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第68回朝日新聞社杯競輪祭(GI)展望
レース展望 2026.11.04

第68回朝日新聞社杯競輪祭(GI)展望

#グレードレース展望

 第68回朝日新聞社杯競輪祭(GI)が競輪発祥の地・小倉競輪場で開催される。ガールズケイリンの第4回競輪祭女子王座戦(GI)との同時開催で6日制のナイター開催だ。前半3日間の一次予選はポイント制で、特別選抜予選などのシードレースはなく、出場選手全員が一次予選を2走し、合計ポイントによる順位で1位〜9位が4日目のダイヤモンドレースに進出、10位〜36位が二次予選Aの3個レースに進出、37位〜63位が二次予選Bの3個レースに進出する。ダイヤモンドレースは失格にならない限り9名全員が5日目の準決勝に進出、二次予選Aは各レースの1着〜4着の計12名が準決勝進出、二次予選Bは各レースの1着〜2着の計6名が準決勝に進出し、準決勝3個レースで各レースの1着〜3着になった計9名が6日目の決勝戦に進出できる。昨年の大会では阿部拓真がGI初優勝を達成したが、今年も8月のオールスター競輪で犬伏湧也がGI初優勝、9月の共同通信社杯で佐々木悠葵がGII初優勝、10月の寬仁親王牌で石原颯がGI初優勝と続いており、今回もニュースターの誕生が期待されるが、もちろんSS班をはじめとする現役のタイトルホルダーたちの巻き返しにも注目したい。

犬伏湧也と石原颯の両輪が四国勢を盛り上げる

10月の寬仁親王牌は石原颯のGI初優勝で幕を閉じた。犬伏湧也-石原颯-松本貴治のわかりやすい四国ラインの2段駆けだったが、別線はそれを止めることができなかった。犬伏の逃げはそれほどパワフルだった。今回も輪界随一のパワーで犬伏がシリーズを引っ張っていくだろう。寬仁親王牌決勝でもうひとつ注目を集めたのが、この数年猛威を振るっていた近畿勢の不在だ。GI決勝での近畿勢の不在は2022年11月の競輪祭以来であり、このまま近畿勢が沈み込んでいくのか、それとも巻き返しがあるのか。いよいよ大詰めとなったグランプリの出場権をかけた争いとともに、今回の見どころとなるだろう。
 犬伏湧也は、8月のオールスターでは石原颯の仕掛けにスピードをもらい、眞杉匠の逃げに乗って番手捲りを打った吉田拓矢を、あっさり捲り切ってGI初優勝を達成。9月の共同通信社杯では、群馬コンビを連れた吉田拓矢の、意を決した先行で後手を踏まされての3着だったが、10月の寬仁親王牌では、逆に木村皆斗-吉田拓矢の関東コンビを力でねじ伏せて主導権を奪い、石原颯をGI初優勝へ導いている。今回も年末のグランプリに向け、圧倒的なパワーで別線を封じ込めて四国勢を勝利へと引っ張っていくだろう。
 石原颯は2020年5月にデビューし、翌年8月のオールスターでGI初出場を果たしたが、その後は伸び悩んだ。しかし、同期の寺崎浩平の活躍に刺激を受けて猛練習に励み、今年2月の高松記念では、犬伏湧也の逃げに乗っての番手捲りで、記念初優勝を完全優勝で達成した。そして7月のサマーナイトフェスティバルでついにGII初優出を達成。続くオールスターでGI初優出、寬仁親王牌でGI初優勝とトントン拍子でタイトルホルダーの仲間入りを果たしており、今回も犬伏湧也との両輪で四国勢を盛り上げる。
 近畿勢は寬仁親王牌の初日理事長杯では脇本雄太、寺崎浩平、古性優作でワンツースリーを決めたが、3人そろって準決で敗れてしまった。とりわけ気になるのが古性の不振ぶりだ。5月の日本選手権決勝では、単騎戦ながら初優勝を完全優勝で達成してオールラウンダーぶりを遺憾なく発揮。6月の高松宮記念杯も優勝しているが、その後はGI、GIIで優出してもシリーズ中の勝ち星がなくなってしまった。古性らしい最後の直線での巧みなコース取りや鋭さが影を潜めているだけに、今度こその復活の走りを期待したい。


