21年ぶりのA級戦を前に気力を取り戻す
今年はまだ1着が無く、今期はS級点の確保が厳しい状況におりもどかしい日々が続く。昨年末に体調不良に陥ったことが大きな要因で、ここまで引きずってしまっている。「思うようにやれないジレンマがありますね。最初の頃は練習しても込み上がるものがなくて、ずっと布団の中にいて動きたくなかったし人にも会いたくなくて。でも開催に行かなきゃいけないでしょ。そうしたら選手や記者から『この成績はなぜ?』みたく何べんも聞かれるのが嫌で嫌で余計に滅入っていました」
他にも謎の腹痛を起こし救急車で運ばれたり円形脱毛症にかかるなど原因不明のストレスが体をむしばみ、その代償から前期はS級点の確保がままならず、7月には21年ぶりの降級が決定している。
合志と言えば2006年にいわき平GⅠ全日本選抜競輪を制するなど、長らく特別戦線で活躍してきた大スター。とくに熊本競輪界で言えばその人気は絶大で、たとえ年齢を重ねても、後輩が出てきても〝肥後のプリンス〟は合志のためにある称号だ。そのため、A級陥落が決定的となった年初ごろ、合志の引退話が噂に上がったことがあった。
長らく守ったS級の座から降りた区切り、そして本人が打ち明けたようなモチベーションの低下によるものから話が出たものと思われる。だが、そんな噂はどこ吹く風で「今、競輪界が盛り上がっているのってミッドナイトがあってモーニングがあってと明らかにA級の功績ですよね。もちろん貢献しなければいけないと思うし走りますよ!」と一笑に付した。
モチベーションを支える原動力に多く抱える弟子たちの存在もある。10年前に瓜生崇智(109期)を初めて弟子に取ると山川奨太(117期)、松本憲斗(119期)、そして今期デビューする押田会心(123期)に今年125回生として日本競輪養成所に入った小山峻汰と一門は大所帯となった。加えて「今は支部長(西島貢司)の弟子3人を預かって一緒に練習しています」と活気に沸く。「ジカの弟子はもう取らないけど、支部長の弟子は何とかしたい。今年受験させますが、通りそうなレベル。自分も時間を取りながら、自分の練習を充実させたい」
今はありとあらゆる手を尽くし、打開策を練っており「少しずつですけど、ようやく持ち直してきました。その中で今は周りと比較をしないようにしています。荒井(崇博)が落ちかけてから盛り返したでしょ。自分もって思うけど、同じようにするのは体力的にも気持ち的にも苦しい。だから今できることを精一杯。高いところに目標を置くけど、目指すところは目の前のこと」と気力を取り戻しつつある。
来年には2016年に起こった熊本地震の影響で開催を中止していた競輪場が8年ぶりに再開する見込み。待望の瞬間に備え、焦らずじっくりと準備していく。