●10月のMVP
古性優作(大阪・100期)S級S班
弥彦競輪場GⅠ「第33回寬仁親王牌 世界選手権記念トーナメント」
京王閣競輪GⅢ「開設75周年記念ゴールドカップレース」
前人未到の「ダブルグランドスラム」(現存するGⅠ大会をそれぞれ2回以上優勝する事)を競輪人生の目標のひとつに掲げている。古性が寬仁親王牌を走る前までに取っていたタイトルは「全日本選抜競輪」、「高松宮記念杯競輪」、「オールスター競輪」をそれぞれ2本ずつと昨年、制した「寬仁親王牌競輪」を1本。「日本選手権競輪」と「競輪祭」はまだVが無いが、今回「寬仁親王牌」を制したことで、目標へまたひとつ大きく前進した。
究極のオールラウンダーは内へ外へと流れを見ながら大胆かつ丁寧に運び、勝ち方も軽快だった。直後の京王閣記念は優勝こそ逃したが、初日特選の眞杉匠よりも先にまくり、2センターでは逃げた犬伏湧也のハコだった松浦悠士の内をしゃくり、X攻撃で直線を突き抜けたプレーは圧巻だった。
かつて、S級S班の制度が発足された頃に「初心者が迷った場合、また競輪に興味を持った人がどうやって予想をすればいいのかわからないとき、この選手を買えばいい」と思わせられるための赤パンツ、つまり競輪界の代表的存在がS班だという前提があった。まさに、そのとおり。今の古性優作が取り組む競輪スタイルはS級S班の象徴と言っていい。
●10月のベストレース
武田豊樹(茨城・88期)
大阪・関西万博協賛 別府市制100周年記念事業「別府競輪ナイターGⅢ」10月12日 二次予選9R
復帰戦を飾り白星をゲット!不屈の闘争心は健在だ
8月の松戸記念で落車し右肩甲骨の骨折や頭部打撲など多くの箇所を負傷し2カ月強、戦線を離脱し今節が復帰戦だった。武田といえば長年、競輪界の最上位に位置していた名選手。超一流の戦いともあれば当然ギリギリの戦いも多く、これまで幾度もバンクに叩きつけられてきた。「競輪は‶アクシデントスポーツ〟と、とらえているので。これまで多くケガしてきたし乗り越えられました。それにケガをすると色々なことを見直したくなる。そういう意味では休養期間を計画的に過ごせました」と、これまでの経験を総動員して前向きに過ごした。
初日の一次予選は4着に入線し二次予選へ。ここは前を任せた原田亮太が先行すると目いっぱいに車間を切って直線を抜けだし1着を手にした。「原田君のペース配分が上手でした。考えたなか、先行してくれたのがうれしかった」と後輩に感謝し復帰後初勝利を噛みしめた。「競輪って特有の緊張感ってありますよね。人と人が走るわけだし、そのなかにあるプレッシャーを感じて走れるのがいい」と通算497勝目の白星を手に、実戦でしか得られぬ独特な雰囲気を楽しんでいた。