見据えた強化は、今もしっかり取り組んでいます。メンバーの入れ替えも進めていますし、連盟の各部会の体制も変わりました。目先の強化だけでなく、その先をどうするのかという議論を進めています」
着実に進む体制整備。ただし、現実は甘くない。
「正直に言えば、スポンサー探しは簡単ではありません。だからこそ、将来的なビジョンが重要になる。日本で世界選手権を開催するという構想もありますが、まだ正式決定ではありません。あくまで案の段階です」
もし世界選手権の開催が実現すれば、日本自転車界の景色は一変する。スポンサー獲得、若手育成、そしてファン拡大――。すべてが加速する可能性を秘めている。
ナショナル経験者が競輪で輝く理由
現在、競輪界のトップ戦線では、元ナショナルチーム所属の選手が数多く活躍している。
「それは一つの“結果”です。本来は世界でメダルを獲る経験を積み、その実績を持って競輪に専念したときに真価を発揮してほしい」
世界のレベルは年々上がっている。距離種目では世界記録の更新が続き、機材も進化している。
「ただし、環境や条件の違いも大きい。単純なタイム比較では語れません。何を目指すのかが重要なんです」
競技と競輪――両立できるか
「競技で世界に出ることは、競輪選手の存在を広く知ってもらう大きな意味があります。ただ、全員がそこを目指す必要はない。競輪はファンあっての公営競技です」
世界基準のトレーニングだけで、国内の競輪を勝ち続けられるのか――。
その問いは重い。
「世界で勝つ選手は、日本でも勝たなければならない。同じ自転車競技なのですから、どちらか一方だけではいけない」
かつて世界選手権で10連覇を達成したレジェンドの言葉には、強い説得力がある。
「私が今も名前を覚えてもらえているのは、世界で勝ち続けたから。世界で結果を出せば、活動の場は広がります」
世界で勝ち、競輪で魅せる
競技と競輪の両立。
それができる選手が増えれば、競輪界の可能性はさらに広がる。
ロサンゼルス五輪で世界を驚かせる走りを見せ、その選手が国内のバンクでファンを沸かせる――。
その未来を現実にできるかどうかは、今の強化にかかっている。
競輪界が世界へ、そして世界から競輪へ。
好循環を生み出す挑戦は、すでに始まっている。