KEIRINグランプリである。
1年にわたる賞金争いの果てにたどり着いた9名での一発勝負の大一番、
その勝者に与えられるのはなんと優勝賞金1億3700万円とグランプリレーサーの称号だ。
幸運な事に筆者も優勝させてもらった事があるのだが、間違いなく人生が変わったと言っても過言では無い。
GI優勝では変わらなかった景色がグランプリ優勝ではハッキリと変わった瞬間を今でも覚えている。
何のために毎日苦しい練習をしているのか?
大怪我を繰り返すたびに何回大切な人達の悲しい顔を見なければいけないのか?
それが報われたと感じる事が出来たのはグランプリに優勝することが出来た時だけだった。
だけどそれを味わえるのは約2200人いる男子競輪選手の中で年間一人のみ。
戦いの世界というのは『そういうもの』なのだ。
2023年の競輪界は山口拳矢と眞杉匠、20代のタイトルホルダーが生まれた。
ここ数年代わり映えのなかったSS級のメンバーに大きな変化が生まれる事になる。
さらにこの2人の中でグランプリに勝つ者が現れたら、それこそ競輪界が大変革の時代に突入すると言っても過言ではないだろう。
次はヤンググランプリだ。
今年のヤンググランプリは近年稀に見るハイレベルなメンバーが揃った。
太田海也、中野慎詞
ナショナルチーム勢の脚力はKEIRINグランプリ出走組を遥かに凌駕しているし、犬伏湧也、北井佑季はGI戦線でも争覇圏級と言われるほど高評価を受けた。
誰が勝ってもおかしくない状況だが、間違いなく今年ヤンググランプリに出走する選手の誰かが、来年のKEIRINグランプリに出走している可能性が高い。
それほどまでに今年のヤンググランプリは注目度が高いのだ。
そしてガールズグランプリだ。
女王・児玉碧衣の復権なるか?
世界選手権メダリストの佐藤水菜が国内ガールズケイリンも天下統一するのか?
この2つに注目が集まる。
純粋な脚力は佐藤水菜だが児玉には国内ケイリンの経験と知識がある。
この大きな2つのパワーがぶつかり合う時には、久米詩の自在戦がクローズアップされる瞬間が来るかもしれない。
要するにどのグランプリも勝負論の塊だ。
負けられない戦いがそこにあるのだ。
とにかく出走選手達には〝景色が変わる瞬間〟を味わって欲しい。
〝報われる瞬間〟を感じて欲しい。
上から目線に聞こえてしまうかもしれないがこれは本心だ。
辛い事ばかりの競輪人生だったが引退してみて「良い競輪人生だった」と思えたのは私の場合、KEIRINグランプリに優勝して引退出来たからだと心から思う。
25名の選手達に最大の敬意を払って解説させて貰うことを私も強く誓います。