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直送!競輪場便りfrom 弥彦競輪場 矢口啓一郎(群馬・86期)A級1班 44歳
インタビュー 2024.06.12

直送!競輪場便りfrom 弥彦競輪場 矢口啓一郎(群馬・86期)A級1班 44歳

#競輪場便り

〝オジサンらしく〟一歩ずつ…

 若かりし頃はアジア選手権で金メダルを獲得するなど世界を股にかけて活躍し、競輪でもビッグ戦線の常連だった実力者が、どん底から這い上がろうとモガいている。

 昨年7月の落車で左ひじ骨折等の重傷を負い、「ほかにもいろいろあって…」と半年間を棒に振った。翌1月からのA級陥落が決まっていたため「その前に1本走っておきたかった」と12月に復帰するも本調子にはほど遠く、3日間精彩を欠いて577着。そんな状態で迎えた今期はA級戦でも苦しい戦いを強いられ、5月終了時点で決勝進出は地元戦での1回のみ。デビュー以来華々しい選手生活を送っていた矢口におとずれた過去最大のスランプは、さすがに精神的に堪えたようだ。

「ずっと感覚が悪すぎて…。練習の感じも良くないしレースにいっても全然ダメ。正直言って、練習したりレースに行くのが楽しくなくて、嫌になっていた時期が結構長くありましたね」

 それでも「腐らずに練習だけはやっていた」と気持ちを奮い立たせて自転車に乗り続けた成果が、少しずつ実を結び始める。「5月くらいになって、ようやく練習で自分らしいタイムを出せるようになってきたんです。練習でタイムが出たからってすぐに実戦で結果が出るわけじゃないのはわかっているけど、やっぱり兆しが見えてきたというのは気持ち的にも大きい。感覚もほんのちょっとずつですけど、かみ合ってきました」

 7月からは再びS級に戦いの場を移すことになる。「ハッキリ言って、今のままではS級では厳しい、というか全く通用しないでしょ(苦笑)。でも毎日〝ひと踏み〟分でも踏める距離を伸ばしていけば、1か月後、さらに2か月後には、ある程度戦えるようになっているかもしれない。まあオジサンなので、そんな急激に良くなるはずがない。でも一歩、いや半歩ずつでもいいから前進していければなって。最近なんだか、いろいろな方の期待を背負っている気がするんですよ(笑)。こんな自分を応援してくれる方たちのためにも、諦めず精いっぱいやっていきたいですね」

 一時期よりも明るさを取り戻しており、心身ともに上昇ムード。古豪復活なるか、注目したいところだ。

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