グランプリ出場権をかけた賞金争いが激化する

10月の熊本記念で山口拳矢が得意の単騎戦で優勝、9月の岐阜記念に続いての連続優勝で獲得賞金ランキングでは12位に浮上し、グランプリ出場権をかけた戦いはますます激化してきた。現在グランプリ出場がほぼ確定している選手は6名おり、競輪祭で優勝した選手はもちろん出場権を獲得できるが、この6名の中から優勝者が出た場合、準優勝でも賞金が2770万円なので獲得賞金ランキングで14位までにつけている選手にも逆転の可能性があり、今年はかつてない激しい賞金争いが繰り広げられるだろう。
 地元九州の期待の星は荒井崇博だ。獲得賞金ランキングでは14位で、荒井の場合は条件がかなり厳しくなるが、可能性がまったくないわけではない。昨年の競輪祭でも優出し、荒井は山田英明とは別線で松本貴治の番手を選択。松本が先行してくれたおかげで先頭で最後の直線に入り、あわや優勝かと思われた瞬間に、阿部拓真にかわされて準優勝に終わっており、今年こそはの意気込みで臨んでくる。今年も熊本での全日本選抜、日本選手権、寬仁親王牌の3大会で優出と好調で、ゴール前の鋭さも健在だ。

グランプリ覇者の郡司浩平も厳しく、獲得賞金ランキングは10位で8位の佐々木悠葵と約1,337万円の差があるため、決勝での上位進出が求められる。しかし、10月の松阪記念で今年2度目の優勝を達成してからようやく調子が上向いてきている。今は賞金云々よりも、迷惑をかけ続けてきたファンのために、目の前のレースを一戦一戦頑張りたいという心境だろう。10月の寬仁親王牌決勝では位置取りをミスして5着に終わったが、準決では本来の郡司らしい捲りで快勝しており、今回もまずは2場所連続のGI優出を目指していく。
 深谷知広は獲得賞金ランキングでは6位で3年ぶりのグランプリ出場が視界に入っている。しかし、7位の松浦悠士、8位の佐々木悠葵、11位の松本貴治らに抜かれる恐れもあり、安泰とはいえない。それでも郡司浩平と同様に、深谷も目の前の賞金よりも自分のスタイルを貫く走りを見せてくれるだろう。仮に郡司とともに優出できれば、郡司を連れての先行策も十分にありそうだ。10月の熊本記念では決勝は8着だったが、初日特選と二次予選は先行、準決は捲りで上がりタイムは10秒9と引き続き調子はいい。


北日本勢が年末のいわき平への出場を目指す

今年のグランプリはいわき平で開催されるが、今のところ北日本勢からの出場確定者はいない。獲得賞金ランキングでの北日本勢の最高位は13位の新山響平だ。昨年の競輪祭では阿部拓真がGI初優勝を達成してグランプリ初出場を果たしたが、今年も一発大逆転があるかどうか。北日本勢の期待は中野慎詞と新山響平の機動力だ。中野慎詞は10月に中国・上海で開催された「2026年UCIトラック世界選手権」の男子ケイリンで銅メダルを獲得しており、競輪でも活躍してくれることを期待したい。
 太田海也も世界選手権の男子ケイリンで決勝に進出、メダルには届かなかったが、先行勝負に出て世界チャンピオンのハリー・ラブレイセンと壮絶な主導権争いを演じている。太田は競輪祭では2023年の大会で優出、昨年は準決で郡司浩平-松井宏佑の南関東コンビに叩かれて5着に敗れたが、二次予選Aでは地元九州の荒井崇博を連れて逃げて、荒井が1着、太田が2着のワンツーを決めている。四国勢の躍進によって中国勢の選手は以前のように四国勢と連係するのが多少は難しくなりそうで、太田は中国勢の貴重な機動力となるだろう。

