月刊競輪WEB

検索
第18回サマーナイトフェスティバル 展望 
レース展望 2022.06.29

第18回サマーナイトフェスティバル 展望 

#グレードレース展望

第18回サマーナイトフェスティバルが玉野競輪場で開催される。6月の高松宮記念杯でみごとに地元優勝を飾った古性優作が今回も主役を務めるが、昨年の大会の覇者である松浦悠士率いる中四国勢も強力だ。高松宮記念杯で準優勝の山田庸平らの九州勢のさらなる活躍や、平原康多率いる関東勢と郡司浩平率いる南関東勢の巻き返しにも期待がかかる。

単騎戦で再び栄冠を手にした古性優作が中心だ


 今年前半の競輪界を振り返ってみると、2月の全日本選抜と6月の高松宮記念杯を古性優作が優勝、5月の日本選手権は脇本雄太が優勝とGIタイトルは近畿勢が独占しており年末のグランプリ出場権を獲得しているのは2人だけだ。そのため後半戦はタイトル争いはもちろんグランプリ出場権を賭けた賞金争いも熾烈なものになるだろう。今回のサマーナイトフェスティバルはグランプリ出場には直結しないが、高松宮記念杯を準優勝してグランプリ初出場が見えてきた山田庸平や地元平塚のグランプリにどうしても出場したい郡司浩平が賞金の上積みを目指して熱い走りを見せてくれるだろう。
 古性優作は地元岸和田での高松宮記念杯にこれまで5度出場していたが、地元戦のプレッシャーに負けて1度も優出できなかった。しかし、昨年のグランプリで初優勝を飾り白のチャンピオンユニフォームをまとった古性はひと回りもふた回りも成長を遂げ、今年の高松宮記念杯ではみごとに優出を決めた。そして決勝も昨年のグランプリと同様に単騎戦だったが、最終バック手前の6番手から捲ってうれしい地元優勝を飾っている。今回も脇本雄太が不在のシリーズだが、古性が優勝候補の筆頭と言っていいだろう。
 松浦悠士は昨年のサマーナイトフェスティバル決勝では清水裕友を先頭に中四国勢4車結束から初優勝を完全優勝で飾っている。しかし、先の高松宮記念杯では準決で4着敗退と決して本調子ではなかった。東西対抗戦形式のために中国勢と四国勢が叩き合わなければならなかったのも痛かった。それでも今回は通常の勝ち上がり戦なので、町田太我や太田竜馬らの機動力を目標に勝ち上がっていくだろうし、昨年と同様に中四国ラインの結束力の強さを発揮してサマーナイト連覇を狙ってくるだろう。
 町田太我は高松宮記念杯では二次予選で敗れたが、二次予選は太田竜馬との対決で2人とも戦いづらかったせいか北津留翼にあっさり主導権を奪われて太田が3着、町田が8着に終わっている。それでも町田は一次予選は逃げて3着、3日目特選では深谷知広相手に逃げ切って柏野智典とワンツーを決めており調子はいい。ビッグレース初出場となった昨年のサマーナイトフェスティバルは予選敗退に終わったが、それから1年数々のビッグレースを経験して成長してきた町田が今度こそのビッグレース初優出を狙ってくる。

