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編集部コラム 夜のキッチン、ガールズケイリン
特集 2026.06.10

編集部コラム 夜のキッチン、ガールズケイリン

 もうすぐ午後8時50分。仕事から帰ってきた娘がシャワーを浴びて食卓につくと、ちょうどガールズの選手たちが敢闘門から出てきた。5月19日は青森ミッドナイトGIIIの初日。第1レース、第2レースにはガールズケイリンが組まれていて、第1レースがスタートする時間だ。娘がすぐさま缶酎ハイを開けようとしたので、待ったをかけた。このレースは地元の加藤恵さんを絡めて買っていたので、私は的中してから祝杯を兼ねて乾杯といきたいのだ。しょうがないなあと、娘も一緒にテーブルに置いたタブレットに見入る。

 買っていたのは、⑤加藤さんが先行し、それを競走得点上位の①大浦彩瑛さんと②當銘直美さんがまくって、加藤さんが3着に残るパターン。さらに、大浦さんから2着、3着に加藤さんを入れた3連単も買っていた。

 レースは予想通り加藤さんが逃げたけど、真後ろに當銘さん、大浦さんが続いて、すぐにまくられてしまう。さあここからと、タブレットの中の加藤さんに向かって「頑張れ、頑張れ」と声をかけたけど、さらにもう2人に抜かれて5着。先頭に立ったときから顔を何回か上げていたし、先行が掛からなかったみたい。逃げたときにスピードが乗る状態を「掛かる」と言うらしい。正直、私は見ていても、掛かっているのか、掛かっていないのかわからないけれど、しれっとこの用語を使うのです。見栄を張ってます。

 加藤さんは青森の112期で、40歳の先行選手。身長は171cm。興味を持ったのはKEIRIN.JPの選手プロフィール。好きな食べ物の欄に「量が多ければ何でも!!」と書いてあったから。これを見て、娘と一緒に笑った、笑った。内容もだけど、びっくりマークが2個ついている。どんどん逃げていく競走スタイルもそうだし、どう見ても元気で楽しい女性だなあ、と勝手に決めつけている私たち母娘。

 4月にあったオールガールズクラシックの最終日。GⅠと同時に行われていた通常開催で逃げ切った加藤さんは、勝利者インタビューで両手を広げて上げ、大きな声でヒューッと叫んで盛り上げていたし。

 最近のレースで印象に残っているのは、4月初めの豊橋競輪の予選1。雨風がかなり強い中(中継で風の音をマイクが拾ってましたから)、加藤さんは先頭に立ち、最終ホーム前から加速。人気を集めていた飯田風音さん、又多風緑さんがまくってきたけど、そのまま逃げ切ってしまった。3連単は7,920円とつきました。

 

 加藤さんの応援ポイントは2つ。先頭に出ていったときに「掛かれ、掛かれ」と声をかけることと、最後の直線で身をよじりながら、顔を何回も上げて走っているときに「頑張れ、粘れ」と声援を送ること。

 2日目は初日の動きがよかった②當銘直美さん、③村田奈穂さんから、①藤田まりあさんを2着、3着に入れた②③-①②③-①②③と、3着に⑤加藤さんを入れた②③-②③-⑤を買いました。

 先行した加藤さんはいい感じでしたが、村田さんがすごいまくりで圧勝。加藤さんの後ろを確保した當銘さんが加藤さんを抜いて2着。加藤さんが3着に逃げ粘って、③②⑤で7,000円いただきと思ったのに……。④豊岡英子さんも加藤さんをゴール前で抜いて、③②④で4,900円。エーッ、エーッ。この直線は母娘で相当声が出ましたよ。

熱くなって、購入予定外の第2レースも車券を買おうとした私に、娘はこう言いました。「この間一緒に観た『プラダを着た悪魔2』のワンシーンを思い出して。出し抜かれた悔しさで興奮しているブレンダがすぐに対抗策を考えようとすると、同居人に『そんな精神状態で大事なことを決めてはダメ。今日は寝よう』と諫められてたでしょ。今のママがそうだよ」。

「ごめん、食事中だけどトイレに行ってくる」と言い残して部屋を退出した私。しばし便座に着座。心を落ち着かせ、落車後で心配していた村田さんの快勝を噛みしめる。2年前に脳脊髄液減少症という重病に見舞われた村田さんの走りも含めて、思い切り楽しませてくれた7人に感謝したのです。

 5着、4着で最終日は一般戦に回った加藤さん。娘と私は知っています。最終日の一般戦で加藤さんが4着以下にならないことを。娘の調べでは、昨年9月の西武園から14回ある一般戦で、失格を除き、すべて3着以内。

帰宅してブリを煮つけ、具だくさんの冷奴サラダを作ってから、帰ってきた娘とバスルームのドア越しに協議。出した結論がこれ。優勝候補のひとりだった①藤田まりあさんと②加藤さんの1、2着から3着3人。それと、藤田さんが1着で加藤さんを3着にした3連単。

最終日にして、やっと夕食スタートの乾杯を祝杯にしようと、娘と準備万端だったのに。1着は藤田さんで、3着が逃げた加藤さんだったけど、2着が⑦大和久保美さん。ミッドナイトで一番競走得点が低い7番車の2着!これは、外れた私より大和さんの健闘を称えるレースでした。2日目より冷静だった私を見て、「大人になったね」と娘がチクリ。

決勝のレースは、②大浦彩瑛さんのまくりにつけた①柳原真緒さん、③當銘直美さん、⑥村田奈穂さんが1、2、3着で、3連単は①③⑥の1,350円。

持ってたんです、この車券。大浦さんが本調子ではなさそうで、柳原さんと絶好調の村田さんを1、2着にして、3着は當銘さんと大浦さん。それに當銘さんも1、2着に入れて、①③⑥-①③⑥-①⑥も購入してました。これがよかった。

柳原さんが2センターで大浦さんを抜きにいって、最後に村田さんが大浦さんを抜くまでの約10秒間、母と娘は「行け、抜け、行け、抜け」と声量を少し抑えながらも大盛り上がり。結果が出たのは午後11時15分。母と娘はハイタッチ。楽しい。

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