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11月の印象に残った選手、レースを紹介!
特集 2024.12.04

11月の印象に残った選手、レースを紹介!

#今月のベストプレイヤー

●11月のMVP

太田りゆ(埼玉・112期)L級1班

 デビュー直後から長らくナショナルチームに在籍し、今年8月には念願のパリ五輪にも出場した。そんな太田が競技者としては一区切りとし、9月に引退を発表した。これからは本業のガールズケイリン1本に絞る。復帰戦の9月川崎で完全Vを挙げると、そこから11月松阪まで4場所連続完全優勝とケタ違いのパワーを誇示した。

「これまでの8年間で積み上げたものがレースで出ています」と自信を持って挑んだ競輪祭女子王座戦は、初日から11秒9の快速まくりが飛びだした。「スピード勝負には自信を持っています。フレームも変えたら後半のあたりが良くていい感じでした。何より、覚悟を決める瞬間に腹を括ることができたのは今までの経験が伴っていたから」と、仕掛けどころを逃さぬスパートは自信の表れだった。準決は後方から仕掛けたものの、前々にいた久米詩に先着を許して2着に。それでも「もっとバタバタと落ち着きのないレースをしてしまうと思ったけど気持ちが据わってきたと思う」と冷静だった。
 そして迎えた決勝戦は前で受けるとそのまま主導権を握った。梅川風子の反撃を合わせペースに持ち込み、佐藤水菜との直線勝負となったが4分の3車身差で敗れた。勝った佐藤がさすがだったが、太田の魅せた3日間はいずれも内容が伴っており値打ちがあった。
「GⅠタイトルを狙っていたけど勝てませんでした。来年のグランプリ出場を目指します。1年間、ケイリンだけを走るのは初めてだけど、これまでの経験を生かして戦えればやれると思います」とすがすがしい表情で振り返った。
 負けてなお強し、そんなイメージに見えた。来年以降の活躍がますます楽しみだ。

●11月のベストレース

郡司浩平(神奈川・99期)
小倉競輪GI「第66回朝日新聞社杯競輪祭」11月19日 6R一次予選1

過去の経験と自信が成せる技!

 この日の郡司は佐藤慎太郎―竹内智彦を背にした自力戦。他には小林泰正、山田久徳、北津留翼にラインができ4分戦となった。前受けした郡司は後方から上昇した小林に対し突っ張り気味に踏んでから小林を出し、3番手をゲットした。「ペースを上げるように踏んで泰正を出しました。緩いまま出すと(山田)久徳さんや北津留(翼)さんが切って切ってとなって後方になるから。あそこでスピードを上げておいたから、久徳さんも切れなかったんだと思う」と巧妙かつ正確な位置取りだった。
 あとは後方の仕掛けを気にしつつ、小林をうまく動かして仕掛けるだけ。それが3番手をキープした際の定石だが、その仕掛けが早かった。呼吸を整える間もなく、打鐘後の2センターからピッチを上げて何とそのまま先行してしまった。それも郡司からすれば想定の範囲内だった。
 「これまで、3番手を取ってもいい位置すぎてかえって仕掛けが遅れることがアタマにありました。だから、ホームから行けると判断して駆けたんです」。
 小林のスピ―ドに頼りたくもなるが、もしも流そうものなら山田や北津留がズドンとやってくる。好位に甘んじず、ここぞというポイントから仕掛けた結果、佐藤の追随を振り切りワンツー・フィニッシュ。これまで培った経験を存分に生かした自在性に富む運行だった。

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