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直送!競輪場便り from   小川真太郎(徳島・107期)31歳 S級1班
インタビュー 2023.09.13

直送!競輪場便り from   小川真太郎(徳島・107期)31歳 S級1班

#競輪場便り

「長い距離を踏んでいきたい」

原点回帰したS1レーサー

 1人のS1レーサーが、大きなターニングポイントを迎えた。

 小川真太郎――

 デビューから1年経たずにS級に昇格した天才肌で、その後はS級1班に定着。現在のGⅠ戦線の常連でもある。キレのあるまくりを得意とするが、もちろん先行力も上位で十分に通用する。また器用な一面も持ち合わせておりヨコの動きも巧みにこなす〝逃げてヨシ、人の後ろでもヨシ〟のオールラウンダータイプ。GⅢ制覇はもちろん、GⅠタイトルの獲得も期待できる徳島を代表する1人だ。

 ただ、この器用さが悩みの種となっていた。「ここ数年、ずっと戦法に迷いがあって…」 同県の後輩に太田竜馬、島川将貴、犬伏湧也など全国トップクラスの先行選手がおり、

「(彼らの)番手を回った時にいい成績を残せるように、追い込みのスキルを上げた方がチャンスがあるんじゃないかなって真剣に考えていました」と追い込み転向も視野に入れていたという。

 しかし結果的に戦法が中途半端になり「最近はラインの先頭を任せてもらっても恥ずかしいレースが続いてしまって…」と一時期よりも成績が低迷。先日のオールスターでも867着と振るわず3走で強制帰郷となってしまった。

 それでもこれで吹っ切れたのか、続く松戸記念では「力を出し切って脚が痛くなるレースをします」と堂々と宣言。そして一次予選はジャン前カマシで主導権を握り、ライン3人での勝ち上がりに成功したのだった。

「やっぱり先行があるからこそ自在性とかが生きてくるし、他の組み立てもできるのかなって。記念も獲りたいしGⅠの決勝とかに上がって勝負もしたい。そのためにはもっと脚力が必要。さらに上を目指している今、自分に必要なのは追い込みのスキルじゃないなって気づきました。これからはまた、長い距離を踏むレースを基本にやっていこうと思っています」

 悩み、苦しんだ分だけ成長があるはず。原点に立ち返った小川は今後しばらく、積極的なレースを心掛けて自力選手としての地位向上に努めていく。そしてその先には必ず明るい未来が待っていることだろう。

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