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第35回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GⅠ)展望
レース展望 2026.09.30

第35回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GⅠ)展望

#グレードレース展望

「第35回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」(GⅠ)が2年ぶりに弥彦競輪場で開催される。9月の共同通信社杯競輪では、吉田拓矢の逃げに乗った佐々木悠葵がGⅡ初制覇を達成。2着に小林泰正が入り、群馬勢のワンツーとなった。一方、決勝戦に勝ち上がれたS級S班は吉田拓矢と古性優作の2人だけ。近況はトップレーサーたちに元気がないのがやや寂しい。年内の男子GⅠは残り2大会となり、グランプリ出場権をかけた争いも混迷を極めているだけに、トップレーサーたちの巻き返しと、これぞ競輪という白熱のレースを期待したい。

※本文の獲得賞金ランキングは2026年9月22日更新の公表値。

開催初日のメインとなる日本競輪選手会理事長杯には、5月に武雄競輪場で開催された全日本プロ選手権自転車競技大会(全プロ)のケイリンで優勝した山口拳矢、スプリントで優勝した小原佑太、1kmタイムトライアルで優勝した新田祐大の3名と、全プロに出場したS級S班6名が出場予定だ。1~5着の5名は2日目のローズカップに進出し、失格・欠場などがなければ、同レースの着順にかかわらず3日目の準決勝へ進める。ライン的には3車そろった寺崎浩平-脇本雄太-古性優作の近畿勢が強力だが、近況の勢いからいえば、9月の共同通信社杯で佐々木悠葵を優勝に導いた吉田拓矢と眞杉匠の関東コンビが優勢か。もちろん、全プロでそれぞれ1kmタイムトライアルとスプリントを制した新田祐大と小原佑太の北日本コンビの一発も十分だ。

近畿トリオは寺崎浩平-脇本雄太-古性優作の並びだろうが、3人とも本調子とはいえない状態が続いているので、どこまで立て直してこられるかに注目したい。共同通信社杯の寺崎は、予選は連勝だったが、準決は犬伏湧也に叩かれると内に詰まったままズルズル後退して6着だった。脇本は二次予選Bで市田龍生都との連係だったが、不発の市田との共倒れで8着に敗れている。古性は準決を3着で突破して優出しているが、4日間勝ち星なしに終わっており、今回こそは勝てる走りを目標にトレーニングを積んできてくれるだろう。

新田祐大は2023年2月の全日本選抜以後、GⅠの優出はないが、今年は7月のサマーナイトフェスティバルで準優勝と、まだまだトップクラスで戦える力はある。全プロの1kmタイムトライアルで、40歳で1分2秒台をマークして優勝しているのが何よりの証拠だ。共同通信社杯では二次予選Bで敗れたが、3日目特選では逃げる市田龍生都の番手を取り切り、番手まくりで1勝を挙げている。今回は小原佑太という心強い味方がいるし、小原は競輪では先行主体で頑張っているだけに、連係がうまく決まれば新田の一発が期待できる。

グランプリ覇者の郡司浩平が苦しんでいる。今年は2月の全日本選抜競輪と6月の高松宮記念杯競輪で優出しているが、5月の平塚の日本選手権では準決で落車、高松宮記念杯も決勝で落車、オールスターのドリームレースで落車・失格と流れが非常に悪い。共同通信社杯も二次予選Aで敗退し、獲得賞金ランキングも10位まで下がり、グランプリ出場が危うくなってきた。さらにいえば、昨年の寬仁親王牌も理事長杯で失格しており、今年の理事長杯は単騎戦となりそうだが、これまでの悪いイメージを払拭して強気に攻められるかどうかがカギとなるだろう。

山口拳矢は全プロのケイリンで、自身3度目の優勝を果たして理事長杯出場を決めた。2024年の弥彦大会も理事長杯スタートで6着だったが、二次予選Aを1着で突破して準決進出と、弥彦バンクとの相性はいい。今年は2月の全日本選抜で優出しており、共同通信社杯では準決で敗れたが、一次予選と4日目特選で、まくりで2勝を挙げており調子は悪くない。理事長杯では単騎戦が想定されるが、展開次第では山口にもチャンスは巡ってくるだろうし、一昨年の大会と同様に勝ち上がりが期待できるだろう。

