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車券推理 2022日本選手権競輪「決勝」
解説&分析 2022.05.11

車券推理 2022日本選手権競輪「決勝」

#レース予想の極意

日本選手権競輪通称「ダービー」は読んで字の如く、日本一の競輪選手を決める大会です。歴代の覇者はそうそうたる面々の名前が並んでいます。故に選手にとっては一番獲りたいタイトルであります。

昨年の京王閣のゴールでの接戦は記憶に残るところです。僅差で松浦悠士が優勝しまし た。今年はどんなドラマが待ち受けているのか楽しみであります。

今年のビックレース戦線は全日本選抜、ウィナーズと終了しダービーとなる訳ですが、選手の誰しもがここに向け調整して来ます。今年最大のピークをここに持って来る様に、トレーニングや競走内容を考えています。確かにまだそのレベルに達してない選手や、既に峠を過ぎた選手は別の目標になりますが、ここが最大のピークです。年末にはグランプリがありますが、権利を勝ち得た選手のみなので、また別の事です。このダービーで成績が残せない選手、もしくは調子の悪い選手、それがすなわち実力となります。

ここに来るまで調子を上手く上げて来たのは平原康多と感じます。昨年の失敗に加え、平原のダービーへの執念を感じます。そして昨年の覇者松浦がその次です。そこに異次元の走りが出来る脇本雄太です。昨年のオリンピック以降は満足に走れてはいないでしょうが、覇権争いに終止符を打てる様な走りが出来るかが戦前の注目でした。

迎えた前検日。今シリーズ最大のアクシデントが起きました。指定練習で浅井康太と新田祐大が接触し両者落車。新田は欠場。地元戦だけに残念です。

初日

脇本雄太が圧巻の先行で周囲の雑念を払いました。

2日目

深谷知広が脇本をしのぐ強烈な先行を披露し一気にシリーズを支配した様な走りでした。

一次予選2日間は風が強く、先行選手が苦しみ、期待した若手も姿を消しました。その事もあり二次予選から準決勝は特選組が22人勝ち上がり。順当と言えば順当ですが、もう少し新しい風や、ダークホース的な選手が出て来なかったのは残念でした。

準決勝は眞杉匠、深谷、脇本の3本軸で組まれましたが、やはり眞杉の走った9Rは調子の良い選手が揃い激戦でした。先行した眞杉は繰り上がりの3着通過。

10Rは深谷主軸でしたが、嘉永泰斗の捨て身の逃げになす術なく敗退。一走目の走りがあっただけに残念でした。

11Rは脇本率いる近畿ラインで上位独占しましたが、他の選手を圧倒する走りでは無かった。むしろ決勝大丈夫なのかと感じました。

決勝メンバーが出揃い、近畿対関東の色合いです。昨年の失敗を取り返せるか眞杉、平原。それを力で跳ね除け、昨年のオールスターの再現となるか脇本、古性です。

展開予想

前受けはやはり脇本、古性、東口の近畿ライン。その後ろに単騎を選択した守澤。そして眞杉、平原の関東勢に地元の佐藤が付く。後攻めは清水、荒井の西ラインで周回。まず清水が動き脇本を斬る。それに乗り関東ラインが先頭に出る。そこに守澤が切り替える。脇本は7番手に下げる。 眞杉は昨年の失敗があるだけに小細工はしない。そこを脇本が打鐘で仕掛ける。準決勝での叩き方を見ていると、叩いた新山の後ろが離れていた事があり行けた様にも見える。眞杉の番手平原にはそれは無い。眞杉、平原が合わせ主導権を譲らないと見る。脚を貯めている清水が2コーナー から仕掛ける。問題は守澤。単騎を選択したので、すんなり4番手とは限らない。内に潜り込んで 位置を取った方が良いと感じたら内すくいはある。基本は4番手直線勝負。眞杉が失速しているなら平原は出る。この時にチャンスが佐藤に訪れている。清水も出来は良いので、伸びて来る。平原、佐藤のゴール勝負に守澤、清水が加わる。勿論脇本が叩くなら昨年のオールスター同様に古性が優勝となる。

車券的推理 2=9-1837 2=3-967 9=3-267 1=8-473

結果 183.2倍(56番人気)

レース経過

スタート牽制が少しあり脇本が前受けを受け入れる。そして清水が4番手。関東は後方になり、守澤が最後方。この時関東勢は中団を取れたのに取らなかった。それがこのレースの最大の焦点であります。なぜなら中団ならあれだけ早く押さえに脇本を眞杉が押さえに行く必要がなく、むしろ清水に押さえに行かせられたからです。もし眞杉が中団なら最終ホームの体制が半周遅れさせられたと思います。後方にいた眞杉が早目に脇本を押さえに行きました。脇本は完全に引く体制です。その事で更に展開が早まりました。赤板で最終形が出来上がりました。これは脇本にとっては願ったり叶ったり。眞杉は脇本を絶対に出さない気持ちです。早目に体制が出来上がった事でペースを上げざるを得ない展開になりました。

そして打鐘を迎え眞杉が更に加速。先行は眞杉がしてますが、レースは脇本のペースにハマって行きます。最終1コーナーから脇本が踏み出し、それと同時に清水が踏み出しましたが、脇本が乗り越えました。番手絶好だった平原は踏み遅れたと言うより、踏み出さなかったと言えます。それはダービーを獲って無い事です。平原の後ろの慎太郎に抜かれる不安があった。過去にダービーを獲っているなら抜かれる覚悟で番手捲りを打っていたと思います。そして脇本が捲り切り番手古性と慎太郎が絡み、レースは決着しました。今年の日本一の競輪選手に脇本が見事に輝きました。

平原はダービーとグランプリをまだ獲っていません。その事がこの結果に繋がった感はあります。そして問題のスタートも車番を活かさなかった事です。あと半周遅くなれば平原の優勝もかなりの確率であったと思います。また来年です。そしてダービー王に輝いた脇本は昨年のオリンピック以降は満足に走れていない状況でしたが、このダービーで優勝しました。圧倒的な脚力が武器ですが、オリンピックの影響もあり高みを求め過ぎてる感もあります。これから先は余裕も出来ます。 競輪選手は与えられたレースをしっかり走る事が大切です。本当の競輪選手になってこれからもファンを賑わして欲しいです。

おめでとう脇本雄太。

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