●2月のMVP 北井佑季(神奈川・119期)S1
・2月9~12日 岐阜競輪「第39回読売新聞社杯 全日本選抜競輪」
・2月20~22日 「四日市競輪FⅠシリーズ」
岐阜、全日本選抜競輪は北井の独壇場だった。初日にパワフルな仕掛けで軽快に逃げ切り幸先いいスタートを切ると、2日目は他派に松浦悠士、嘉永泰斗ら強烈なメンバーが揃うなか3番手を確保してまくり、郡司浩平とワンツーを決めた。
前検日には「今年の目標はGⅠの決勝。去年は高い壁に阻まれたし今年はチャレンジしたい」と話していたが、準決は脇本雄太とのつばぜり合いの末、番手にハマると、直線を猛襲して3連勝目をゲットした。脇本と山口拳矢、眞杉匠らS級S班3人をなで斬りする好プレーで、軽々と今年の目標をクリアした。
決勝戦は、最終ホームで先行体勢に入ろうとしたところ、新山響平が1人カマシで飛んで来るというおあつらえの展開を迎えたが、最後はマークした郡司浩平が突き抜けて優勝し北井は3着に終わった。レース後は「ラインから優勝者が出たのはうれしい。でも自分が勝ちたかった」と悔しさを隠さなかった。とはいえ、初のGⅠ決勝を含め4日間ともに力を出し切るレースをした末の結果だ。この先いくらでもチャンスが巡る、そう予感させた開催だった。
●レース「高松競輪開設73周年記念 玉藻杯争覇戦」GⅢ 2月20日最終日12R決勝
各人各様が躍動し9車立ての醍醐味を実感
このレースは見どころが満載だった。並びは町田太我―松浦悠士―香川雄介―福島武士の中四国勢、浅井―井上昌己、そして菊池岳仁の後ろを巡り佐藤慎太郎と東龍之介が競った。菊池は関東地区。北日本の佐藤と南関東の東では、絶対的に番手を強調する材料はないが「東日本スジ」と大きくくくれば、S級S班と格もあり点数上位の佐藤が主張するのは当然の事。だが、東は準決勝で菊池とワンツーを決めた、という事実を根拠として番手を主張したのだ。戦前の見立てなら、町田は同期同学年の徹底タイプの菊池の後ろがもつれるのは大歓迎で、浅井は中団をキープしながらどう立ち回るか、など思惑は様々だった。
レースは赤板から壮絶に動き出した。前受けから町田を突っ張る菊池、猛然と叩きにいった町田のスピード、そしてスピードが上がるなか、体をぶつけあった佐藤と東。そして松浦は菊池の後ろが離れるとみるや、打鐘で的確に町田を迎え入れ反撃に備えるなど各人各様に魅せ場は満載だった。
そして迎えた最終ホームから町田が菊池後位からすかさずスパート。その際に東は香川をキメて松浦の後ろに割り込んだ。そんな入り組む展開を中団から見ていた浅井は、満を持して2角から車を外に持ち出したが東のブロックを浴びてスピードが乗らない。それでも、バック手前から番手まくりを放った松浦の後ろへ手際よくスイッチした。最後は浅井と松浦の伸び比べだったが、4分の1輪差で浅井が制し、通算34回目の記念V(4日制のみでは歴代最多)で締めた。
他のメンバーも存在感があった。失格した福島こそ残念だったが、佐藤は後輩マーカーの挑戦を堂々と受け入れ気概を示し、香川はさばかれたがその後も諦めることなく位置を狙いに行き、井上はバックを踏んだり内に降りたりなど浅井の変幻自在な動きに翻ろうされながらもしぶとく食い下がって3着をゲットした。好メンバーがそれぞれ持ち場をまっとうした、9車の競輪ならではのドラマチックな激闘だった。