今年のベストナインによる頂上決戦・KEIRINグランプリ2024が12月30日に静岡競輪場に於いて号砲を迎える。11月の競輪祭で初優勝を飾った脇本雄太と古性優作の近畿コンビが中心になりそうだが、3人揃った南関東勢や眞杉匠-平原康多の関東コンビも強力で、単騎戦になりそうな清水裕友と新山響平の逆転一発も決して侮れない。
郡司浩平 神奈川 99期
最強の南関東トリオで有終の美を飾る
郡司浩平は昨年はグランプリに出場できずS級S班から陥落したが、2月の全日本選抜で北井佑季を目標に3年ぶりのGI優勝を達成してグランプリ出場権をいち早く手に入れた。6月の高松宮記念杯では郡司が北井の前を回って北井のGI初優勝に貢献、7月のサマーナイトフェスティバル、8月のオールスター、9月の共同通信社杯、10月の寬仁親王牌でも優出して今年は年間を通して好調をキープしてきた。11月の競輪祭は準決で落車したが最終日に1着と調子は問題なく、グランプリは南関東トリオで有終の美を飾ってくれるだろう。
平原康多 埼玉 87期
眞杉匠を目標に落車禍を跳ね返して優勝を狙う
平原康多は昨年はグランプリに出場できずS級S班から陥落したが、5月の日本選手権で吉田拓矢の捲りに乗って3年ぶり9度目のGI優勝を達成、グランプリ出場権を獲得するとともにS級S班への返り咲きを確定させた。しかし、6月の高松宮記念杯では決勝で落車、10月の寬仁親王牌では初日に落車して3日目から途中欠場、次場所の京王閣記念、11月の競輪祭でも落車とアクシデントが続いて近況は万全とはいえない状況になってしまった。それでもグランプリでは眞杉匠という好目標がいるだけに死力を尽くして優勝を目指してくるだろう。
北井佑季 神奈川 119期
グランプリでは持てる力を余すことなくぶつける
北井佑季はデビュー以来南関東勢をがむしゃらに引っ張ってきたが、2月の全日本選抜でも郡司浩平を引っ張って優勝に導いた。そのお返しとばかりに6月の高松宮記念杯では郡司が引っ張ってくれて北井は念願のGI初優勝を飾ることができた。その後のビッグレースでも南関東勢の勝ち上がりに貢献してきたが、北井自身は7月のサマーナイトフェスティバル以降は優出がなくなってしまった。前半戦とは違い先行選手としての凄みが感じられなくなった印象があり、グランプリでは持てる力を余すことなくぶつける走りをぜひとも期待したい。
古性優作 大阪 100期
輪界最強の男が歴代最高額の賞金王を狙う
古性優作は今年も年間を通して輪界最強の走りをキープし続け、ビッグレースではひとつも取りこぼすことなく優出してきたが、前半戦では優勝に手が届かなかった。しかし、8月のオールスターでは窓場千加頼の捲りを差して優勝、準優勝の9月の共同通信社杯を挟み、10月の寬仁親王牌では郡司浩平の捲りを追走し直線で鋭く伸びて優勝している。11月の競輪祭は準決で残念ながら失格となってしまったが、競輪祭終了時点での獲得賞金額は2億4千万円で、グランプリを優勝して3億7千万円超えの歴代最高額の賞金王を狙う。
脇本雄太 福井 94期
競輪祭優勝の勢いに乗って2年ぶりの優勝を目指す
脇本雄太は3月のウィナーズカップで優勝しているが、6月の高松宮記念杯決勝では定位置の後方からの巻き返しができずに9着、7月のサマーナイトフェスティバル決勝は逃げる北井佑季の後ろから捲りを打つも末を欠いて6着、10月の寬仁親王牌決勝は逃げる寺崎浩平の番手だったが勝負どころで内に詰まってしまい7着と勝ち切れなかった。11月の競輪祭も一次予選1が9着と体調面を不安視されたが、その後は得意の高速バンクで3連勝で勝ち上がって優勝しており、その勢いのまま2年ぶりのグランプリ優勝を目指す。
眞杉 匠 栃木 113期
巧妙な位置取りから逆転一発を狙う
