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全プロ記念競輪展望
レース展望 2022.05.21

全プロ記念競輪展望

新型コロナウィルス感染症の影響で5月30日に佐世保競輪場で開催予定だった「第69回全日本プロ選手権自転車競技大会」は今年も中止となってしまったが、昨年と同様に5月28日と29日の両日に「同大会記念競輪」が実施される。大会のメインであるスーパープロピストレーサー賞を連覇中の松浦悠士に平原康多、古性優作など、格付けはF2ながらS級S班を始めとするトップレーサーたちが勢揃いなだけに今年も熱い戦いが繰り広げられるだろう。

優秀展望

松浦悠士がラインの力で3連覇を狙う

 初日のメインとなるのは優秀競走3個レースで、S級S班の9名に選考期間(令和3年9月〜令和4年2月)における平均競走得点上位の18名が出場するが、各レースで3着に入った9名が2日目のメインとなるスーパープロピストレーサー賞に進出できる。目下連覇中の松浦悠士の3連覇に期待がかかるが、平原康多率いる関東勢や郡司浩平率いる南関東勢も強力で、もちろんスピード一番の新田祐大の捲りや自在戦法が冴える古性優作の一発も好勝負だ。
 松浦悠士は一昨年のスーパープロピストレーサー賞では清水裕友の逃げに乗って優勝、昨年は4番手外並走の展開から捲って優勝している。4月の武雄記念の準決で敗れてから歯車がやや狂った様子で5月の日本選手権も二次予選で敗退となったが、3月のウィナーズカップ決勝では太田竜馬の逃げに乗って松浦が番手捲り、松浦追走の清水が優勝と中四国の結束力を見せつけており、今回の優秀競走も日本選手権で優出して完全復活を印象づけた清水に太田や原田研太朗などの援軍が揃っているだけに、ラインの力で3連覇を狙ってくるだろう。
 平原康多は3月のウィナーズカップは準決敗退に終わったが、4月の武雄記念では今年3回目の記念優勝を飾り、日本選手権では優出と40歳を目前にしても衰えはまったくない。日本選手権では初日特別選抜とゴールデンレーサー賞で吉田拓矢との連係から1着と、近況やや懸念材料だった吉田との連係がうまく噛み合っていたのも高ポイントだ。脇を固める追い込み勢も諸橋愛、宿口陽一といつもの顔ぶれで安心感は高い。スーパープロピストレーサー賞は18年に吉澤純平の逃げに乗って優勝しており、今回も関東ラインの援護を受けて優勝を目指す。
 古性優作は昨年のグランプリを制覇、続く今年の全日本選抜も優勝して輪界の頂点へ登り詰めた。日本選手権決勝では佐藤慎太郎のブロックを受けて脇本雄太を追走し切れなかったが、準決では脇本の逃げをきっちり追い込んで勝ち星を挙げている。4月の平塚記念も決勝は2着だったが、二次予選では7番手から捲って上がりタイムが11秒2と自力脚も相変わらず好調だ。スーパープロピストレーサー賞は17年に平原康多の捲りを追い込んで優勝、昨年は思い切っての先行で7着になっており、今回もタテヨコ自在の走りで勝機を掴んでくる。


特別選抜展望

町田太我が徹底先行を貫く


 初日特選の3個レースには選考順位28位から54位の27名が出場するが、各レースで5着までに入った15名が2日目のダイナミックステージに進出する。ここは大型先行・町田太我の走りに注目だが、眞杉匠と坂井洋の関東2人の逃げも強力だ。ベテラン渡邉一成も走りはまだ若々しく、捲り主体にシフトして上昇気配の渡邉雄太の一発も侮れない。
 グレードレースでトップレーサーたちと対戦するたびに、その徹底先行ぶりで評価を高めているのが町田太我だ。3月のウィナーズカップは準決で敗れたが、深谷知広、平原康多らを相手に主導権を取り切って清水裕友の1着に貢献、2日目の毘沙門天賞では吉田拓矢に主導権を奪われたが強引に叩き返しにいって松浦悠士の1着に貢献している。5月の日本選手権は一次予選敗退と不本意な結果に終わったが、3日目選抜では捲って井上昌己の1着に貢献しており、今回も徹底先行を貫いて巻き返しを狙う。
 地元長崎からただ1人出場は井上昌己だ。井上は42歳とベテランの域に入っているが、ウィナーズカップの初日特別選抜予選では平原康多や新山響平らを相手に町田太我の逃げに乗って1着と脚力は健在だ。昨年12月の佐世保記念決勝では深谷知広率いる南関東勢に主導権を奪われたが、最後は捲り追い込んで2着と地元の意地を見せている。今年2月の佐世保FIでは取鳥雄吾と瓜生崇智を目標に完全優勝、5月の日本選手権では敗者戦ながら3勝をマークと引き続き好調で、今回もホームバンクでの活躍が期待できる。

選抜展望

新鋭・吉田有希が強さを見せつける

 初日選抜6個レースには選考順位55位から108位までの54名が出場するが、各レースで2着まで入った12名が2日目のダイナミックステージに進出する。ここはやはり若手機動力型の走りが見どころで茨城の新鋭・吉田有希が一番の注目選手だが、長野の菊池岳仁、神奈川の青野将大、香川の石原颯、熊本の松本秀之介などきっぷのいい若手が揃っており、激しい叩き合いが繰り広げられるだろう。
 吉田有希はビッグレース初出場となった3月のウィナーズカップは一次予選敗退と残念な結果に終わったが、それでも2日目特一般は逃げ切りで1勝をマーク、次場所の取手FIでは今年3度目の優勝を完全優勝で飾っている。最近の若手はどうしても7車立てのFI戦が中心となるので、9車立てのレースになると組み立ての甘さが出てしまうのは致し方ないところだろう。4月の青森GⅢの決勝も外、外を回されて8着に終わったが、勝ち上がり戦は3連勝しており、今回も9車立てのレースだが本領発揮の強さをきっと見せてくれるだろう。

プレイバック

松浦悠士が4番手外並走から捲って連覇

 吉田拓矢-鈴木庸之-諸橋愛の関東ラインが前受け、4番手に松浦悠士-小倉竜二の中四国コンビで単騎の佐藤慎太郎が続き、7番手に古性優作-坂口晃輔の中近コンビ、最後尾に単騎の鈴木裕の並びで周回を重ねる。青板1センターから古性が上昇を開始、これに鈴木裕も続き、赤板1コーナーで前団を押さえて先頭に立つ。古性を追ってきた松浦は吉田の横で止まり、4番手以下が中四国ラインと関東ラインで並走となる。松浦と吉田の両者は譲らず打鐘を迎えても並走状態が続いたままで、腹をくくった古性が最終ホームからスパートして先行する。一方の松浦は吉田を押し込んでから最終2コーナーから捲り発進、バックで坂口の牽制を難なく乗り越えると3コーナーで古性をとらえて捲り切ってしまう。小倉がぴったり追走してゴール前は両者のマッチレースとなるが、松浦が振り切って先頭でゴールイン、2着に小倉、大外を伸びた鈴木庸之が3着に入る。

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