■深谷知広が弥彦バンクで12年ぶりのGⅠ優勝を狙う

開催初日の特別選抜予選2レースは、全プロで優秀な成績を収めた選手たちをはじめとした18名が出場するが、各レースの1~2着、計4名が2日目のローズカップに進出する。失格・欠場などがなければ、同レースの着順にかかわらず3日目の準決勝へ進める。中心となるのは、共同通信社杯で3連勝で優出した深谷知広、8月のオールスターでGⅠ初制覇を達成した犬伏湧也、共同通信社杯で持ち味の先行で優出した新山響平の3人だ。

深谷知広は共同通信社杯の決勝では、吉田拓矢の気迫あふれる走りに気圧されるかのように、最悪の8番手まで後退してしまい優勝はならなかったが、一次予選と二次予選Aはまくり、準決は逃げ切りの3連勝と絶好調だった。今年はまだGⅠでの優出はないが、3月のウィナーズカップで優勝しており、獲得賞金ランキングは5位につけている。ただ、位置取りにこだわるほうではないので、共同通信社杯決勝のように7、8番手から不発というパターンが多いのが弱点だが、今の好調ぶりなら展開無用の勝ち上がりが期待できそうだ。

犬伏湧也はオールスターでGⅠ初優勝を達成し、共同通信社杯でも決勝3着。一次予選は前受けから徹底的に突っ張り切っての2着、二次予選は打鐘から前を叩いての逃げ切り、準決も打鐘から前を叩いての逃げ切りと、持ち味のパワーでねじ伏せる強い走りを見せた。特別選抜予選には犬伏のほかにも松本貴治、真鍋智寛、室井蓮太朗と四国の仲間がそろっているのも有利で、近況の四国勢の充実ぶりが感じられる。今回もタイトルホルダーにふさわしい真っ向勝負で別線を封じ込めていくだろう。

新山響平は共同通信社杯の決勝は6着だったが、一次予選が逃げ切り、準決も逃げ粘りの2着で菅田壱道とワンツーを決めるなど、全国のファンが求める新山の理想の走りを披露してくれた。6月の高松宮記念杯でも優出しており、獲得賞金ランキングも9位に浮上。今年はいわき平で開催されるグランプリへ一歩近づいた。今年は記念の優勝が2回あり、6月の久留米は小堀敢太の逃げに乗って番手まくりだったが、3月の豊橋は堂々の逃げ切り優勝。今回も先行主体の走りで弥彦バンクを駆け抜けてくれるだろう。

嘉永泰斗は昨年の大会の覇者だが、今年はGⅠ、GⅡでの優出がなく落ち込んでしまっている。対照的に元気いっぱいなのがベテランの荒井崇博だ。共同通信社杯では準決で敗れたが、二次予選Bでは333バンクとはいえ、打鐘から踏み込んで中釜章成を叩いて主導権を奪い、そのまま2着に粘り込んでいる。4日目特選は杉浦侑吾-坂井洋のカマシが決まり、後続を10車身ほど離してしまったが、諦めない荒井は第2先行の形で追いかけて3着に入っている。九州の若手たちには荒井を見習っての奮起を期待したい。

■GⅡ初制覇の佐々木悠葵が夢のグランプリへ突き進む

初日一次予選9レースでは、各レースの1~2着、計18名が2日目の二次予選Aに、3~4着、計18名が二次予選Bに進出する。2日目は二次予選Bの3レースで各1~2着の計6名、二次予選Aの3レースで各1~4着の計12名が3日目の準決勝へ進む。

関東の頼れる先導役として仲間たちに幾度となくチャンスをもたらしてきた佐々木悠葵が、共同通信社杯でついにGⅡ初優勝を達成した。吉田拓矢が新山響平を叩いて主導権を取り、番手から抜け出した佐々木は最後までしっかり踏み切って先頭でゴールイン。古性優作の仕掛けを止めた小林泰正もファインプレーで、終わってみれば群馬ワンツーだった。佐々木は獲得賞金ランキングで7位に浮上しており、もちろん今回も関東の先導役として奮闘しながらも、夢のグランプリ初出場を目指す。