山崎賢人は寬仁親王牌の準決では、寺崎浩平と犬伏湧也の波状攻撃になすすべもなく後退して8着に敗れた。それでも一次予選は3番手から捲り山田英明が1着、山崎が2着のワンツー。二次予選Aは先手を取れなかったが5番手から大外を捲り追い込んで2着、4日目優秀は4番手から捲り山田英明が1着、山崎が2着の2度目のワンツーと調子は悪くない。かつてはナショナルチームの一員として海外の舞台でも戦ってきた山崎だけに秘めたるポテンシャルはもっと高いはず。地元地区のGIでの強い走りをぜひとも見せてほしい。
 犬伏湧也のGI初優勝によって競輪界の勢力図は大きく塗り替わったが、その四国勢と数々の死闘を演じてきたのが吉田拓矢だ。7月のサマーナイトフェスティバル決勝では石原颯-犬伏の3番手を取った吉田が優勝。8月のオールスター決勝では眞杉匠が逃げて吉田が番手捲りを打つが、犬伏がその上を捲って優勝し吉田が2着。だが、9月の共同通信社杯決勝は吉田が逃げて佐々木悠葵が優勝し犬伏は3着、10月の寬仁親王牌決勝は犬伏の逃げで石原颯が優勝し吉田が3着になっており、今回も四国勢と関東勢の戦いには注目したい。



プレイバック 2022年 第64回大会 新山響平

2021年の競輪祭では吉田拓矢がGI初優勝を達成。同期のライバル・新山響平は新田祐大の番手を回ることになった。坂井洋-平原康多の関東コンビが前受け、3番手に郡司浩平-小原太樹の神奈川コンビ、単騎の荒井崇博が続き、6番手に新田祐大-新山響平-守澤太志-成田和也の北日本勢の並びで周回を重ねる。青板バック過ぎから坂井が誘導との車間を切りはじめ、4コーナーでは車を外に上げてしきりに後ろを警戒すると、荒井がインをすくって関東コンビの後ろにつく。赤板2コーナーからいよいよ新田が発進。坂井も合わせようともがくが、打鐘4コーナーで新田が先頭に立って主導権を奪い、叩かれた坂井はインで粘り新山と並走となる。最終2コーナーに入ると新山は躊躇なく番手捲りを打ち、あっという間に後続を突き放していく。郡司が懸命に新山を追うが、新山は2車身差をつけて先頭でゴールイン、郡司が2着、小原が3着に入る。

バンクの特徴  無風の高速バンクで捲りのラインが優勢

周長は400m、最大カントは34度01分48秒、見なし直線距離は56.9m。1998年にグリーンドーム前橋に次ぐ2番目のドーム競輪場としてリニューアルオープンした小倉バンクは、全国競輪場のデータをもとに走りやすさを追求して設計された、国内でも有数の高速バンクとなっている。
 昨年の大会の一番時計は10秒7で、5日目9Rの特選で寺崎浩平が最終2角8番手からのロング捲りでマーク。2着は鈴木玄人の捲りに乗った高橋築だった。10秒台はもう1回出ており、6日目10Rの特別優秀で嘉永泰斗がやはり最終2角5番手から仕掛け、太田海也の逃げを捲り切って10秒9。2着は嘉永を追った深谷知広だった。ちなみに決勝戦は阿部拓真がGI初優勝を達成。3番手から仕掛けた同期の吉田拓矢にスピードをもらい、最後の直線でググッと伸びて、上がりタイムは11秒2だった。なお同時開催の競輪祭女子王座戦の一番時計は、2日目12Rの準決で佐藤水菜が捲りでマークした11秒7だ。
 昨年の大会の決まり手を見てみると、全60レース(ガールズ12個レースを除く)のうち1着は逃げが6回、捲りが21回、差しが33回、2着は逃げが7回、捲りが14回、差しが18回、マークが21回となっている。やはり捲りが優勢で逃げは厳しい。それでも先手ラインの選手が1着を取った回数は26回と、半数まではいかないが先行もかなり健闘していたのは事実だ。
 大会の最難関である5日目の準決3個レースを見てみると、10Rは赤板で2車が落車するアクシデントがあったが、犬伏湧也が松本貴治を連れて先行、北津留翼の捲りにスピードをもらった山田英明が直線で伸びて1着だったが、松本が2着に食い込んでいる。11Rは郡司浩平の逃げに乗った松井宏佑が番手捲りで1着、マークの阿部拓真が2着。12Rはやはり落車のアクシデントがあり、逃げた中野慎詞は4着だったが、3番手から捲った古性優作が1着、山田久徳が2着の近畿ワンツーだった。


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