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直送!競輪場便り from玉野競輪場 武藤龍生(埼玉98期)
インタビュー 2022.07.27

直送!競輪場便り from玉野競輪場 武藤龍生(埼玉98期)

#競輪場便り

偉大な父の背中をこれからも追い掛け続ける

「埼玉一のマーク屋」との呼び声が高い武藤龍生が一気に頭角を現したのは、ガッツマーカーで鳴らした父・嘉伸さん(59期・引退)のような追い込みに転身してから。「父のようなマーカーになりたい」と、戦法を変えてからは偉大な父の背中を追い続けてきた。

 嘉伸さんは現役時代、「マーク屋にとって(決まり手欄の)マークの〝ク〟は『勲章のク』」と言って、徹底的に自力選手を守ってきた。35年間で通算189勝。2着は356回、3着が459回と高い三連対率を誇っていたが、S級優勝には手が届かなかった。

 一方、龍生は2019年5月にS級初優勝を飾り、昨年の日本選手権ではGⅠ優出を果たすなど第一線で活躍中。通算勝利数で父を抜かすのも時間の問題だと思われる。それでも龍生に「父を超えた」という感覚は全くない。

「周りの方からは『オヤジさんを越えたんじゃない?』って言ってもらえることが増えました。確かに数字や成績だけをみればそういう部分もあるかもしれません。でも父と自分ではやってきたことが違う。父は常に苦しい道を選んでやってきたし、毎レース毎レース、すごい気持ちを入れて走っていたのを見てきたので。最後は落車の後遺症とかで身体もボロボロでしたけど、それでも大好きな競輪をやり尽くしたし、本当にすごいことだなって。自分が引退した時に『オヤジを超えられたかな』って思えればいいなと。それまでは少しでも父に近づけるように頑張っていくつもりです」

 7月のサマーナイトフェスティバル2日目には白星を挙げて「G2初勝利だったのでうれしい」と笑顔を見せた龍生には、まだまだ伸びシロがたっぷりある。これからも父への尊敬の念と、謙虚な気持ちを持ち続けて、さらに精進していくことだろう。

 ちなみに6月に引退したばかりの嘉伸さんからは「(現役時代の)プレッシャーとの戦いは苦しかった。でも今は穏やかに過ごしています。これからは龍生と篤弘(95期)の応援をして、競輪を愛します」との言葉をいただいた。武藤一家の今後の活躍を心から願っている。

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