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第41回読売新聞社杯全日本選抜競輪GI展望
レース展望 2026.02.04

第41回読売新聞社杯全日本選抜競輪GI展望

#グレードレース展望

 2016年の熊本地震から8年の時を経て蘇った熊本競輪場で第41回全日本選抜競輪が開催される。昨年のグランプリを制した郡司浩平率いる南関東勢と同じくグランプリで近畿4車を粉砕する大立ち回りを演じた眞杉匠率いる関東勢が中心となりそうだが、初のS級S班としてホームバンクの大舞台に登場する嘉永泰斗の活躍にも期待が集まる。グランプリで大敗した近畿勢やS級S班不在となった中四国勢の巻き返しも見逃せず、冬場の開催ながら火の国熊本の名にふさわしい熱き戦いが繰り広げられるだろう。

嘉永泰斗が復活となったホームバンクで必勝を期す

 全日本選抜競輪は各都道府県において最も成績を残している選手を中心に選抜されるシステムとなっているため、現在の勢力図と今後の競輪界の流れを予想するための必見の大会となっている。2022年と2023年の大会は古性優作が連覇、2025年の大会は脇本雄太が優勝と、ここ数年の近畿一強の流れが明確に見えていた。この近畿勢に割って入ったのが2021年と2024年に優勝した郡司浩平だ。2021年は6大会のGIが毎回違う優勝者となり、2024年は後半の3大会こそは近畿勢の優勝だったが、前半3大会は近畿勢以外だった。今年は熊本競輪場で開催されるが、年末のグランプリに続いてここでも地元地区の選手から優勝者が出れば、今年の勢力図は大きく塗り替えられるだろう。
 嘉永泰斗は年末のグランプリでは前団のもつれを見ながら最終ホーム手前から捲っていくも郡司浩平に捲り返されて5着に終わった。郡司が先に仕掛けるのを待ってから追いかけるように捲っていったほうがよかったのではないかという見方もあるが、常に前へ前へと積極的に仕掛けていく嘉永ならではの走りだったといえる。もちろん前へ前へと仕掛けていく先に見据えているのは全日本選抜のゴールラインだ。新春の立川記念の準決でも寺崎浩平を叩いての逃げ粘りの3着と健闘しており、地元GIでの必勝を期してくる
 郡司浩平は6度目の挑戦で念願のグランプリ初制覇を達成した。しかも地元地区の平塚競輪場という最高の舞台だった。眞杉匠‐吉田拓矢の関東コンビが近畿ラインに攻め込んで前団がもつれ、展開が向いたおかげもあるが、先捲りの嘉永泰斗の仕掛けにも慌てることなく冷静に自分のジャストタイミングで仕掛けた走りはまさに王者の貫禄だった。南関東はGIでも活躍できる能力の高い選手が揃っているが、準決が壁になっているケースが多いのが残念だ。しかし、今年は郡司がしっかりリードして南関東を盛り上げていくだろう。
 松井宏佑はグランプリシリーズのFI戦では3日間未勝利と低調だったが、新春の和歌山記念で本来の力強い走りを見せた。昨年11月の競輪祭の準決では郡司‐松井の並びで松井が番手捲りで1着通過となるも郡司が7着敗退と連係がちぐはぐだったが、和歌山記念の初日特選は脇本雄太を不発に終わらせる松井の逃げで郡司が1着、決勝も脇本の強烈な捲りに屈したものの松井の逃げに乗った郡司が2着と力を出し切っている。準決は捲りで1着とスピードもよく、今回も郡司との最強の同県タッグを披露してくれるだろう。

