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直送!競輪場便りfrom久留米競輪場 松井宏佑 (神奈川113期)
インタビュー 2023.01.11

直送!競輪場便りfrom久留米競輪場 松井宏佑 (神奈川113期)

#競輪場便り

競輪選手としての再スタート!

 昨年の9月後半に、デビュー時から在籍していたナショナルチームから離れることを決めた。2019年にはモスクワで行われた大会でケイリン金メダルを獲得するなど将来を嘱望されたが、30歳を迎えた昨年から競輪だけで勝負をすることにした。「ここからまた新たな気持ちで頑張りたいです。最近、ようやく引っ越しや書類の手続きも落ち着いて、平塚を拠点に練習しています」と12月の久留米で話していた。

 2020年の小倉「競輪祭」で初のGⅠファイナルへ勝ち上がると、その年の平塚「ヤンググランプリ」を制し、さらにはGⅢを2個優勝するなど元々、競輪選手としてのポテンシャルは高い。だが、これまでの松井と言えば、競技との両立を図るあまりパワーにゆだねるようなレースが多かった。組み立ても、激しく位置を主張するわけでもなく、スタートを取って下げてから巻き返すというような戦法を多用し、淡泊な部分も否めなかった。

だから今後、競輪一本で戦っていくためには今までの戦い方を見直す必要があった。久留米の2日目、準決勝ではそんな意思を示すかのような動きがあった。レースは久米康平と松岡辰泰との3分戦。隊列は松井が前で受け、中団に松岡、後方には久米。赤板から久米が上昇し松岡が続くと、松井は中団内で粘り車を下げなかった。打鐘を過ぎてもそのままで、しびれを切らした松岡は中団外併走からカマして、先行体勢に入った久米と踏み合いとなった。

そうなれば松井はしめたもの。狙い済ました2角まくりがズドンと決まった。レース後に松岡は「松井さんが下げると思った…」と悔しがり、松井は「今後の事を考えて、あの位置はシビアにいこうとこだわったんです」としてやったり。番手を回った松谷秀幸も「プランを話していた時、そんな感じのレースがしたいと宏佑が言っていた。新しいスタイルを作っていきたいのだろうから『好きに走っていいよ』と言いました」と松井の取り組みを後押しした。

第2の競輪人生の幕を開けた松井。昨年末に行われた平塚のグランプリシリーズ「寺内大吉記念杯」(FⅠ)では同県の北井佑季に乗って見事に地元Vを飾った。順調な歩みを見せており、今後の活躍が楽しみだ。

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