野口の走りにロマンがある

野口らしいパワフルな先行で完全優勝を決めた。
大宮初日予選は、後位が近藤保と古川尚耶の激しい競りとなり、打鐘から仕掛けた野口にとっては展開も味方した。

準決は柴崎淳、中井太祐らを相手に大外を強引に叩き、マークした神山拓弥を寄せ付けない逃走劇を見せた。

そして決勝。岩津裕介との即席ラインながら打鐘から先行態勢。野田源一が内を突いて岩津と並走と初日と同じような展開になった。雨谷一樹のまくりも完封し３日間先行で逃げ切った。

「５００バンクは好きな方です。自力型は直線が長いとかいいますけど、僕は逆に仕掛けやすいと思っています」。自分がどこから行けば持つのか、それが分かっているから先行選手で５００バンクが好きな選手は意外に多くいる。

１着か大敗。それが決して良いとは言わないが、野口の走りにはロマンがある。
潔いと言うのだろうか、先行にこだわる姿勢にファンも納得している部分がある。

８月の地元・松戸記念の時、山崎芳仁から「もっとサドルを下げた方がいいんじゃないかな」とアドバイスを受けた。

「言われてみれば、知らず知らずの内に高くなっていました。ケガとかがあって本来の位置ではなかったんです」。

山崎の一言から徐々に位置を下げようにしたら、自然と力が入るようになった。普通はミリ単位での調整をするのだが野口は「１センチくらいは下げました」と大手術を行った。その後は１着の回数も多くなり、納得いくレースが出来るようになってきた。

大宮優勝後の奈良Ｆ１は準決で敗退したもの、初日、最終日は２着でまとめた。

１１月にはＧⅠ競輪祭に出場する。セッティングの大切さを改めて感じただけに、大舞台でさらにパワーアップされた野口の走りを楽しみにしている。