眞杉匠は今年はGIの優勝はなかったが、7月のサマーナイトフェスティバルと9月の共同通信社杯を優勝し獲得賞金ランキング6位でグランプリ出場権を獲得した、サマーナイトフェスティバルの決勝は北井佑季と脇本雄太の主導権争いの後ろで待機、北井の後ろにハマった脇本が捲りを打つと近畿コンビを追いかけ、脇本を捲り切って優勝。共同通信社杯の決勝は郡司浩平の逃げで眞杉は8番手となったが、いったん中団まで追い上げてから直線伸びて優勝しており、グランプリでも巧妙な位置取りからチャンスを伺って一発を狙ってくるだろう。
清水裕友 山口 105期
暮れの大一番のグランプリで復活の走りを目指す
清水裕友は5月の全プロ記念のスーパープロピストレーサー賞を優勝しているが、今年は他のビッグレースでの優勝はなかった。それでも前半戦は絶好調で、そのときの貯金のおかげで獲得賞金ランキング7位でグランプリ出場権を獲得している。2月の全日本選抜は決勝2着、3月のウィナーズカップは決勝3着、5月の日本選手権は決勝6着と乗りに乗っていたが、8月のオールスターの一次予選2で失格してから少しずつ歯車が狂っていった。11月の競輪祭も一次予選で敗退しており、暮れの大一番のグランプリで復活の走りを目指す。
新山響平 青森 107期
単騎でも積極的に仕掛けてチャンスを狙う
新山響平は今年の優勝は11月の四日市記念の1回のみだが、2月の全日本選抜、6月の高松宮記念杯、8月のオールスター、10月の寬仁親王牌で優出しており、獲得賞金ランキング8位でグランプリ出場権を獲得した。全日本選抜決勝では北井佑季ー郡司浩平ー松谷秀幸の南関東勢を叩いて主導権を取るも番手の浅井康太が離れて北井に後ろに入られたために7着、オールスター決勝も先行するが窓場千加頼に捲られて3着だった。グランプリは単騎になりそうだが、それでもいつもどおりに積極的に仕掛けてチャンスを狙ってくるだろう。
岩本俊介 千葉 94期
南関東ラインの3番手から差し脚を伸ばす
岩本俊介は5月の日本選手権では一次予選が捲り、二次予選が内を突いての直線強襲、準決が深谷知広の逃げに乗っての1着と3連勝で勝ち上がり決勝も2着と健闘した。その後は落車の影響などで目立った活躍はなくなったが、賞金の高い日本選手権で準優勝したおかげでグランプリ初出場が決まった。グランプリでは南関東の3番手を固めそうだが、11月の競輪祭で準決進出と復調気配なのは確かだ。2020年のグランプリでは千葉の先輩の和田健太郎が目標の郡司浩平が不発の展開から直線強襲で優勝しており、岩本の一発も十分に期待できるだろう。
プレイバック KEIRINグランプリ2023
ゴール前の直線強襲で松浦悠士がグランプリ初優勝
新山響平-佐藤慎太郎が前受け、北日本コンビの後ろに単騎の深谷知広、4番手に清水裕友-松浦悠士の中国コンビ、6番手、7番手に単騎の眞杉匠、山口拳矢が続き、8番手に脇本雄太-古性優作の近畿コンビで周回を重ねる。青板2センターから新山が後ろを警戒しながら誘導員との車間を開け始めるが隊列に変化はなく、新山が先頭のまま赤板ホームを通過する。赤板2コーナーから腹を決めた新山が腰を上げ、打鐘とともに先行態勢に入る。同時に8番手から上がってきた脇本もスパートし、佐藤の牽制を乗り越えて新山に襲いかかってくる。新山と脇本の踏み合いが続くが、最終ホーム過ぎに脇本が叩き切って先頭に出る。叩かれた北日本コンビの後ろから深谷が踏み上げて近畿コンビを追い、清水から切り替えて捲ってきた松浦が深谷を追う。脇本が先頭のまま4コーナーを回るが、最後の直線では脇本の番手から出た古性を深谷が抜き去り、さらには外を鋭く伸びてきた松浦が深谷を交わしてグランプリ初優勝、深谷が2着、眞杉が3着に入る。