不惑を迎えての大躍進
村田雅一がキャリアハイを更新し続けている。2月全日本選抜ではデビュー20年で初のGⅠ決勝に勝ち上がると、3月ウィナーズカップでも決勝に進出した。そして6月別府GⅢの決勝は村上博幸が3番手で、村田が寺崎浩平の番手回り。これには村田も「今までは考えられなかったことなので」と感慨深げ。実際、4月松阪FⅠの決勝では競走得点ではわずかに上回っていた村田が村上の後ろだった。競走得点が全てではない追い込みの世界で、村田がひとつ評価された瞬間でもあった。
昨年前期は2度の失格でA級落ちも危ぶまれるほどだった。浮上のきっかけは昨年の6月。高松宮記念杯後に行われた近畿勢の打ち上げに参加した村田は南修二に「岸和田に練習においで」と声をかけられた。
「すぐに行きました。そこから練習内容やスケジュールの組み方がガラッと変わった。岸和田には脇本(雄太)や寺崎も練習に来る。古性(優作)や福井の2人と一緒に練習させてもらったのが大きかった。今までレースでしか一緒に走ることがなかった選手の癖がわかるし、一緒に練習することで自信にもなる。経験値の部分が大きいですね」
もうひとつの要因がフレームだ。「南さんの丸パクリ」と話す自転車を、昨年10月寬仁親王牌の前検日に南から直接セッティングを出してもらった。以前に一度、挑戦した時には重くて乗りこなせなかったフレームを、乗車フォームから改造することで今回は自分のものにした。
「去年の今頃とは乗り方も全然違う。寬仁親王牌でいきなり準決に勝ち上がれたし、その辺からスピードにも慣れてきた。去年の年末から良かった感覚がかみ合ったのが全日本選抜の決勝進出でした」
実力者ぞろいの近畿勢の中で村田の存在感は増すばかり。古性、脇本に寺崎と近畿勢は自力タイプが数多く賞金ランク上位に名を連ねている。「強い自力が多いので、その後ろにいられればGⅠでもチャンスがあると思う。今年はGⅠ決勝と記念を取ることが目標だった。まずは記念を取って。その力がないとGⅠは獲れない。責任感も出てくるけど、スタイルを崩さず、僕なりにやって結果が出ればいいかな」。遅咲きでも、今が一番の充実期で、今年が飛躍の年になることは間違いない。S級1班に復帰する7月から、さらなる攻勢をかける。