5月25日に行われた「第73回全日本プロ選手権自転車競技大会」。武雄競輪場での開催は今回が初めてとなりました。
今年の全プロは暑さとの戦いとなりましたが、好タイムが続出。1kmタイムトライアルと4km個人パーシュートで全プロ記録が更新されたほか、チームスプリントや4kmチームパーシュートでも好記録が生まれ、大いに盛り上がりました。
■ケイリン
ケイリンは予選、1/2決勝、決勝の勝ち上がり方式で実施された。準決勝は3レース行われ、各レース3着選手の中から抽選で1人が決勝へ進出した。
決勝のメンバーは、松本貴治、清水裕友、新山響平、松井宏佑、山口拳矢、阿部拓真、岩津裕介の7名。周回中は新山、山口、阿部、松本、岩津、清水、松井の並び。残り2周で誘導員が退避したが、大きな動きはなし。打鐘前の残り1周半から松本が仕掛け、岩津が続く。最終バックでは3番手から山口が踏み込み、後方からは清水が捲りで迫る。最終3コーナー過ぎに山口が先頭に立つと、清水の猛追を振り切って優勝。自身3度目のケイリン制覇を果たした。2着は清水、3着には岩津が入った。
【優勝】山口拳矢(岐阜)
「今日はあまり深く考え過ぎずに走りました。決勝は枠順がよかったですね。優勝しないと理事長杯に乗れないので、それがよかったです。理事長杯は中部勢が1人だと思いますが、頑張ります」
【2着】清水裕友(山口)
「優勝できなかったら、2着も7着も一緒なのでダメですね。準決勝では逆の展開になりそうだったので、あの形だったら抜けなかったと思います」
【3着】岩津裕介(岡山)
「喜んでいいのは1着だけなので、3着ではダメです。特選スタートだったのはよかったですね。でも、展開はよかったのに、力不足でした」




■スプリント
予選、1/4決勝、1/2決勝、決勝と勝ち上がるスプリント種目。準決勝と決勝は3本勝負で、先に2本を先取した選手が勝利となる。
予選の200mフライングタイムトライアルでは、昨年の覇者・雨谷一樹が10秒065のトップタイムをマークした。
準決勝は雨谷一樹と小原佑太、河端朋之と真鍋智寛の組み合わせ。小原がストレートで2本を先取して決勝進出を決めると、もう一方はフルセットにもつれ込んだ末に河端が勝ち上がった。過去3年連続で雨谷と河端による決勝が行われていたが、今年は河端と小原による決勝対決となった。
3・4位決定戦は真鍋が制し、自身初の表彰台入りを果たした。
決勝は1本目を河端が先取。しかし、その後の2本を小原が連取し、見事に優勝を飾った。小原は予選4位のタイムだったが、本戦では持ち前の持久力を発揮。接戦を制し、スプリント王者の座に初めて就いた。
【優勝】小原佑太(青森)
「素直に優勝はうれしいですね。予選のタイムはもっと出ると思っていたんですけど(10秒360)、今年に入ってからカーボンバイクにほとんど乗っていなかったので、その感覚の違いもありましたし、ウォーミングアップの時間配分も少しうまくいかなくて、あまりタイムを出せませんでした。でも、予選はクリアできると思っていましたし、その後の対戦をしっかり勝ち切ろうという気持ちで臨みました。河端さんにはナショナルチーム時代に一度も勝てたことがなかったので嫌だなと思っていたんですけど、1本目を取られてしまって。そこから新田(祐大)さんに檄を飛ばしてもらい、うまく気持ちを切り替えることができました。親王牌では新田さんと一緒に理事長杯に出場できるので、頑張りたいと思います」
【2着】河端朋之(岡山)
「決勝は満身創痍の中でも、よく戦えた方だと思います(笑)。1/2決勝が3本勝負になり、決勝も3本勝負になりましたが、それで勝てなかったのは自分の弱さですね。小原の若い力の方が上だったと思います。でも、予選はもっとタイムを出してくると思っていました(笑)。自分も肋骨を骨折している中では、よく頑張れたかなと思います」
【3着】真鍋智寛(愛媛)
「復帰明けで自信がなかったんですけど、3位に入ることができてよかったです。これまでの最高順位が4位だったので、その壁を越えられたことは大きいですね。あまり深く考えずに臨んだんですけど、それが逆によかったのかなと思います」



