第10回ウィナーズカップが防府競輪場で開催される。ウィナーズカップは、車券に最も貢献している1着回数上位者(ウィナーズ)を中心に出場選手が選抜される大会。FⅠ戦を中心に活躍している若手選手でもビッグレースに出場しやすく、S級2班の選手でも1着回数上位者であれば初日の特別選抜予選にシードされるのが、大会最大の特徴となっている。
優勝候補の筆頭は、年末のグランプリのリベンジを果たした脇本雄太を擁する近畿勢だが、トップクラスを相手に真っ向勝負を挑む若手選手たちの活躍次第では、波乱の結末も十分に期待できるだろう。
スピード冴える脇本雄太が優勝候補の筆頭だが…
2月の全日本選抜は脇本雄太の優勝で幕を閉じたが、もちろん今回も脇本が優勝候補の筆頭だ。しかし昨年も、脇本は全日本選抜を制して史上初のグランプリスラムを達成した一方で、ウィナーズカップでは準決敗退に終わっている。3日目10Rの準決では、111期の林慶次郎が赤板から先行。縦長の7番手となった近畿勢は、寺崎浩平こそ2着に届いたものの、脇本は5着だった。昨年の伊東温泉に続き、今年も333バンクの防府が舞台だけに、トップクラスとの対戦に闘志を燃やす若手選手の走り次第では、波乱の余地も十分にある。
寺崎浩平は全日本選抜決勝で9着。現在の近畿は層が厚く、仕方のない面もあるが、S級S班の寺崎がGI決勝で着を度外視した先行を打ったことには、さまざまな意見があるのも確かだ。年末のグランプリで失敗しているだけに、どうしても主導権を取りたかった寺崎の気持ちもよくわかる。それでも、初日特別選抜予選は8番手から古性優作が離れ気味になるほどの強烈な捲りで1着、準決も8番手からの捲りで1着と、寺崎自身の調子はかなり良かった。今回こそ、優勝を狙える走りに期待したい。
ホームバンクで復活を狙うのは清水裕友だ。今回は盟友・松浦悠士が不在となるが、そのなかで中国勢の中心としてシリーズを引っ張るのが清水の役目となる。2018年から2022年まで防府記念を5連覇し、2023年も玉野での代替開催を制して史上初の同一大会6連覇を達成するなど、ホームバンクとの相性は抜群。全日本選抜は準決で敗れたものの、二次予選では犬伏湧也の逃げを差して1着と、調子は決して悪くない。地元ファンの期待を背負い、今開催で存在感を示したいところだ。
石原颯は全日本選抜では二次予選で敗れたが、一次予選は7番手から捲って通算200勝を達成。3日目選抜では中石湊を最終ホームから強引に叩いて逃げ切り、4日目特選でも勝負どころで杉浦侑吾の番手にハマりながら、すかさず叩いて逃げ切るなど、積極性をアピールした。1月の小松島での代替開催となった高松記念決勝では、郡司浩平、吉田拓矢らを相手に犬伏湧也の逃げに乗って優勝。記念初優勝を完全優勝で飾っている。今年は全日本選抜までに14走して10勝と絶好調で、今回もウィナーズカップの名の通り、勝ち星を量産してくれるだろう。




郡司浩平が仲間とともに勝ち上がりを目指す
グランプリ覇者の郡司浩平は、2月の全日本選抜決勝で5着に終わった。最内の1番車だった郡司だが、9番車の古性優作にスタートの取り合いで敗れ、近畿ラインが前受けになった時点で勝負は決したと言っていいだろう。さらに言えば、準決で深谷知広の前回りを選択しながら、郡司しか勝ち上がれなかったのは大きな誤算で、本人も反省しきりだった。あそこで深谷や松谷秀幸が勝ち上がっていれば、決勝も違った結果になっていたはず。今回こそ、南関東のリーダーとして仲間とともに勝ち上がれる走りを目指してくるだろう。
深谷知広は全日本選抜では準決で敗れたが、二次予選では太田海也に捲られながらも逃げ粘って2着。4日目特別優秀では、南修二―稲川翔の大阪コンビを連れての即席ラインだったが、打鐘前からカマして中野慎詞を叩き主導権を奪取。大阪コンビがワンツーを決め、深谷も3着に粘っている。直前の静岡記念でも4日間主導権を狙う競走を見せ、決勝も地元戦ながら渡邉雅也を連れて先行して7着。まだまだ若い者には負けられないという気迫の走りだった。もちろん今回も、若手選手たちとの対戦でも主導権取りを狙ってくる。
吉田拓矢は、2月の静岡記念では初日特選こそ2着だったが、残る3走を3連勝して優勝と絶好調だった。しかし全日本選抜では、準決で脇本雄太の強烈な捲りに屈して5着。それでも二次予選は菊池岳仁の逃げに乗って2着、4日目特別優秀では新山響平が先行し、反撃を狙う太田海也が4番手で大きく車間を空けたため、関東ラインは縦長の7番手と最悪の展開になったが、捲り不発の眞杉匠の横をすり抜けた吉田が2着に突っ込んでおり、今回も展開不問の鋭脚で強さを発揮してくれるだろう。
佐々木悠葵は、2月の奈良記念決勝で打鐘前からカマしてそのまま逃げ切り、昨年1月の大宮以来3回目の記念優勝を達成した。1月の大宮記念でも準決で敗れはしたが、一次予選は逃げ粘って2着、二次予選も逃げ粘って3着、4日目特選は捲って1着と、乗りに乗っている。全日本選抜では二次予選で嘉永泰斗の捲りに屈して7着と敗れたが、打鐘からのカマシで主導権を取り切り、見せ場をつくっていた。一次予選も4着ながら神山拓弥の1着に貢献しており、今回も持ち味のカマシ先行で勝ち上がりを目指す。




