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4月の印象に残った選手、レースを紹介!
特集 2023.05.03

4月の印象に残った選手、レースを紹介!

#今月のベストプレイヤー

●4月のMVP 新山響平(29)青森107期 S級S班

4月は四日市競輪GⅢ「大阪・関西万博協賛競輪in四日市」と武雄競輪GⅢ「開設73周年記念 大楠賞争奪戦」を走った。今年からS級S班の座に就いた新山は、年初こそややスランプに陥り精彩を欠くレースが多かったが、3月別府GⅡ「ウィナーズカップ」から長い距離を踏み切り、本来の姿を取り戻しつつあった。別府では「自分は先行屋。長い距離を踏んでこそ」と気持ちを取り戻したか、表情は晴れやかだった。

四日市と武雄はより始動が早かった。2周突っ張りはもちろん、緩めばすぐさま叩きにいく。とにかく主導権を取るのだとの執念を感じさせ、2場所の8走はすべてバックを取った。武雄では2周先行を抜けなかった佐藤慎太郎に「響平の駆け方がうまい。仕上がりが抜群にいい」と言わしめたほどだ。

 武雄の決勝は脇本雄太を後方へ置き中団5番手に位置すると、2角から先まくりで抵抗したが惜しくも振るわずに2着に。それでも「いい勝負ができたし優勝とも思ったが…。負けたけど自信になった」とシリーズ一強ムードの漂った脇本に力勝負で迫ったのだから値打ちはある戦いだった。前半の遅れた分はすでに取り返した。勢いを手中にして更なる上昇を目指していく。

●レース 武雄競輪「開設73周年記念 大楠賞争奪戦」4月23日 10R二次予選
平原康多(40)埼玉87期 S級S班 & 木暮安由(38)群馬92期 S級1班

平原康多
木暮安由

 平原は菊池岳仁をマークし後ろには木暮を従えた。菊池は赤板で水谷好宏を出すと内を青柳靖起にこられて外に浮きかけたが、すかさず外に持ち出して打鐘先行に出た。結果は平原康多が徹底的に車間を切り、木暮も内を締めて平原―菊池でワンツー。3着に木暮が入りライン3人で決まった。

 一見するとラインで確定板を独占しめでたしめでたしだったが、平原は「結果が良かっただけですね。(水谷が)前に踏むタイプだったら終わっていた展開。そんな外の浮き方だった。確率で言うと7,8割は飛んでいたパターンだったと思う。あの辺の精度を上げていかないと。脚があるのにもったいない」と菊池の組み立てミスを指摘した。

 それでも、菊池が出切ってしまえば後ろの2人は余裕の心持ちで持ち場に就く。平原は強烈に車間を切って別線のまくりを引き付け、木暮は平原の動きにこれでもかと内を締める。平原は「あれだけ空ければ自力のレースみたいなもの(笑)。ただでさえ、初手でスタートを追っていて脚を使っていたからきつかった」、木暮も「あれだけ車間を切った3番手って難しいんです。カントを使って駆けているし、踏みながら平原さんが降りてくるから」と、いずれも見た目以上に脚に来ていたようだが、百戦錬磨の2人なら仕事は確かだ。

レース後は3人でしばしの間、話し合っていた。遠巻きから眺めると神妙な面持ちの菊池に対し、平原と木暮は時には笑顔も交え接していた。ベテランコンビが、厳しさと優しさを織り交ぜ熱心に寄り添う姿に、関東勢の未来が見えた気がした。

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