嘉永泰斗 熊本 113期
郡司浩平 神奈川 99期
松井宏佑  神奈川 113期


脇本雄太はヨコには不安が残るがタテ脚は健在だ

 脇本雄太は10月の寬仁親王牌で負った大ケガから完治しないままグランプリに出場したが、眞杉匠‐吉田拓矢の関東コンビに攻められて後退せざるを得なく9着に終わった。しかし、新春の和歌山記念では初日特選こそ9着だったが残り3日間は3連勝で、決勝は松井宏佑‐郡司浩平の2段駆けを9番手から捲って優勝しており、次場所のいわき平記念も完全優勝だった。ただタテのスピードはまったく問題なさそうたが、ヨコにはまだ不安があるので、今回も近畿ラインができたときにどう対処していくかが課題となるだろう。
 寺崎浩平はグランプリでは眞杉匠の反撃をとことん突っ張ったが、結果は8着に終わった。眞杉匠‐吉田拓矢の2車ならば出させて3番手を取ってもよかったのではという見方もあるが、昨年9月の共同通信社杯での南修二の優勝以降は近畿一強の流れが断ち切れとなったために意地でも主導権を握りたいという気持ちが強かったのだろう。新春の立川記念は準決敗退で途中欠場となったが、次場所の大宮記念は準優勝と調子は決して悪くなく、今回も近畿復活のために主導権取りに燃えてくるだろう。
 眞杉匠は年末のグランプリでは吉田拓矢との2車のラインで近畿4車のラインに果敢に攻めにいった。結果眞杉は7着に終わったが、ここ数年のグランプリは勝負どころで一本棒のやや淡白なレースが続いていただけに、関東コンビだけでなく、嘉永泰斗、郡司浩平、阿部拓真の単騎勢も持てる力を尽くした素晴らしいレースとなり、眞杉の走りを称賛するファンの声は大きい。新春の立川記念は準決で敗れたが、4日間主導権取りに出ており、今回もファンの期待に応える熱い走りを見せてくれるだろう。
 吉田拓矢はグランプリでは3着だったが、混戦を切り抜ける驚きの脚力を見せつけた。眞杉匠が寺崎浩平に突っ張られて番手の脇本雄太のところに切り込むと、吉田は古性優作に捌かれて後退を余儀なくされたが、そこから再び追い上げて古性との外並走を耐え抜き、郡司浩平に捲られると混戦から抜け出して3着に入っている。吉田自身にとっては不満の着だろうが、二の脚どころか三の脚、四の脚を使った強さに全国のファンは驚きを隠せなかった。当然今回も眞杉との連係から強さを発揮してくる。

脇本雄太 福井 94期
寺崎浩平 福井 117期
眞杉匠 栃木 113期
吉田拓矢  茨城 107期

S級S班となった阿部拓真の三度の活躍に期待

 阿部拓真はグランプリの戦前では単騎を宣言していたが、レースの流れで終始郡司浩平の後ろの位置となり、郡司の捲りをぴったりマークして2着に流れ込んだ。さすがに郡司のジャストタイミングの捲りを追い込むのは厳しかったが、初出場のグランプリで準優勝は大健闘だ。今年は1月の出場予定はなく、2月の奈良記念を走ってから全日本選抜に乗り込んでくるが、2024年10月の熊本記念では1、1、3着の勝ち上がりで優出と新しく生まれ変わった熊本バンクとの相性はよく、今回も順調に勝ち上がっていくだろう。
 中野慎詞はグランプリシリーズのFI戦で準優勝と健闘した。ただ森田優弥に叩かれて下がったときに追い上げてきた山口拳矢をすんなり前に入れてしまったのが失敗だった。先捲りの山口に優勝をさらわれてしまったのだから。オリンピアンの中野はタテのスピードは文句なしだが、レースの組み立てが単調なのが弱点だ。自転車競技と違い競輪はいい意味でのずる賢さがないとGIでは勝ち上がれない。そこが同じオリンピアンの太田海也との違いで、北日本のファンが期待しているGI初優出の実現を今度こそ願いたい。
 松浦悠士が復調気配だ。昨年は5月の宇都宮記念の準決で落車、3度の優勝経験がある7月のサマーナイトフェスティバルでは初日特別選抜予選で落車、10月の寬仁親王牌でも初日理事長杯で落車と災難続きだったが、11月の競輪祭では準決で敗れたものの一次予選2着とダイヤモンドレースで2勝を挙げ、12月の佐世保記念では犬伏湧也の逃げに乗って優勝、伊東温泉記念での決勝4着をはさみ、地元広島記念では町田太我の逃げに乗って優勝している。新春の大宮記念も優出しており、中四国の豊富な機動力を目標に勝利を目指す。
 山口拳矢は年末のグランプリシリーズのFI戦を単騎捲りで優勝している。そしてグランプリ本番では単騎の郡司浩平が優勝、年が変わっての1月の記念でも立川、大宮、和歌山と3場所連続で単騎の選手が優勝しており、その流れが単騎得意な山口にとっては追い風になるかもしれない。新春の大垣FIも6番手から捲って貫禄の優勝、2月の小松島記念では準決で惜しくも4着と敗れたが、初日特選では郡司浩平、吉田拓矢、古性優作のS級S班を相手に9番手から捲って1着と好調で、今回も単騎捲りの一発が期待できる。

