12月のMVP
新山響平(青森・107期)
12月30日「KEIRINグランプリ2023」突進先行を大舞台でも貫いた
松浦悠士の初Vで幕を閉じた当レース。場面をキリリと動かし見せ場を作ったのは新山だ。王道の前受けから、脇本雄太を合わせて突っ張ると壮絶なモガキ合いとなり、ホームでは脇本にわずかながら出られたが、諦める気配はまったく無かった。
昨年は初のS級S班として1年を戦った。序盤は何が何でも勝たねばならぬS班の宿命が大きなプレッシャーとなってリズムを崩していたが、突っ張り先行をモノにして迷いが吹っ切れた。
一般的に、前受けからの突っ張り先行は極度に脚を使うため、2分戦などを除いてはそこまで多用はされてこなかった。だが新山がこれでもかと繰り出す事で、脚のある先行タイプが多用しだし、これまで以上にひとつの戦法として競輪界に確立された。
そんな必殺技をグランプリの大舞台でも躊躇なく繰り出した。初志貫徹の突進駆けに新山の覚悟を見た。2024年も楽しみだ。
12月のベストレース
「佐世保競輪開設73周年記念九十九島賞争奪戦」準決勝10R
井上昌己(長崎・86期)44歳・S級1班
地元の執念を示した一戦
アテネ五輪銀メダルに、グランプリ制覇と輪史に名を遺す生けるレジェンド。これまで数々のタイトルを獲得してきたが地元記念は特別なもので、いつ走っても佐世保開催は気持ちがたかぶる。
過去に3度制した大会はいつも一戦入魂だ。準決は東矢圭吾―伊藤颯馬の3番手から1着をゲットした。レースは東矢が北井佑季に突っ張られると、伊藤がすかさず北井ラインの3番手にいた渡邉一成をキメてその位置を奪った。その際、井上は「鋭角に降りたので」と伊藤と連結を外してしまったが、1車ずつじんわりと追い上げると3角では内、外をキメて、返す刀で直線を突き抜けた。
阿修羅のような立ち回りは地元の人気を背負った責任感からくるもので
「(取材記者から)『全盛期の動きだった』と言われたので良いでしょう(笑)。動けていると思ってください」と仕上がりの良さをアピールした。