10月20日、午後5時過ぎの弥彦競輪場4コーナー付近。一気に暗くなってきた客席に初老の男性、30前後の男性、それに若い女性3人の計5人が座っていました。興奮と虚脱の余韻に浸りながら。
この話の始まりは先々週の土曜日。月に1回はラーメンを食べにやってくるОL3人組と、競輪仲間のタナカくんとの会話から。昨年は太田海也を見に、弥彦競輪場へ行って楽しかったよねえと盛り上がっていて、今年もまた行くことに。たまたま隣りにいたから、一応は誘ってくれたんだと思うけど、タナカくんまで熱心だったからつい一緒に行くことになっちまったわけ。その後けっこう後悔してたんだけどね。
行きのワゴン車の中で約4時間半、朝っぱらからうるさい、うるさい。タナカくんがなぜ誘ってくれたのかわかったよ。
12時前に競輪場に到着。場内の食べ物屋は混んでいたけど、マサさんと同じで、元選手がやっているラーメン店には行きたかった。忙しそうだったから話はできなかったのが残念。ラーメン500円、チャーシューメン700円、一番高い味噌チャーシューメンでも900円。とんでもない安さだけど、ラーメンは薄い色のスープであっさりしているし、味噌は逆にしっかりしている。レベル高いじゃない。隣りの食堂のおにぎりもうまかった。いい具合に握られている。それにやっぱり米が違うわ。
食べ終わって1時過ぎ。参戦したのは7Rから。後半はわりに堅めだったけど、車券は微妙にずれるんだよね。
そして決勝。3人組には脇本雄太と古性優作の⑤①、①⑤で堅いよと教えてあげたのに、彼女たちの一人が過去の弥彦で行われた寬仁親王牌7回の出目を披露してくれた。1着は今まで出たことがない②⑥⑦。理由はこのところ毎年、今までに出ていない車番が勝っているから。2着は4回も出ている①。3着は全通りの車券。21通りを200円ずつ買って4200円にし、会社で買うことになった。それぞれ800円ずつで、俺だけ1000円出すと3人から歓声と拍手。200円で若い女性に喝采をあびるなんて…。俺、にやにやしてないよね。
太鼓が打ち鳴らされて選手が登場してくるところから場内は大興奮。残り2周前に新山響平が仕掛けていくと全員総立ち。前を取った近畿勢はもちろん突っ張り先行。たたけずに外で粘った新山をちょうど目の前で脇本がさばき、古性も渡部幸訓に競り勝って続く。これで決まったと拳に力が入ったのに、郡司浩平がまくってきたところで、脇本が痛恨の内への差し込み。古性が郡司に切り替えて、その後ろが小原太樹。こちらの車券は万事休す。でも我らの会社の車券が急浮上。タナカくんが「②①で回ってる、②①、②①」と言い始めてからのОL3人娘の叫び方は半端なかった。佐々木悠葵がまくってきたときには、「来るな、来るな」の連呼。仲間だと思われるの恥ずかしかったもの。4コーナーからゴールまでは選手が後ろ姿になるので、わかりづらかったけど、タナカくんが「⑥が来た」と言ったから、今度は②⑥、②⑥ってみんな言い出して、②⑥はないの、あるのは②①、⑥①。ゴールしたときは古性が1着だなと思ったけど、女性3人は②①、⑥①とぶつぶつ言いながら祈ってた。結果は1着が古性で、2着は小原、3着が河端朋之。3連単は①④⑥の12万1980円。どよめいた、どよめいた。こちらも会社の車券のおかげで興奮させられた、悔しいけどね。
当たらなかったけど、3人組は大興奮。鉄火場の雰囲気じゃないけど、これ、なんか悪くないな。
暗くなった競輪場をあとに一路首都圏へ。またうるさいのかと覚悟していたら、車が動いて5分で3人は爆睡。微笑む男2人。これを幸せと呼ばずになんと呼ぶ。俺もずいぶん軟弱な男になったな。