競輪選手として大きく成長した地元記念
125期の在所2位にして、ナショナルチームにも在籍した実績を持つ埼玉の超有望株が、8月の西武園で「地元記念デビュー」。一次予選、二次予選はいずれも圧巻の逃げ切り。大激戦の構成だった準決勝でも主導権を取り切って、後ろの森田優弥と宿口陽一を決勝に送り込んだ。最終日も豪快なカマシで中田健太と地元ワンツー。3連対を果たすなど4日間、期待にたがわない走りを披露し強烈なインパクトを残した。
「地元記念では、ただ先行するだけではなく、ラインを生かす走りを心がけました。先輩たちからもたくさんアドバイスをいただいたし、ペース配分の改善点なども指摘してもらえたので。そして準決勝では初めて兄弟子の森田優弥さんとも連携できました。今まで兄弟子との連携を目標に一生懸命練習してきたので。もちろん自分も決勝に上がりたいと思っていたけど、それ以上に自分に求められていることをやろうと。結果的には森田さん、宿口さんが勝ち上がれたし、そういう意味では自分の役割を果たせたのかなって思いました」
5月の京王閣決勝で落車(再乗6着)し、骨盤骨折などの大ケガを負った。復帰2場所目で迎えた地元記念は「正直、脚力的にはケガ前の方が上でした」と明かしたように、決して万全の状態で臨めたわけではなかった。それでも「たくさんの同県の先輩たちからいろいろとアドバイスをいただき、競輪選手としての心が段々とできてきた」と開催期間中に大きく成長したメンタル面で、不足分を見事にカバーしてみせた。
一方で、4日間ハイレベルな戦いに身を置いたことで新たな課題も見つかった。「最終日は気持ちがまとまらないというか、集中し切れていない感じがあった。アスリートとしてまだまだだと感じました」と険しい表情で語った。
「いずれは特別競輪の決勝とかで戦えるようになりたい。でも今はまだそんな実力はないので。兄弟子の森田さんの背中を見ながら、日々コツコツとやるべき練習をやっていきたいと思っています」
兄弟子とともに埼玉を背負っていく存在になる逸材にとって、今年の地元記念は一生忘れられないターニングポイントになったはずだ。