復調気配の山口拳矢が得意の捲りで勝ち上がる
山口拳矢がタイトル争いの舞台に戻ってきた。2023年5月の平塚での日本選手権でGI初優勝を達成した山口だが、その後はビッグレースでの優勝はなく、2024年7月のサマーナイトフェスティバル以降はビッグレースでの優出も途絶えてしまった。しかし、昨年10月の寬仁親王牌では準決で5着と敗れたものの、残る3走はすべて捲りで1着と好成績をマーク。11月の競輪祭でも準決進出を果たし、今年2月の全日本選抜では2024年6月の高松宮記念杯以来となるGI優出を決めており、今回も得意の捲りで勝ち上がっていく。
嘉永泰斗はS級S班としてホームバンクでの全日本選抜に乗り込んだが、準決では新山響平の逃げを捲り切ったものの、寺崎浩平に捲り返され、さらに佐々木豪の落車を誘発した斜行で失格と、残念な結果に終わった。それでも二次予選で、地元ファンの大声援に後押しされながら佐々木悠葵の逃げを捲ったスピードは素晴らしく、引き続き好調を維持していると見ていいだろう。捲りは展開に左右されるし、グランプリのときのように別線の引き出しに終わる危険性もあるが、今回も前へ前への積極的な仕掛けを見せてくれるだろう。
山崎賢人は、ナショナルチーム時代に世界を舞台に活躍し、2024年10月の世界自転車競技選手権大会のケイリンで金メダルを獲得している。しかし国内の競輪では、まだ結果を残し切れていないのがファンにとってもどかしいところだ。全日本選抜でも一次予選は逃げて2着だったが、二次予選では鳥取雄吾に先手を取られ、最悪の8番手となって6着に敗れた。それでも1月のいわき平記念では、準決を逃げ切りで突破して決勝3着と健闘しており、調子は決して悪くないはず。そろそろビッグレース初優勝に期待してみたい。
北日本勢は全日本選抜では阿部拓真、新山響平、佐藤慎太郎の3人が準決に進出したが、いずれも敗退となった。今回の出場予定メンバーを見ると、機動力の面でやや物足りず、今回も厳しい戦いになりそうだ。そこで期待したいのが、125期の新鋭・山崎歩夢。1月のいわき平記念では準決で敗れたが、一次予選は逃げて3着で須永優太の1着に貢献し、4日目特選では逃げ切っている。昨年12月の佐世保記念では二次予選で敗れたものの、4日目選抜で逃げ切っており、333バンクが舞台なら早駆けでもしっかり粘り込んでくるだろう。





プレイバック 第9回ウィナーズカップ
古性優作が自力発進で混戦を抜け出し初優勝
寺崎浩平―古性優作―村田雅一の近畿トリオが前受け。4番手に郡司浩平―深谷知広―岩本俊介の南関東トリオ、単騎の眞杉匠が続き、8番手に新山響平―浅井康太の混成コンビという並びで周回を重ねる。青板周回に入り、寺崎が後方の動きを確認しながら誘導員との車間を空けるが、バック手前から新山が上昇してくると、赤板ホームで寺崎を叩いて先頭に立つ。すかさず郡司も仕掛けていき、3番手に入っていた寺崎に並びかけたところで打鐘を迎える。寺崎は郡司に合わせて発進。合わされた郡司は後退し、寺崎は浅井の牽制を受けながらも捲り上げていくが、新山のかかりが良くて叩けない。新山の後ろは外に寺崎、内に浅井という形となる。そこへ眞杉が猛然と捲ってくるが、最終3コーナーで古性が大きくブロック。さらに古性はそのままタテに踏み込み、寺崎を交わし、逃げ粘る新山も捕らえて先頭でゴールイン。古性のブロックを受けながらも踏み直してきた眞杉が2着に突っ込み、新山が3着に粘った。

軽くてクセのない走路で、どんな戦法でも力を発揮できる
周長は333m、最大カントは34度41分09秒、みなし直線距離は42.5m。軽くてクセのないバンクで、走路改修により表面の凹凸もなくなり、どんな戦法の選手でも力を発揮できる走路となっている。
2024年11月の記念開催の決まり手を見てみると、全47レース(ガールズ1個レースを除く)のうち、1着は逃げが11回、捲りが14回、差しが22回。2着は逃げが14回、捲りが7回、差しが6回、マークが20回となっている。競輪の性格上、差しが優勢なのは当然だが、小回りの333バンクだけに、逃げと捲りの連対率はほぼ互角で、先手ラインの選手が1着を取った回数も24回にのぼる。しかも開催初日は雨天だった影響もあったのか、12レースのうち8レースで先手ラインの選手が1着を取っている。
ただし、開催の最難関である3日目の準決3個レースでは、12Rは逃げた太田海也を清水裕友が番手から差してのワンツーだったが、10Rは逃げた山口拳矢を捲った吉田拓矢を武藤龍生が番手から差してのワンツー、11Rは鳥取雄吾の逃げに乗った松本貴治が番手捲りで1着、6番手から捲り追い込んだ杉森輝文が2着。脚力上位の好調選手がそろうレースでは、333バンクといえどもやはり捲りが優勢だ。
決勝も太田海也の逃げを松本貴治が4番手から捲り切って優勝。小岩大介が3車身離されながら2着に流れ込み、ワンツー決着となっている。
捲りは中団が取れれば最終ホームからの早めの仕掛けがいいが、後方からの仕掛けでは、バック過ぎまでに捲れなくても、そこを我慢してへばりついていければ、2センターから直線にかけて中コースが伸びるため、捲り追い込みで突き抜けることができる。
注意したいのは風向きで、西風が吹いているときはバック内側が向かい風となるため、先行は苦しくなる。