1990年前橋で世界選手権が行われ、それを記念して寬仁親王牌が誕生しました。当初はGIではなく特別レースの様な形です。私は第一回目から参加しましたが、もう今年で33回目の開催です。月日が流れるのは早いと改めて感じます。世界選手権記念トーナメントですから競技からの選出枠が多く、全プロの競技結果での出場やシードが当初からありました。そのため他のGIより脚力差があるシリーズです。逆に言えば若手にとってはチャンスの大会です。
今年も昨年に引き続き弥彦での開催。その弥彦バンクは何と言っても長い直線。先行選手にとっては厳しいレースになります。昨年は犬伏湧也の初タイトルを期待されたファンの方も多かったでしょう。結果は駆け渋って大敗。小松崎大地の先行を4番手から捲って古性優作が優勝です。
今年はここまでやはり古性の攻めながらも安定感は絶大です。そして眞杉匠の勢いです。両者は戦法的にも似ている部分も多いです。古性は自力と位置取りにそつが無い。そして眞杉は強引な先行に、荒削りではありますが位置取りも加わります。両者の最大の共通点は勝負強さです。世代は違いますが、東西王者と言っても良いと感じます。
初日から両者の動きは際立っていました。古性は番手追い上げ、眞杉は番手から後続を捌き抜け出しました。安定感のあるレース運び。凄味も感じさせました。
準決勝は強い雨と、バック向かい強い風の状況。10Rは新山が先行し、深谷が絶好の3番手。構えて捲りに行きたかった所だが、最終ホームから仕掛けた寺崎にタイミングを狂わされました。強引に合しに行きましたが、深谷にとってはこれが全てでした。このコンディションで逃げた新山が良く粘った。3着は立派でした。
11Rは北井が先行。3番手清水。後方に脇本で最終ホーム通過。北井番手の郡司が車間を切り仕掛けない。残したい気持ちが強かった。清水が追い出しを掛けた形と脇本が視界に入り郡司が仕掛けましたが、その事が脇本にスピードを与えました。
12Rは松井が先行。注目の古性対眞杉は、眞杉が位置取りを避け 早目の捲りを選択。バックからは大混戦になりました。眞杉の番手から佐々木が抜け出す。古性も何とか混戦を凌いだ形です。
決勝メンバーは少し物足りない感じがします。北日本対近畿の先行争いを捲る郡司の構図です。しかしローズカップ同様に近畿ラインが機能せず、脇本が自ら捲る展開も浮かんで来ます。そして単騎佐々木にも注目出来るメンバーとなりました。
展開予想
前受けは郡司、小原の神奈川勢。その後ろに寺崎、脇本、古性の近畿ライン。そして新山、渡部の北日本で、佐々木、河端の単騎勢が続く。まずこのレースでは、新山はスタートは出ない。それは新山が前受けなら郡司が収まる。寺崎が上昇に新山が引けば脇本番手捲りで決着。突っ張っても郡司がサラ脚で3番手である。仮に古性が1番車を活かし寺崎が3番手でもカマされ易くなる事。ただ初手から郡司が追い上げ、そこに郡司が収まる可能性が高い。故に新山の前受けはない。後は近畿ラインだが、この並びでローズカップで寺崎は失敗している。その分必ず先手を取る意識が高まっている。ここまで脇本自身は捲って1着。出来や流れも向いているので、寺崎が再度不発でも対処出来ると考えていると思う。まず新山が動き出し、寺崎がそれに合わせ上昇する。 このままなら近畿が主導権だが、その先手取りの駆け引きに於いては新山が一枚も二枚も上である。仮に強引に寺崎が主導権を取っても、前受けの郡司のイン粘りがある。出させれば、脇本の優勝が濃厚になる。新山が先行し佐々木が続き郡司がその後ろ。脇本は寺崎に拘らず、捲って出る。ローズカップ、準決勝と脇本が捲りやすい条件はあった。ローズカップでは清水の番手松浦が過去の事や今後を考え出なかった。準決勝では郡司が北井を残したい思いを強く感じた。それらが脇本の捲り頃にさせた事もある。ただ脇本は気分良く勝ち上がっている。本命は脇本になるが、郡司や佐々木の変化技も考えたい。
車券的推理予想
5-1-278 5=2-148 2-4-871 125-12548-3
レース結果
1-4-6 1219.8倍(241番人気)
レース経過
スタートは古性が制し、近畿ラインが前受け。そして南関ライン。そこに後ろに佐々木が入り、北日本ライン。最後方に河端で周回。青板2コーナーぐらいから寺崎が後方を警戒し始める。後方で新山がタイミングを計る。寺崎が誘導員と車間を切る。そこを新山が仕掛けたが寺崎に合わされ、番手脇本の所に降りる。番手以降はラインが入り乱れるが、古性はしっかり位置をキープ。そして最終ホームから郡司が仕掛ける。寺崎はすでに脚を消耗していたが、その番手脇本もタイミングが取れず。仕掛けた郡司もタイミングが合ってる訳でもなく、自然と前に出た感じで合わされかけたが、寺崎の失速に助けられた。そこには番手脇本は勝負所で内差した事もある。古性は自然の流れで切り替えた。そして混戦模様を佐々木が捲って来る。古性も慌てて対応したが、間に合わず。ただこの動きで佐々木のスピードが鈍った。そこを郡司が捌きに行く。そして開いた内を古性が突き優勝。一連の流れと動きが優勝の行方を左右した。優勝した古性は渡部との位置争いは貫禄勝ち。3コーナーは少しミスした感があり優勝は逃したと一瞬感じたはず。そこから再び訪れたチャンスをものにしたレースだった。
古性の連覇で幕を閉じた寬仁親王牌。今回の決勝戦もやはり位置取りが重要になりました。ハンドル捌きが明暗を分けたレースとも言えます。それが一番重要と感じたシリーズでありました。