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編集部コラム「KEIRIN On My Mind」山岸佳太(茨城107期)
特集 2022.11.23

編集部コラム「KEIRIN On My Mind」山岸佳太(茨城107期)

湯煙があがる厨房の中、麺の湯切りをしていた店主の将さん。私を見つけて、軽くうなづいた。味のいい世間のラーメン専門店はどこも行列だけど、このラーメン屋はそれとはほど遠い。うまいのに気安く食べられる。それに競輪談議ができるのが気に入って、いつの間にか常連になっていた。精神的には間違いなくいいけど、体にはどうかな…。

富山GⅢの3日目だった。昼が過ぎてひと段落したのか、将さんが厨房から出てきて、「最終12Rの準決勝。北井佑季や伊藤旭がいるけど、山岸佳太から買うつもり」と声をかけてきた。いつも挨拶なしで本題に入ってくる。でも山岸が戻ってきたと感じているのは同じ。というか誰もがそう思う動きをしている。

10月の松山記念で落車した山岸は前回の取手が復帰戦。そこで初日特選は眞杉匠をたたけず大差の7着。準決勝は眞杉の番手回りで、自力選手の石井洋輝にさばかれて4着。最終日は前受けから下げて、巻き返せずに大差の7着。確定板に挙がっていない。ケガの影響がありそうだから、富山もきついかなと思っていたら、一次予選は7番手からのロングまくり、二次予選は3番手の外並走からのまくりで連勝。内の選手のけん制をこらえてのものだった。

準決勝の結果は7着。北井の先行を最終ホームでカマしたが、北井にはまられ、番手まくりを打たれた。7着だが、差がない7着。一緒にテレビ観戦していた将さんはゴール後、20秒ほど腕組みしていたが、「明日も頭で買う」と、こちらを見て言った。気になった選手にそのシリーズの最後まで付き合うのが彼の車券スタイルなのは知っている。

その晩、翌日のメンバーを見て、山岸のレースを検討したけど、私の結論は見。前半2日間よくても、3日目に大敗すると、最終日に立て直せないケースはよくある。連日、気持ちが入った、力を出し切るレースの疲れもあるはず。

最終日は用事があってレースはあとで見た。山岸は3日間の動きもあって、1番人気に押されていた。大石剣士の4番手で被されて万事休したかと思われたのに、最終バックで、外の選手と前の選手の間をこじ開けるようにまくって1着。2着は逃げた選手の番手選手という、セオリー通りの穴車券。2車単で2580円はいい配当だ。

FⅠなら7月の川崎以来の優勝もあるだろうし、記念でも狙ってみるか。

でも、次にラーメン屋へ行ったとき、将さんの自慢話を聞かされるな。

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