■1㎞タイムトライアル
昨年より若手選手の出場が増えた1kmタイムトライアルだったが、昨年に続いて新田祐大が優勝。全プロ記録を更新する1分02秒421をマークした。
優勝 新田祐大 1分02秒421
2位 菊池岳仁 1分03秒746
3位 室井蓮太朗 1分04秒130
【優勝】新田祐大(福島)
「これまでにも何度か1分2秒台は出したことがあるので自己ベストではないですけど、優勝に全プロ記録更新というおまけがついてきたのはうれしいですね。菊池が2位でしたが、本人もかなり意識していたでしょうし、周りもその勝負を楽しみにしてくれていたと思うので、すごくプレッシャーがありました。でも、天候もよく、体調も万全の状態で臨めたのでよかったです。気持ちだけでは勝てませんが、気持ちだけでも負けないようにと思って、気合で頑張りました」
【2位】菊池岳仁(長野)
「来年も頑張ります!」
【3位】室井蓮太朗(徳島)
「3位に入ることができてよかったですね。高知の地区プロで1分4秒台を出していたので、それくらいのタイムは出したいと思っていました。親王牌の特選スタートはうれしいですが、まだまだ歯が立たない部分もあるので、そこを目標に少しずつ積み重ねていきたいですね」





■チームスプリント
例年以上に好タイムが続出したチームスプリント。昨年からメンバー変更を行い、2走と3走の配置を入れ替えた近畿・福井チームが見事に連覇を達成した。
優勝 近畿・福井チーム 1分13秒707
2位 関東・埼玉チーム(桑名僚也、荒川達郎、山口多聞) 1分14秒165
3位 北日本・福島チーム(渡邉一成、山崎歩夢、三神遼矢) 1分14秒416
【優勝】近畿・福井チーム
〈1走・脇本勇希〉
「今回のメンバーは後ろの2人が強力なので、自分はしっかりつなげることを意識して走りました。GⅠの特選は決勝に近くなると思うので、そこに向けて頑張りたいと思います。その前にサマーナイトフェスティバルの初日特選も決まっているので、まずはそちらで頑張りたいですね」
〈2走・岸田剛〉
「昨年と2走、3走を入れ替えて、その結果が出てよかったです。バンクが使えず、思うように練習できなかったので少し不安はありましたが、走ってみると寺崎さんがいる安心感もありましたし、3人で勝ててよかったです」
〈3走・寺崎浩平〉
「福井メンバー全員をしっかり特選スタートに連れていくことができてよかったです。北日本や南関勢も強力だったので、安全策というわけではありませんが、自分が3走を務めた方がいいと判断して走りました。しっかり結果を出せてよかったですね」





■4㎞個人パーシュート
4km個人パーシュートは、窪木一茂が全プロ記録を更新する4分28秒672をマークし、大会2連覇を達成した。
優勝 窪木一茂 4分28秒672
2位 谷内健太 4分44秒877
3位 角令央奈 4分46秒134
【優勝】窪木一茂(福島)
「直前に須永優太さんが『日本記録ではなく、大会記録を目指そう』と明確に言ってくれたおかげで、それまでは緊張して、いろいろなことに気を取られていたんですけど、目標がはっきりしました。残り1周で少し慌てて踏んでしまったので、来年また走る機会があれば、もっといいタイムを目指したいですね」
【2位】谷内健太(京都)
「パーシュートの練習はしていなかったんですけど、まず角さんが走って基準となるタイムを出してくれました。さすがに年齢がこれだけ離れていて負けるわけにはいかないと思って走りました。しっかり勝てましたし、2位という結果もついてきたのでよかったです」
【3位】角令央奈(福岡)
「窪木は別格として、実質的には競輪選手の中で2番目ということですから(笑)、頑張りました。自己ベストも出せましたしね。この年齢になってもまだ頑張れるのはうれしいです。これで親王牌の出場権も獲得できましたし、少しずつ競走得点も上げていきたいですね」





