GI連覇の古性優作を軸に、各地区の反撃が始まる
第22回サマーナイトフェスティバルGⅡが、7月17日から20日まで高知競輪場で開催される。昨年から男子のみの単独開催となり、1日12レース、4日制のナイター開催として行われている。初日は特別選抜予選3個レースが組まれ、各レースの上位3名が2日目の優秀競走「アルタイル賞」へ進出。そこから準決勝、決勝へと夏の夜の頂上決戦が進んでいく。
シリーズの中心となるのは、5月の日本選手権、6月の高松宮記念杯を連覇した古性優作を擁する近畿勢だ。寺崎浩平との連係を軸に、現状の充実ぶりは群を抜く。一方で、犬伏湧也、松浦悠士、眞杉匠、吉田拓矢、郡司浩平、深谷知広、新山響平、山崎賢人、嘉永泰斗らも黙ってはいない。高松宮記念杯で悔しさを残した実力者たちが、巻き返しを期して高知バンクに集う。
GI連覇の古性優作が主役。近畿ラインがシリーズをけん引する
まず主役に挙がるのは古性優作だ。BMXで培った体幹、位置取りの巧さ、勝負どころでの判断力は輪界随一。5月の日本選手権決勝では、単騎戦ながら内を突いて眞杉匠をさばき、吉田拓矢の番手を奪って差し切った。続く高松宮記念杯では、寺崎浩平の番手から抜け出して優勝。展開や並びに左右されず、最後は勝ち切る総合力が際立っている。
現在の古性は、単なる自在型という枠には収まらない。前で戦えば主導権争いに加われ、番手戦では別線の反撃を封じる。混戦になれば内を突く判断も速い。どの位置からでも勝機を作れる点が最大の強みであり、今回も優勝候補の筆頭であることに疑いはない。

その古性を支える存在として、寺崎浩平の存在感も大きい。日本選手権の準決では松井宏佑の逃げを捲って古性の勝利に貢献し、続く宇都宮記念では記念初優勝を飾った。高松宮記念杯の準決でも山崎賢人の逃げを捲って古性とワンツーを決め、今年2度目のGI優出。決勝では犬伏湧也を叩いて主導権を握り、近畿ラインに流れを呼び込んだ。
寺崎が前で積極的に駆け、古性が番手で援護する形は、現状の輪界でも屈指の強力ラインだ。高松宮記念杯決勝後の落車の影響は気がかりだが、状態に問題がなければ、今回も近畿勢の中心戦力としてシリーズを動かす存在になる。

南関勢では、郡司浩平と深谷知広が巻き返しを狙う。郡司は日本選手権準決の落車以降、万全とは言い切れない状態が続いたが、高松宮記念杯では準決を突破して決勝へ進出。苦しい状態でも勝ち上がるあたりに底力がある。好調時の外を踏み上げる迫力が戻れば、近畿勢に迫る最有力の一人となる。
深谷知広は、3月のウィナーズカップで吉田拓矢、眞杉匠の関東2段駆けを捲って優勝したスピードが強烈だった。高松宮記念杯でも予選、二次予選で好タイムをマークしており、状態そのものは悪くない。準決敗退の悔しさを晴らすには、持ち味である一気の仕掛けが不可欠だ。500バンクの高知では仕掛けどころが難しいが、スピードに乗せ切れば一撃の魅力は十分にある。
中四国勢と関東勢が近畿包囲網を築けるか
四国での開催となれば、犬伏湧也にかかる期待は大きい。高松宮記念杯では予選1を逃げ切り、予選2でも逃げ粘って2着。準決では上がり10秒8の捲りで決勝へ進み、調子の良さを示した。決勝では寺崎に主導権を奪われたが、前を押さえた後の一瞬の緩みを突かれた形で、内容そのものは責められない。

今回の舞台は高知。さらに8月には松山でオールスターも控える。四国勢にとっては、夏場の大舞台へ向けて存在感を高めたいシリーズであり、犬伏が積極的にレースを動かす場面は増えそうだ。先行、捲りのどちらでも破壊力があり、主導権を握れば別線を苦しめる。

その犬伏と連係する可能性があるのが松浦悠士だ。高松宮記念杯の二次予選では、目標の町田太我が不発となる展開から直線で鋭く伸びて1着。準決では取鳥雄吾、河端朋之の岡山勢を追走したが、犬伏の捲りに屈して優出を逃した。それでも、位置取り、コース取り、直線の伸びはさすがの一言。犬伏、太田海也、清水裕友、取鳥雄吾、町田太我ら中四国の機動型がそろえば、近畿勢に対抗する強力な布陣を組める。

関東勢では、眞杉匠と吉田拓矢が中心だ。眞杉は高松宮記念杯で予選を連勝し、青龍賞、準決も2着で突破した。決勝は吉田が勝ち上がれず単騎戦となり、犬伏、河端の後ろを選択したが、寺崎に叩かれてからは中四国勢と共倒れ。自力で動くべきだったという反省は、次戦への大きな材料になる。
昨年のグランプリで見せた強気な走りに加え、2025年のサマーナイトフェスティバルでは連覇を達成している。大会との相性は申し分ない。ファン投票でも高い支持を集める存在となった今、今回は自らレースを動かす積極策で期待に応えたい。

