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直送!競輪場便りfrom 松山競輪場 阿部力也(宮城100期)
インタビュー 2026.08.26

直送!競輪場便りfrom 松山競輪場 阿部力也(宮城100期)

#競輪場便り


変わりゆく競輪の中で貫く「力と力の勝負」

かつて「カンナ削り」と呼ばれる戦法は、それ自体が直ちに失格となるものではないが、選手間ではご法度のように受け止められていた。内圏線と外帯線の間を下がり、後続選手に外側を回らせるなどして位置を奪う走りだ。後続選手は内側から追い抜けば失格となるため、仕掛けられた側は外へ持ち出すか、位置を譲るかを迫られる。しかし近年は、レースで珍しくない戦術になっている。
その背景の一つに、前受けが有利になりやすい現在のレース形態がある。特にミッドナイト競輪では、1番車から7番車まで競走得点上位順に選手が配される。そのため、得点上位の選手が内枠に入り、前受けから突っ張る展開も多い。例えば3分戦で後ろ攻めのラインが前を叩けなかった場合、そのラインの番手や3番手の選手が、下がりながら中団を取りにいく。そうした局面で、カンナ削りが使われることがある。
「第69回オールスター競輪(GⅠ)」の一次予選で、阿部力也は嵯峨昇喜郎と連係した。対するのは町田太我―佐々木豪―渡部哲男の強力な中四国ライン。1番車の佐々木がスタートを取り、町田は前受けから嵯峨を突っ張った。後ろ攻めとなった北日本勢は前を叩くことができず、阿部は4着、嵯峨は7着に終わった。
レース後、阿部に話を聞くと、こんな言葉が返ってきた。
「今は作戦会議の段階から、削って位置を取るという話がある。ただ、自分は古い人間なのかもしれないけど、それは邪道だし、ご法度だと思っている。だから、考えたこともない。新人も削るレースをやっているけど、特に若い選手には力勝負をやってほしい」

阿部は100期の在校9位で、卒業記念レースを制した卒業チャンピオン。同期の古性優作を頼り、2024年12月から岸和田への出稽古を重ねている。ヨコの技術だけに頼らず、タテ脚の切れ味を武器に勝負するマーカーだが、その走りの裏側には、時代の変化に対するさまざまな葛藤もあるようだ。
オールスターの前に行われた玉野FⅠでも、阿部の競輪に対する姿勢が垣間見えた。安易に他地区のラインを回ることはせず、3日間とも自分で走る道を選んだ。
初日は渡邉雅也―和田健太郎の3番手には付かず、位置を決めない単騎戦。準決勝でも渡邉の番手には付かず、自分で走った。決勝も地元・取鳥雄吾の後位には付かず、単騎を選択した。成績は4着、3着、3着。勝ち切れなかったものの、3日間を通じて自らの考えを貫いた。
「どこまで回っていいのか、線引きが難しい。安易に他地区に行くのもおかしいし、一貫性がなくなってしまう。こればかりは正解がないので」

現在はS級1班に復帰し、競走得点も110点台まで戻してきた。さらに得点を上げ、自力型の目標を得られる番組が増えれば、こうした並びに頭を悩ませる機会も少なくなるだろう。
時代とともに戦法は変わる。競輪も変わっていく。ただ、その中で「自分はこうありたい」というスタイルを貫く選手がいる。阿部力也にとって、それは力と力で勝負する競輪なのだろう。

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