古性優作 大阪 100期
松浦悠士 広島 98期
町田太我 広島 117期


山田庸平ら九州勢の躍進に注目


 山田庸平は高松宮記念杯で3度目のGI優出を達成、決勝では古性優作の捲りを追って準優勝となり獲得賞金ランキングが7位にジャンプアップ、グランプリ初出場が視界に入ってきた。決勝では古性優作との差を詰めきれずやはり脚力不足の印象はあったが、初のGI優出が20年の寛仁親王牌で昨年の寛仁親王牌でも優出と例年後半戦に向かって調子を上げてくるタイプなので今回も活躍が期待できる。山田といっしょに高松宮記念杯で優出した荒井崇博も獲得賞金ランキングで10位、園田匠が14位に付けており、後半戦での九州勢の躍進に注目したい。
 九州勢躍進の原動力になったのが嘉永泰斗だ。高松宮記念杯の一次予選では取鳥雄吾を相手に主導権を取りきり、荒井崇博の2着、野田源一の3着に貢献、準決は九州勢との連結が外れてしまったが、先手ラインに追い上げる起用な走りで3着に入り、山田庸平と園田匠も後ろから突っ込んできて結果的には九州3車で上位を独占している。日本選手権の準決でも平原康多や深谷知広らを相手に主導権を取りきって荒井崇博の優出に貢献しており、今回も九州勢を力強く引っ張ってくれるだろう。
 郡司浩平は1月の和歌山記念と4月の地元川崎記念での優勝はあるもののビッグレースではやや低調だったが、高松宮記念杯で今年初のGI優出を決めた。勝ち上がり戦では自力勝負がなく、青龍賞や準決は渡邉雄太目標の番手捲りだったのが少々気になるが、これをきっかけに調子を上げてきてくれるだろう。決勝は展開の流れで中途半端な攻めになってしまったが、今年は平塚でグランプリが開催されるだけに今回は強い気持ちで賞金の上積みを狙ってくるだろうし、深谷知広や渡邉雄太らと再び好連係を決めて南関東勢を盛り上げてくれるだろう。
 高松宮記念杯で郡司浩平の優出に貢献した渡邉雄太が好調だ。静岡に移籍した深谷知広といっしょに猛練習に励むことで脚力が着実にアップ、戦法も捲りに重点を置くようになって成績もアップしている。今年は全日本選抜、日本選手権、高松宮記念と3大会連続で準決進出を果たしている。高松宮記念杯では青龍賞と準決は郡司浩平を連れて果敢に先行しているが、一次予選は飯野祐太の逃げを4番手から捲って1着を取っている。サマーナイトフェスティバルも19年の別府大会でオール2着で勝ち上がって準優勝しており相性は悪くない。

山田庸平 佐賀 94期
嘉永泰斗 熊本 113期
郡司浩平 神奈川 99期
渡邉雄太 静岡 105期

平原康多が関東勢をまとめて巻き返しを図る


 関東勢は勝ち上がり戦での落車の影響もあり高松宮記念杯では諸橋しか決勝へ進めなかった。準決では宿口陽一-平原康多-木暮安由と坂井洋-雨谷一樹-神山拓弥が別線勝負となり、展開のアヤで宿口と坂井が中団を取り合うハメになったのが苦しかった。それでも初日特別選抜予選では吉田拓矢-宿口陽一-平原康多-諸橋愛の4車で主導権を取って宿口が1着、平原が2着のワンツーを決めており、関東ラインはうまく機能すればやはり強力だ。今回も平原康多が関東勢をしっかりまとめて巻き返しを図ってくるだろう。
 吉田有希はビッグレース初出場だった3月のウィナーズカップではやはり雰囲気に飲み込まれてしまったのか思うように仕掛けることができず、連絡みは2日目特一般の逃げ切りだけだった。しかし、高松宮記念杯では二次予選で敗れてしまったが、次走ではしっかり主導権を取りきり2着と着実な成長ぶりを披露している。サマーナイトフェスティバルは初出場となるが、3日制の短期決戦だけに初日に失敗さえしなければ勢いに乗ってのビッグレース初優出も期待できるだろう。
 眞杉匠も高松宮記念杯は二次予選で敗れたが、4走とも主導権取りで1着が1回、2着が1回とレース内容はよく、調子に不安はない。二次予選は深谷知広が相手で飛ばしすぎたのが敗因と言ってよく、眞杉は4着に沈んだが、番手の神山拓弥が1着を取っている。眞杉は3月の地元開催のウィナーズカップはまさかの二次予選敗退に終わったが、次なる日本選手権ではしっかり修正して2度目のGI優出を果たしている。サマーナイトフェスティバルは吉田有希と同様に初出場となるが、高松宮記念杯の反省を胸に優出を決めてくれるだろう。
 北日本は新田祐大が落車の影響で不調だったが、高松宮記念杯と相性のいい小松崎大地が2年連続の優出を決めた。準決は2着入線の渡部幸訓の失格による繰り上がりの2着だったが、坂井洋率いる栃木ラインと宿口陽一率いる埼玉ラインを相手の果敢な先行で佐藤慎太郎を1着に導いている。青龍賞も郡司浩平を引っ張る渡邉雄太を一気に叩いて成田和也の1着に貢献した。決勝も古性優作の捲りに屈して8着に終わったが、佐藤慎太郎と成田和也を連れて迷うことなく先行しており、もちろん今回も連日の先行策で北日本勢を盛り上げてくれるだろう。

