本人もはっきり覚えていないほど久しぶりの優勝だった。
「多分、9年ぶりかな。ただ、どこで勝ったかは記憶にないんです」
調べてみると、川田は2017年1月7日の小倉で優勝していた。それも3連勝での完全Vだった。
和歌山の初日予選は、後方6番手のままレースが進んだが、前団がもつれ、逃げた布居大地の後ろを谷本奨輝と谷口友真が取り合う展開に。隊列が短くなったところを2コーナーからいいスピードでまくったが、わずかに届かず2着。それでも、踏み出しのタイミングと加速力は見応えがあった。
準決勝も6番手からの組み立てになったが、予選と違ったのは最終ホームめがけて踏み出すロングスパートを見せたこと。惜しくも古賀勝大のまくりに屈したが、2日間を通して動きは上々だった。
そして9年ぶりのVが懸かった決勝。同県神奈川の小菅誠も進出した。
「東で藤田周磨君と畑崎大輝君がいたんです。2人でどちらかについて2、3番手を回るより、それぞれにチャンスがあるように、小菅君が藤田君、自分が畑崎君につくことになりました」
畑崎が先行態勢に入ると、藤田が一気にカマしてくる。小菅との連結が外れ、藤田が単騎で逃げる形に。畑崎が番手にはまり、川田が3番手。直線で畑崎が抜け出したところを、川田が外から捕らえた。
「本当にうれしい。畑崎君が先行意欲満々で、その結果、番手に入ってくれたから」
久しぶりに味わう優勝の喜びを口にした。
S級は2期間経験しているが、ここ数年は成績が振るわず、前期は一時、競走得点が80点台前半まで低下した。
「やばいと思いましたけど、不思議と焦りはなかったですね。予選のメインで強敵と対戦させられたりしていたので」
決勝は番手戦となったが、基本的には今も自力勝負を貫く。
「自力の場合はタイミング一本ですね。ここぞの時に行けるかどうかが、勝負の分かれ目になります。年齢的に番手戦も多くなってきましたが、気持ちは自力ですから」
年齢とともに練習スタイルも変えた。
「以前は全力でもがいていたのですが、力まず80%の力でもがいて、その分、もがく本数を多くしています」
その成果が徐々に表れ、今回の優勝につながったのかもしれない。48歳を迎えたベテランがつかんだ、約9年ぶりの優勝。川田が積み重ねてきた努力が実を結んだ一戦だった。