■4㎞チームパーシュート
中長距離種目を得意とする橋本英也と棚瀬義大を中心にまとまりを見せた中部・岐阜チームが、見事に優勝を果たした。
優勝 中部・岐阜チーム 4分20秒546
2位 関東・茨城チーム(梁島邦友、木村皆斗、朝倉智仁、松崎広太) 4分22秒981
3位 北日本チーム(佐々木雄一、渡邉正光、坂本貴史、守澤太志) 4分25秒407
【優勝】中部・岐阜チーム
〈橋本英也〉
「柴田祐也支部長をはじめ、岐阜支部の強化がうまくいった結果だと思います。この優勝は、みんながきれいに走れた結果ですね。タイム設定は自分が担当しました。自分以外の3人は親王牌の出場権がかかっていて、3位以内に入ることが重要だったので、まずは3位以内を確保できるタイム設定を意識しました。そのおかげで無理をし過ぎることなく、全員がきれいに走ることができましたし、結果として優勝もついてきてうれしいです。チームメイトがいい走りをしてくれたおかげですね」
〈棚瀬義大〉
「めちゃくちゃきつかったです。でも、みんながきっちり走り切った結果が優勝につながったのでよかったです。ラスト2周は英也さんが前に上がったので、そこは必死についていきました。3位以内が目標だったので、正直優勝できるとは思っていませんでした。親王牌の出場権も獲得できてうれしいです」
〈長尾拳太〉
「メンバー的に英也さんと棚瀬がいてくれれば、あと1人が離れずにゴールできれば3位以内には入れると思っていました。話し合った結果、自分が最後まで残る形になりました。実戦経験が少なく、どれくらい余裕を持って走れば最後まで走り切れるのか分からなかった部分もありましたが、その中でしっかり役割を果たして優勝できたのでよかったです」
〈橋本優己〉
「英也さんが中心となってペース配分などを考えてくれて、僕たちはそれをしっかり遂行することを意識して走りました。それがよかったと思います。3人が親王牌の出場権を獲得できたのは大きいですね」





■エリミネイションレース
今年もアジアチャンピオンジャージに身を包んだ橋本英也が、巧みなレース運びを見せて連覇を達成した。また、昨年に続いて大ベテランの内藤宣彦が3位に入る健闘を見せた。
【優勝】橋本英也(岐阜)
「アジア選手権チャンピオンとして負けられない気持ちがありましたが、しっかり優勝することができてよかったです。今回のエリミネイションレースはレベルが高く、スピードもあったので、非常にいいレースだったと思います。連覇できたことは光栄ですが、これからは中長距離のナショナルチームメンバーも増えてくると思うので、僕ひとりの一強の存在ではなくなると思います。その分、より見応えのあるレースをお見せできると思うので、その中でしっかり頑張りたいですね」
【2位】村上翔馬(兵庫)
「負けているので、うれしいと言ってはいけないかもしれませんが、2位に入れたことは素直にうれしいです。7月からS級に上がるので、親王牌に向けてさらに状態を上げていけるよう頑張りたいと思います」
【3位】内藤宣彦(秋田)
「昨年に続いて3位に入ることができて、自分でもびっくりしています。本当は前中団あたりでレースを進めたかったんですが、展開的に後方にいる時間が長くなってしまい、きつかったですね。見ている方には余裕がありそうに見えたかもしれませんが、実際は必死でした(笑)。これで親王牌の出場権を獲得できたので、また頑張ります」



