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5月の印象に残った選手、レースを紹介!
特集 2023.06.07

5月の印象に残った選手、レースを紹介!

#今月のベストプレイヤー

●今月のMVP 眞杉匠(24)栃木113期 S級1班

 5月は平塚GⅠ「日本選手権競輪」、宇都宮GⅢ「宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦」、富山FⅡ「全プロ記念競輪」の3本を走った。特筆すべきは地元・宇都宮GⅢだ。

 初日特選は単騎勢もいたが実質は新山響平との2分戦。ここで壮絶な先行バトルを演じ、共に8着、9着と大敗した。それでも新山を突っ張り通し、先行選手としての意地とプライドを示すことができた。2人はやみくもに叩きあったわけではない。眞杉には「日本選手権」の準決で新山に先行選手として大敗を喫したという伏線があった。「負けっぱなしは嫌だったので初日は(新山を)意識していました。もちろん先行で勝ちたい…と」とある程度の目標は達成し満足感のある表情で振り返った。

 前向きの8着スタートなのだから、何もせずしての8着大敗よりは遥かに気持ちが良く、後には引きずらない。2日目、3日目は目いっぱいに魅せるレースを展開して2連勝で決勝へ勝ち上がった。

地元からは眞杉1人だけだったが、山田雄大と佐々木悠葵の2人が乗った。初のGⅢファイナル進出に意気揚々の山田に前を任せ、かつて高松で眞杉の発進によって記念初制覇を遂げた佐々木が後ろとあれば、眞杉にいい流れが向くというもの。レースはその通りに、山田の超ロングスパートを受けた眞杉が番手まくりでしっかりと期待に応え佐々木とワンツー。初日に前場所の憂さを晴らし、悔しさを洗い流しクリアな気持ちで二次予選以降に挑めた事が2日目以降の好走につながった、理想の4日間だった。

●レース 函館競輪「開設73周年記念 五稜郭杯争奪戦」12R決勝
嘉永泰斗(25)熊本113期 S級1班

 相手は新田祐大を背負った嵯峨昇喜郎に、ロング駆けを身上とし師匠の小倉竜二を付けた犬伏湧也とあって、おのずとレースはペースアップする。もちろんそうした構図は嘉永にとっては織り込み済みだった。

最終ホームは前受けから踏み上げた嵯峨と後方からカマした犬伏が踏み合うと、両者の叩き合いを眺める事無く犬伏ラインを追い掛けてすぐに車を外へ持ち出した。新田が嵯峨を見切って自力に転じる前には出切っていなければ勝負は苦しい、そうにらんだと思われる。

 九州の大先輩・荒井崇博が「特別戦線の上位相手に、打鐘過ぎに緩んだところで前を叩けるのは九州では泰斗と(山田)庸平しかいない」と評していた。ここは展開こそ違えど、後手に回るなら出切ってしまえとの雰囲気を感じさせる堂々とした立ち回りで自身2度目となる記念制覇を達成した。1回目は2021年の地元、熊本記念(久留米代替)でその際は北津留翼マークから決めたもの。今回は自らもぎ取った爽快感のあるVだった。

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