石原颯は共同通信社杯では準決で敗れたが、一次予選は打鐘からカマシて主導権を奪うと、脇本雄太を不発に終わらせての堂々の逃げ切り。単騎の小林泰正が追走して2着に入った。二次予選Aも打鐘からカマシ、佐々木豪が遅れたために深谷知広が番手にはまったが、それでも3着に粘り込んでいる。準決は先行職人の新山響平に主導権を奪われて9着に終わったが、その敗退から得るものはきっと多かったはず。今回も持ち味のカマシを武器に、8月のオールスターに続いての2度目のGⅠ優出が期待できるだろう。

菅田壱道は、今年は3月のウィナーズカップと5月の日本選手権、そして共同通信社杯でも優出と好調だ。ウィナーズカップ決勝は単騎、日本選手権決勝は渡部幸訓と2人で、直接の目標がいない苦しい戦いが続いたが、共同通信社杯では準決で新山響平とワンツーを決め、新山とともに勝ち上がることができた。残念ながら決勝は菅田が5着、新山が6着に終わったが、それでも獲得賞金ランキングでは新山が9位、菅田が11位と、2人そろってのグランプリ出場の可能性があるだけに、今回も気合十分の走りを見せてくれるだろう。

■プレイバック 2021年 第30回大会
平原康多が4年8か月ぶりにGⅠ制覇を達成

新山響平-新田祐大-菅田壱道-大槻寛徳の北日本4車が前受け、単騎の山田庸平が続き、6番手に吉田拓矢-平原康多-諸橋愛の関東勢、最後尾に単騎の野原雅也の並びで周回を重ねる。青板過ぎのバックから吉田が前との車間を切り始め、4コーナーから踏み込んで前団を叩きにいく。それを察知していた新山も踏み込んで吉田を突っ張り切る。しかし、新山のダッシュに3番手の菅田が遅れ、そこへ平原が割り込んで3番手を確保すると、外に浮いていた吉田を迎え入れる。新山-新田-吉田-平原-諸橋-菅田-大槻-山田-野原の並びで打鐘を迎え、ほぼそのままの態勢で最終ホームを通過する。最終2コーナーから吉田が仕掛け、それに合わせて新田が番手から出ていく。吉田は不発となるが、平原が新田に切り替え、新田-平原-諸橋の順で最後の直線に入り、平原が新田を差し交わして先頭でゴールイン。諸橋は新田と接触して落車、2着入線の新田は斜行で失格。繰り上がった大槻が2着、菅田が3着となる。

■バンクの特徴  弥彦競輪場
直線が400バンクの中では2番目に長く追い込み有利

周長は400m、最大カントは32度24分17秒、見なし直線距離は63.1m。標準的な400バンクだが、400バンクの中では武雄競輪場に次いで2番目に直線が長いので、追い込みやまくりが有利で逃げは厳しい。

2024年10月に開催された寬仁親王牌の決まり手を見てみると、全48レースのうち、1着は逃げが4回、まくりが15回、差しが29回。2着は逃げが4回、まくりが16回、差しが20回、マークが8回となっている。

やはり逃げは厳しく、先手ラインの選手が1着を取った回数も13回だけである。逃げ切りは4回あるが、勝ち上がり戦での逃げ切りは一次予選の取鳥雄吾だけで、残り3回は敗者戦だった。直線が長いので、別線のスキを突いてのカマシがうまく決まらないと、逃げ切りは難しい。

まくりは力があれば7、8番手からでも逆転は可能だが、直線が長いのでバック過ぎからの遅めのまくり追い込みのほうがいいし、バック側からの仕掛けならばスピードを保ったままゴールまで突き抜けることができる。なお、1着選手の上がりタイムの最速は10秒9で、二次予選Bで松井宏佑がバック6番手からまくってマークしている。ただし、1着選手の上がりタイムが10秒台だったのはこの1回だけで、ほとんどのレースは11秒台中盤あたりで決まっており、とくに軽いバンクというわけではない。

注目したいのは2着のマークで、他の400バンクと比べるとかなり低い数字となっている。ラインの選手同士でのワンツーは14回しかなく、大半はスジ違いの決着となっている。直線が長いので、ゴールめがけて押し寄せてきた選手たちが横に広がるケースが多く、そのため、ぽっかり空いた中コースを後方から選手が突っ込んできてスジ違いの決着になりやすい。

ちなみに、2024年の大会の決勝戦は寺崎浩平-脇本雄太-古性優作の近畿ラインが攻められて崩壊したが、まくってきた郡司浩平に切り替えた古性が、ゴール前で差し切って優勝している。

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