今月のMVP 野口裕史(千葉 111期) S級1班
バック本数20本超えは当たり前。常に前へと畳みかけるパワー全開の先行が身上だ。それは徹底先行タイプが相手になると余計に燃える。これは言うなれば、職人の性と言っていい。魅せるレースは周りにとっては大きな刺激となり、昨年12月の高松記念では野口が破壊力ある先行を連発していたのを見た同級生の渡邉一成が感化され、連日長い距離をもがいていた。
昨年後半からここ数場所までの勢いはなかなかのもの。年初の立川記念の二次予選は打鐘先行で番手の和田健太郎を背に押し切り、松戸のFⅠシリーズでは地元Vを飾った。しかも師匠の武井大介とワンツー決着で、加えて大師匠である吉井秀仁氏の冠が付いた大会だっただけに喜びもひとしおだった。
近況の充実ぶりを聞くと「今までは下を向いてもがくクセがあって、コーナーに入っても気付かなかったりして。無意識に脚を消耗していたし、踏み方が変だった。でも去年の秋ぐらいから修正ができてきたんです」との話だった。
今年5月には不惑を迎えるが、南関を背負う大型大砲はまだまだ元気いっぱい。FⅠ、GⅢクラスでは安定感はある。今年は次のステージ、ビッグ戦線での大きな飛躍に期待だ。
■レース 大宮競輪「東日本発祥74周年記念 倉茂記念杯」1月22日 12R決勝
郡司浩平(32)神奈川 99期 S級S班
大宮記念の郡司は、これまで幾度となくラインを組んでいた深谷知広と初日特選と決勝で連係した。今回、以前とは違い、初めて郡司―深谷と並んだ。今後の新展開を願ったもので、レースメンバーや構成によって両者の前後をそのつど変えられれば、ラインは高いレベルで機能する。
最近で言えば松浦悠士と清水裕友の関係性が代表例で、かつては武田豊樹と平原康多がそうだった。さらに、今年に入ると脇本雄太と古性優作が前後に関して「古性-脇本もこの先ありうる」と言ったような話に言及するなど、強いラインは日々、柔軟に対応してレベルアップをしていく。
初日特選は郡司が仕掛け損じたものの、決勝では明らかな修正が施され、前団が緩んだところを一気にカマして出た。とはいえ、さすがの郡司でも大宮超走路の1周カマシではきつい。それでも後ろの深谷のVには貢献した。この先、まだまだ続く南関ゴールデンコンビの連係がさらに強化され、新たな方向性が示された瞬間だった。