ラーメン屋の店主、マサさんから連絡があって競輪場へ。約束は午後9時だけど、青森ナイターの場外発売をやっているから、早めに行って、ガールズ、A級、S級の決勝3連発でも買おう。
場内で出くわしたトミさんと一緒に店に顔を出したら、月イチでここのラーメンを食べにくるOL4人組と、先月、車券仲間になったばかりのタナカ君がテーブル越しに話してる。若者が競輪場にいるのはいいもんだな。
厨房で後片付けしていたマサさんがペーパータオルで手を拭きながら出てきた。
「俺さあ、寬仁親王牌の最終日に、場内の予想会に出ることになっちゃった」。
場外発売での予想会。コロナ禍がひと段落したし、元競輪選手で、いつもお客さんに能書きたれているのを買われて、ゲストの一人として出ることになったらしい。
すかさず、ОL4人組が「うちわを作って、応援しにいきます」と声をかけてきた。
逆に恥ずかしいでしょ、それ。
「ありがとう、その日は無料でラーメン出すよ」。ニコニコしてうなずくマサさん。
おいおい。
「で、用って、何?」とトミさん。
「俺は予想会まで仕事しているから、一緒に狙い目を考えてほしいんだよね」。
エーッと言うトミさんとこっちを横目に、実は狙っている選手がいるんですよとタナカ君。
太田海也の名前をあげた。
太田はナショナルチームで先のアジア大会でスプリントとチームスプリントを制しているけど、自転車競技で使う自転車はカーボン製で、競輪は鉄製。ルールも違う。脚があるのは認めるけど、そのへんがどうかな。
「太田は違うんですよ」。
そうだった。ナショナルチームの活動をしながらだから、今年、競輪を走ったのは記念2本、FⅠ1本、それに前回8月のオールスター、この4回だけ。3カ月半ぶりの競輪だったのに、そのオールスターがすさまじかった。5走すべて先行して、一次予選が2着、1着。二次予選は1着。準決は新山響平をたたいたが、吉田拓矢にまくられて痛恨の4着。最終日は決勝の前のレースで、新田祐大、山崎賢人を相手に赤板過ぎから逃げ切っている。自転車競技よし、競輪よし、この適応力はすごい。
タナカ君がОL4人組にスマホで太田の写真を見せている。「ウッソ」「まじ?」「やばい」「超イケメン」の声が飛び交う。「見たいなあ、生のカイヤ君」と彼女たち。もう名前の方で呼んでるし。
「来年はパリ五輪だから、めったに競輪には出ないですよ」というタナカ君の発言から
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弥彦へカイヤ君を応援しにいこう
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日曜日の早朝に出て、翌日は仕事だから当日帰ってこよう
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車で行こう
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5人だからワゴンだね。トミさんと俺は?
そしてスマホで車の手配までの早かったこと早かったこと。
しかもLINEを交換して、すぐグループになってた。
10分前はマサさんを応援しにくるって言ってたのに…。
ということで10月22日は、若者5人は太田海也を応援に弥彦へ。
おじさん2人は店主を応援にまたここへ。
タナカ君、競輪ファンを増やしてくれるのはうれしいけど、でもねえ…