平原康多 埼玉 87期
吉田有希 茨城 119期
眞杉 匠 栃木 113期
小松崎大地 福島 99期

プレイバック 第17回大会 優勝 松浦悠士

中四国4車の結束で松浦悠士が初優勝



 山崎賢人-守澤太志、岩本俊介-佐藤慎太郎、清水裕友-松浦悠士-阿竹智史-小倉竜二、最後尾に単騎の山口拳矢の並びで周回を重ねる。青板2センターから清水が上昇開始、赤板ホームで誘導を下ろして先頭に立つ。山口が中四国勢に続き、山崎は6番手まで下がるが、岩本がすかさず巻き返し、打鐘とともに清水を叩いて先行態勢に入る。岩本はいったん流してから最終ホームから踏み込んでスパートする。叩かれた清水はすんなり3番手に収まり、7番手に山口、8番手に山崎となる。最終ホームから山崎が捲っていくが車が伸びず、続いて最終2コーナーから清水が捲っていく。清水は佐藤のブロックを乗り越えて岩本に並ぶが、岩本の掛かりもよく両者のもがき合いとなる。清水と岩本のもがき合いは最終4コーナーまで続き、そこで両者が力尽きたと見ると松浦が力強く踏み込んで前に出る。と同時にインを突いて上昇してきた山口が松浦に並びかけるが、松浦がそのまま押し切って先頭でゴールイン、2着に山口、3着に阿竹が入る。

バンクの特徴 玉野バンク

直線は短いが追い込みが有利


 周長は400m、最大カントは30度37分33秒、見なし直線距離は47.9m。400バンクとしては見なし直線距離が短く円形に近いバンクだが、クセがなくて走りやすいと言われている。ただ瀬戸内海が近くて風の影響を受けやすく、風のある日はバック向かい風が強いので、直線は短くても先行有利とはならない。
 今年3月の記念開催の決まり手を見てみると、全48レースのうち1着は逃げが6回、捲りが16回、差しが26回、2着は逃げが10回、差しが10回、マークが18回となっている。
 やはり逃げは苦しく、先手ラインの選手が1着となったレースも14回と全体の3分の1以下だ。333バンクに近い円形のバンクだが、カントはごく平均的なので捲りに向いているとも言えず、勝負どころで後手を踏まされると巻き返しは難しい。最終4角を9選手がほぼダンゴ状態で回ってきて、最後の直線ではラインに関係なくタテ脚のある選手が鋭く追い込んで1着、2着というパターンが多く、直線は短いが差し脚の鋭い選手が狙い目となりやすい。最後の直線ではインは空かないが、中コースを中割りで突っ込んでいくとよく伸びる。
 3月の記念開催祭で最も注目したいのがシリーズ最難関の準決3個レースだ。やはり1着は3個レースとも差しだったが、2着は3個レースとも逃げで決まっている。
 10Rは地元の新鋭・山根将太が北日本コンビを連れて先行、本命の太田竜馬は捲り不発で山根を差した佐藤慎太郎が1着、山根が2着。11Rは脇本雄太がホームガマシで逃げ、後ろが離れたところに吉田拓矢がハマり、吉田が差して1着、脇本が2着。12Rも松浦悠士がホームガマシで主導権を取り、柏野智典が差して1着、松浦が2着だ。
 やはり輪界を代表するトップレーサーともなると、バンクの特性に関係なく力を発揮できることを忘れてはいけない。ちなみに決勝は山根将太が松浦悠士を連れて打鐘先行に出たが、脇本雄太が7番手から巻き返して優勝、松浦が2着となっている。


 

この記事をシェア

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE

related articles