●9月のMVP 眞杉匠(栃木・113期)S級S班
9月13日~16日 宇都宮競輪場「第40回共同通信社杯競輪」GII
9月は宇都宮「第40回共同通信社杯競輪」(GII)と青森「開設74周年記念 みちのく記念善知鳥杯争奪戦」(GⅢ)の2本に出場したが、特筆すべきは地元で行われた共同通信社杯だろう。
ただでさえ緊張する地元開催で、しかも前検日には「深谷(知広)さんや寺崎(浩平)さんが宇都宮に前乗りしていたので一緒に練習をさせてもらったんですけどすごく強くて。(自分の仕上がりがイマイチなのか)ちょっと不安…」とボヤいていたが、いざ開催に入ると「セッティングが段々とマッチしてきた」と自慢の調整能力を発揮し日に日に調子を上げていき、サラリと優勝を手にした。
地元選手がビッグを制したのは、2002年に同大会を制した神山雄一郎以来。雷神バンクの若大将が、尊敬するレジェンドの背中を追いかけている。ビッグ優勝は7月の松戸「サマーナイトフェスティバル」以来4度目でGIIに関していえば連続優勝となった。賞金ランクを大きく押し上げ、年末の静岡「KEIRINグランプリ2024」出場へ前進した。もちろん、GIを手にして乗ることが大前提だが、まずは賞金面での〝押さえ〟は欲しいはず。残り2本のGIタイトルゲットを目指し10月以降も大暴れだ。
●9月のベストレース
窓場千加頼(京都・100期)
向日町競輪場「開設74周年記念 平安賞」GⅢ 9月8日 決勝12R
息を飲んだ、近畿軍団のつばぜり合い
地元軍団、点数上位のリーダーとしての役目を果たし決勝まで勝ち上がった。近畿は窓場と同郷の山田久徳に脇本雄太の3人。近畿で結束するかと思われたが、窓場はなんと脇本と別線で戦うことにした。「この先を考えての決断でした」と説明したのは、今後S級S班を目指す立場であり、今の力を測る、また何が足りないかを脇本とのガチンコ勝負を通して知りたかったのかもしれない。
レースは窓場、脇本と清水裕友にラインができ松谷秀幸が単騎。清水が飛び出し先行体勢に入ると窓場が中団5番手、脇本が後方8番手で最終ホームを通過したが、その後の近畿両者の踏み合いは壮絶だった。清水のピッチが絶妙で、窓場は脇本よりも先にまくったがなかなか清水を飲み込めず4角まで長引いた。そこへ脇本がまくり迫ったが、両者は一歩も引かぬつばぜり合い。最後は窓場がわずかに押し切ったかと思われたが、ゴール寸前に脇本が大外を突き抜け優勝をさらった。その差はわずか8分の1輪差、窓場にとってはほろ苦い2着だった。その後「あの8分の1輪が今の自分なんでしょうね…」と振り返り今後の糧とした。
当開催を終えると向日町競輪場は再整備に入り、2029年のリニューアルオープンを目指す。そのとき窓場は38歳と脂が乗っており、地元の大エースとして円熟期を迎えているかもしれない。今回のリベンジは5年後に持ち越しだ。