阿部拓真 宮城 107期
中野慎詞 岩手 121期
松浦悠士 広島 98期
山口拳矢 岐阜 117期

プレイバック 2021年 第36回大会 郡司浩平
深谷知広の逃げに乗って郡司浩平が地元GI制覇

 平原康多‐諸橋愛の関東コンビが前受け、3番手に清水裕友‐松浦悠士‐園田匠の混成ライン、6番手に深谷知広‐郡司浩平‐和田健太郎の南関東ライン、単騎の守澤太志が最後尾で周回を重ねる。青板周回の3コーナー過ぎから清水が車を外に持ち出し、後ろからの仕掛けを警戒して波をつくるが、深谷はためらうことなくスパートして最終ホームを通過、赤板2コーナーで深谷‐郡司が平原を叩いて先頭に立ち、続いた和田‐守澤まできれいに出切ったところで打鐘を迎える。深谷はペースを落とすことなく、5番手に平原、7番手に清水の一本棒の隊列のまま最終ホームを通過する。最終1コーナーから清水が仕掛けていき、合わせて2コーナーから平原も捲っていくが、バックから躊躇なく郡司が番手捲りを打つ。3コーナーで平原が郡司に並びかけて両者の踏み合いになるが、平原が郡司と接触し車体故障で後退する。そのまま郡司、和田、守澤の順でゴールし、郡司は審議対象となるが失格とはならず、ホームバンクでのGI制覇が決定した。

ゴール
表彰

バンクの特徴 カントがきつく直線が長めの400バンク

周長は400m、最大カントは34度15分29秒、見なし直線距離60.3m。2016年4月に発生した熊本地震で被災した熊本競輪場は長期休催状態だったが、8年の時を経て2024年7月にリニューアルオープンした。以前の500バンクから400バンクに生まれ変わったが、それに伴いカントはきつくなり、見なし直線距離も400バンクの中では長めとなっている。
 2024年10月の記念開催の決まり手を見てみると、全48レースのうち1着は逃げが7回、捲りが12回、差しが29回、2着は逃げが9回、捲りが9回、差しが11回、差しが11回、マークが19回となっている。
 直線が長めなので差しが優勢だが、一般的な400バンクと比べると捲りの決まり手がやや少ない印象だ。先手ラインの選手が1着を取った回数も半数以上の25回で、カントはきつめだが、捲りはスピードに乗りにくい走路のようだ。リニューアルに伴ってサイドスタンドとバックスタンドが撤去され、風の影響を受けやすくなったのも原因のひとつかもしれない。
 直線ではとくに伸びるコースはなく。ゴール前でごちゃつく展開もあまりないので、力どおりの決着になるケースが多いバンクとなっている。
 2024年の記念開催のベストタイムは10秒8で3日目12Rの準決で脇本雄太が6番手から捲ってマークしている。脇本は2日目12Rの二次予選でも10秒9をマークしているが、10秒台の上がりタイムはその2回だけだ。11秒0の上がりタイムも3回出ているが、そのほかは11秒台中盤から12秒台がほとんどだ。なおバンクレコードは2024年7月の熊本競輪再開記念のFIの準決で、地元の嘉永泰斗が捲ってマークした10秒7だ。
 ちなみに2024年の記念開催では初のS級S班入を果たした嘉永泰斗と阿部拓真の2人が出場していて、嘉永は3日間オール2着の勝ち上がりで優出、阿部は1、1、3着で優出しており、全日本選抜でも活躍が期待できそうだ。


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