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編集部コラム 「KEIRIN On My Mind」
特集 2023.11.22

編集部コラム 「KEIRIN On My Mind」

いつもの競輪場のラーメン屋。休憩中の4時前に顔を出すと、常連のトミさんが座っていた。声をかけようとしたら、店主のマサさんが湯気の立ったラーメンを運んできた。スープの色と香りから、エッとなる。味噌ラーメン?。

「今度出す、味噌ラーメンの試作に付き合ってる」とトミさんが微笑む。

そういえば、この店、醤油ベースのラーメンがいくつかあって、あとはタンメン。夏は冷やし中華も出すけど、味噌ラーメンがなかった。

「タンメンは塩だけだし、麺も同じものを使えるけど、味噌は麺も変えなきゃダメだし、味噌作りもめんどうだからねえ。でも何人ものお客から言われたし、この冬はやってみようかなと」。それでこの試食会か。もう一杯作るよと厨房に戻るマサさん。

うまそうに食べてるトミさんと競輪談義。まずは先月の寬仁親王牌。マサさんは初出演した場内の予想会で犬伏湧也を推して外し、こちらも古性優作、南修二の浪花車券を買って外していた。古性優作は今、最強だねと話していると、トミさんが「そうそう、大阪でいうと、今日の静岡で決勝に乗っている福永大智が最近すごいよね」と。

福永は大阪の113期で現在25歳。自分の型を持っている自力選手だ。

すべてのレースでと言っていいほどスタートを取り、抑えられたら位置取りをしながら引いて、まくりで仕留める。豪快とは違うな。鋭いときもあるし、ゴリゴリと前に進んでいく感じのときもある。

2カ月に1回くらい決勝に乗っているイメージだったが、今年5月の福井からFⅠならコンスタントに決勝に乗り始めた。そして先月の和歌山の決勝。同郷で同じ年齢の土生敦弘を目標のレース。簡単な流れではなかったが、最後は3コーナーからまくって勝った。これが21年2月の京都向日町以来の優勝。次の大垣こそ決勝の3着だったが、11月に入って、前回の小松島をやはり3コーナーまくりで制している。

そして今回の静岡は前受けからのまくりで無傷の決勝進出。車券は福永とマーク吉本卓仁のワンツーから、3着を大石剣士、佐藤一伸、大坪功一にしての3点買いと決めていた。そこへタイミング悪く?運ばれてきた味噌ラーメン。麺は太目。コクと甘味があって、それでいて脂っぽくない。もやしとキャベツがしゃきしゃきしている。旨いな、これ。発売締切を気にしながら、半分だけ食べて、マサさんに「ごめん。このまま置いといて」と言って車券を買いに。

一緒に決勝を見ようと戻ってきたら、のびた味噌ラーメンを前にこちらを睨むマサさん。自分が作ったものをこんなふうにされたら、それは怒るよな。本当に申し訳ない、ごめんなさい。

レースは福永こそまくりが届いて優勝したが、2着は先まくりの大石で、吉本が3着。悔しがらせ方が絶妙。

絶対に味噌ラーメンの呪いだ。

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