吉田拓矢も状態は高いレベルで安定している。高松宮記念杯では準決で敗れたものの、予選2は逃げ切り、青龍賞は7番手から内を突いて中コースを伸びて1着。最終日の特別優秀も内を切り込んで直線強襲を決めた。眞杉との連係が決まれば、関東勢の破壊力は一気に増す。3月のウィナーズカップ、5月の日本選手権と、あと一歩でビッグタイトルに届かなかっただけに、今度こそワンツーでの決着を狙いたい。
北日本、九州、そして新鋭。勢力図を塗り替える存在にも注目
北日本では新山響平の先行力が光る。高松宮記念杯では準決を逃げ粘って2着に入り、昨年5月の日本選手権以来となるGI決勝進出を果たした。決勝は北日本が単騎となり、仕掛けきれず7着に終わったが、直前の久留米記念では小堀敢太の番手から抜け出して優勝。3月の豊橋記念でも逃げ切りで優勝しており、今年の充実ぶりは見逃せない。

先行型にとって高知500バンクは決して簡単な舞台ではない。カントが緩く、風の影響も受けやすいため、長い距離を踏み切るには脚力だけでなくペース配分も問われる。それでも新山の持ち味は、相手に脚を使わせる強靭な先行力。ラインが整えば、決勝進出だけでなく優勝争いまで視界に入る。

九州勢では山崎賢人と嘉永泰斗が楽しみだ。山崎は高松宮記念杯の予選1で太田海也の逃げを捲り、山田庸平とワンツー。二次予選でも捲りで1着を取り、上がり10秒9をマークした。日本選手権でも特別選抜予選、二次予選で好内容を見せており、準決での失格が惜しまれた。今度こそ決勝の舞台で、切れ味鋭い捲りを披露したい。
嘉永泰斗は、日本選手権こそ二次予選敗退に終わったが、その後は函館記念で準優勝、久留米記念でも準決で山田庸平とワンツーを決めるなど、リズムを取り戻している。高松宮記念杯でも勝ち上がりこそ準決4着までだったが、予選や特別優秀では持ち味の捲りで連対を重ねた。位置取りが決まり、仕掛けのタイミングが合えば、どの相手にも届く脚がある。

中部勢は総合力で見劣りする面があるものの、山口拳矢の復調、そして125期の新鋭・岩井芯の勢いには注目したい。岩井は5月の松阪GⅢで完全優勝を飾り、GⅢ初制覇を達成。若さと勢いを武器に、トップクラス相手でも臆せず仕掛ける姿勢がある。経験値ではまだ上位陣に及ばないが、こうした大舞台で一気に評価を高める可能性を秘めている。
プレイバック 2025年・第21回大会
昨年の第21回大会は、眞杉匠が接戦を制して連覇を達成した。決勝は佐々木悠葵、眞杉匠、吉田拓矢、坂井洋の関東4車が前受け。太田海也、清水裕友の中国勢、郡司浩平、松谷秀幸、和田圭の混成ラインが続く並びとなった。
郡司が青板から上昇して関東勢に並びかけたが、佐々木は譲らず、郡司はいったん後退。太田が打鐘から仕掛けて関東勢に迫り、最終ホーム過ぎには眞杉のブロックを受けながらも2コーナーで先頭へ出た。しかし清水が離れ、太田の番手に関東勢が収まる展開に。最後は太田の番手から抜け出した眞杉と、後ろから伸びた吉田が横並びでゴールし、写真判定の末に眞杉が優勝。吉田が2着、松谷が3着に入った。
関東勢の結束、眞杉の勝負強さ、吉田の追い込み脚が凝縮された一戦だった。今年も眞杉、吉田の関東コンビがそろうだけに、昨年王者の走りはシリーズの大きな見どころになる。
高知バンクの特徴 500バンクでも直線は短い「お皿バンク」
高知競輪場は周長500メートル、見なし直線52.0メートル、最大カント24度29分51秒のバンク。通称は「りょうまスタジアム」。現在の500バンクの中では直線が短く、全体的に丸みのある「お皿バンク」として知られている。
直線が短い一方、500バンク特有のゆったりした流れになりやすく、勝負どころの見極めは難しい。打鐘前後からレースが動き、前を取ったラインがいったん主導権を握る。そこへ別線が最終ホームから仕掛けたとしても、カントが緩いためスピードに乗り切れないと、捲りは簡単には決まらない。
風の影響も大きい。バック側を中心に風が舞いやすく、自力型が思うように加速できないケースもある。そうなると番手、3番手で脚をためた追い込み勢にチャンスが生まれる。外を大きく回すよりも、中コースを突いて伸びる形が有効になりやすい点も押さえておきたい。
先行型にとっては仕掛けのタイミング、捲り型にとってはスピードの乗せ方、追い込み型にとってはコース選択が勝敗を分ける。スピード一辺倒では攻略しにくいだけに、総合力に優れる古性、自在に動ける郡司、松浦、吉田、そして番手戦で強さを発揮する選手たちにとっても好機のある舞台だ。